第85話 グレートリセットについて聞いてみた(1)
2020年6月に開催された世界経済フォーラムにおいて、1990年代に始まったIT革命による金融取引の自動化や社会構造の変化によって貧富の差が急速に拡大していくことが問題となった。そこで持続可能な社会に戻すために、さまざまな社会システムや産業構造を一度すべて取り壊して経済活動の公正さを取り戻すことが提唱された。しかもこの会議の開かれた時期はCOVID-19が猛威を振るっていた頃だ。そこで世界的なパンデミックからの復興の意味を含めて、世界を再構築し直すことを『グレートリセット』ないしは『グレートチェンジ』と称している。
それに伴って行われる世界的な富の再分配や債務免除、新金融システムへの移行などの総称を『ネサラゲサラ』と呼び、それを実現した新しい世界秩序を『ニュー・ワールド・オーダー』と呼び表している。ただし、これには政府発表などの根拠のある公式なものがないため、世間的にはインターネット上の都市伝説や陰謀論として扱われている。
とはいえ、ネサラゲサラやニュー・ワールド・オーダーの動きは多くの国が何らかの理由をつけて始めている。IT化やAIの導入に伴う大量失業時代に備えたベーシック・インカムなどの生活保障システムの準備が代表的な動きだ。日本でも氷河期世代以降の救済という名目を付けて、借金を作った理由や所得の状況によって負債を減免する制度が作られている。その制度のおかげで自己破産しなくても、800万円以上もあった借金が帳消しになった人もいるそうだ。
「守護神様。このグレートリセットはこれから来るナルトや大グレンを起こす地上の建て替えで、ネサラゲサラは松の代の社会システムってことになるんですかね?」
『まったくの別物だ』
いきなりの全否定である。
「グレートリセットも、世の中の建て替え……ですよね?」
『たしかに神々による世の建て替えとグレートリセットは、格差が広がって行き詰まった世の中を新しく作り変える意味では似ている。だが、やることは似て非なる別物だ。同じものだと思うのなら、その認識が大間違いだぞ』
「違うんですか?」
『いいか。グレートリセットの基本構想を描いたのは、これまで地球を良いようにしてきた闇の支配者どもだぞ。神々の建て替えによって地に落とされる連中が、自分の地位や立場は変わらない前提で描いた構想など天界の神々が認めるわけないだろ』
それは当然の話である。
「ネサラゲサラについては、どうですか? 富の再分配としてのベーシック・インカムが構想されてるとか、すでにアメリカでは低所得者層に毎月10万円〜15万円分の食料品が買えるEBTカードを配ってるとかありますけど……」
EBTカードというのは、毎月のように国から自動チャージされるプリペイドカードのようなものだ。食料品以外の日用品や、指定された酒、タバコ、サプリメントなどの買い物には使えないが、スーパーでの買い物やお酒を扱ってない飲食店での支払いにならクレジットカードのように利用できるカードである。ファストフード店での利用が多いそうだ。
『ずっと搾取され続けてきた市民からしたら、ネサラゲサラによる富の再分配や個人所有を減らした共有社会は夢のようなシステムに思えるかもしれん。だが、それはカテゴリー1の地獄にいるきみたち地球人にとって、カテゴリー2の地獄でも天国や理想の世界に思えるようなものだ。とはいえ、所詮カテゴリー2は地獄にすぎない。ネサラゲサラもうわべだけは富を再分配してるように見せかけてはいるが、その原資は搾取によって得られたマヤカシのシステムだ』
「マヤカシ……ですか?」
『再分配する富には搾取する特権階級からのものは含まれない。政治家や大富豪の中には裏技を使って税をほとんど納めない連中が多いし、世の中がリセットされても連中は自分の持つ利権は絶対に手放そうとはしない。それどころかネサラゲサラで個人所有を減らした共有社会にすると言いつつ、実は自分たちがその共有資産を独占して市民に貸し与えることで支配しようと企んでるんだ。金銭を電子通貨や暗号通貨を普及させるのも同じだ。今の通貨もデザインを変えることで古い通貨の使用期限を設定してるが、電子通貨にすればもっと細かく設定もできるし、個人の財産も細かく監視できるようになる。金を使わせるために期限を短くしてくるだろうし、気に入らない個人には共有資産を使わせなくもできる。外面はユートピアでも、その実はとんでもないディストピアだ』
「それはイヤな世の中になりますね」
『その元になる原資も再分配とは言いつつも、ほとんど市民階級の中で富が回るだけだ。それではグレートリセットが起きたあとも富の格差は開く一方だぞ。それどころか市民階級が貧しくなったら、そのうち富を回すことも難しくなる。つまりネサラゲサラによる富の再分配は持続可能なものではないんだ』
「う〜ん……。言われてみると、そうなりそうですね」
『そもそもの話だが、世界経済フォーラムがグレートリセットを言い出したのは、1990年代から急速に富の格差が広がったためだ。それまで多数派だった中産階級の市民が消え、その多くが貧しくなっていった。その原因を作ったのは、IT革命によって金融取引が自動化されたことだ。それまで大勢の人を雇って株や為替などの値動きを監視させていたのを、コンピューターに任せたことで安く、かつ素早く売買ができるようになったことで、大資本家ほど楽にお金を集められるようになったんだ。当然、金の力に任せてたくさんのコンピューターを運用できる大きな機関投資家ほど、より多くの利益を集めることができる。それにはコンピューターの性能向上もある。それを少ない人数でできるようになったから、それまで金融業で働いていた多くの市民が仕事を失い、他の業種へ移って小さいパイを奪い合うことになった。その分だけ多くの人が貧しくなったわけだ。世界フォーラムはこのまま世の中の格差が大きくなり続けたら、市場が先細って世界経済そのものが縮小してしまうことを危惧したんだ』
「そういう理屈はわかるのですが、金融商品の変動は確率的にはプラマイゼロですよ」
『それはきみが明らかに業績の悪くなった企業の株やバブル崩壊のような大暴落込みで期待値を考えてるからだ。たとえるなら落ちてきた隕石で人が死ぬ確率は雷で死ぬ確率よりもはるかに高い。それは間違いのない事実ではあるが、歴史上、隕石に当たったり、隕石の空中爆発で死んだ人の記録は公式には存在しない。せいぜい隕石に当たって死んだかもしれない人が2人、ないしは隕石で滅んだかもしれない都市の市民が長い人類史の中で多く見積もっても13万人いるだけだ。それに対して雷では毎年のように世界のどこかで2万人以上が亡くなっている。この矛盾は恐竜を絶滅させたような、落ちてきたら確実に文明が消えてしまうような巨大隕石による死亡確率を含んでいるせいでもある。それと同じで株価が大暴落した時の損失は大きいが、株価の大暴落なんてものは10年のうち数えられる回数しか起こらない。残りの99%以上の日は想定された範囲で乱高下するだけ。滅多に起こらない大暴落の予兆を摑むとか、巻き込まれてもうまく損切りできるようにプログラムが組まれていれば、何兆円も動かす資金力のある機関投資家であれば、そうそう破綻することはないぞ』
1990年代に自動取引が始まるまでは、運用資産は適切に分散投資さえしていれば、資産は3000万円もあればバブル崩壊のようなアンラッキーがない限り確率的に大損するケースは少ないと言われていた。それが1億円あっても資産を吸われる側になったと言われる時代が始まり、それが3億円、10億円と急激なインフレを起こして、今は何十億円あれば運用している資産が安泰になるのだろうか。
そうなった理由は闇の支配者たちがGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)を始めとするITプラットフォームを押さえているメガテックを裏で操っているためだ。その立場を利用して彼らに都合の悪い情報にフィルターを掛けたり、欺瞞情報を流したりして作り出した情報の非対称性を悪用して市場をコントロールしているからだ。その外にある真実を知らない限りウソの情報に踊らされて、資産が何兆円あろうと奪われる側にいて安泰は望めない。だからこそインターネットが普及してから30年という短い時間のうちに、急速な富の集中が起きているのである。
1997年に始まったアジア通貨危機こそが、まさにITプラットフォームを支配するようになった闇の勢力によって引き起こされた最初の事件だったのかもしれない。これは表向きにはヘッジファンドが最初にタイ・バーツを狙って仕掛けた金融事件である。その後もマレーシア、インドネシア、韓国と次々と標的を変えて仕掛け、ハゲタカファンドたちは何兆ドルもの暴利を貪った。
そのハゲタカたちは最後にバブル経済崩壊以降の長期不況に苦しむ日本を標的として仕掛けてきた。だが、そこは相手が悪かった。情報に踊らされたアジア各国の金融当局とは違い、日本銀行と組んだ財務省は流れてくる情報をいっさい無視して、ただ一定の速度で淡々と保有する米国債を売って投げ売りされた日本円を買い支え続けた。いくら長期不況に喘いでるとはいえ、当時の日本はまだ世界第2位の経済大国だ。その結果、何十社というヘッジファンドが次々と倒産し、何千人というディーラーたちが巨額の借金を作って行方不明になったそうだ。金融の世界は欲を出して選択を間違えれば、一瞬で無一文になる恐ろしい世界。そしてどんなに巧妙な欺瞞情報を流しても、それを物ともしない相手には何の効力もないというだけの話である。
なお、ヘッジファンドはそのことで日本に深い恨みを持ったのか、その後も2回にわたって金融操作を仕掛け、2度とも手痛い失敗を食らっている。そして今の不思議な円安は、実は3度目のリベンジであるというウワサも流れている。先に仕掛けておいて、勝手に逆恨みして執念深く狙い続けるというのは身勝手にも程がある話である。
「富の不平等といえば、経済学にはジニ係数という指標がありますよね」
ジニ係数。それは横軸に所得(事業収入)を低い人から順番に並べて、縦軸に所得額を描き表したグラフである。富が完全に平等の場合、そこにはキレイな三角形が描かれるはずだ。実際には富の分布には差があるから、三角形の斜辺は直線から下向きの曲線へと変わっていく。この時のへこんだ分の面積と元の三角形の面積の比率が、ジニ係数として表される富──所得の偏りである。
ちなみに完全な平等は0になり、一人勝ちで他の人には1銭も富が渡らない状態が1である。
『ジニ係数については、0.2〜0.3が理想的な富の偏りとして知られてるよな。誰しも最初は知識の少ない未経験者だ。それが長く働くことで経験や教育によって知識や技能が高まり、より高い収入が得られるようになるからだ』
「だから若い人の収入が経験者よりも少ないのは当たり前ですから、そこで差が出てくるのは自然なこと。当然、その何倍もの比率で資産の差も出てきますから、年長者ほど多くの資産を持ってるのも自然なはずなんですけどねぇ」
それなのに、それをマスゴミが悪いことのように喧伝してるのは、もう頭の悪い言いがかりとしか思えないのだけど……。
『これが0.2未満となると、それはもう悪平等だ。努力しても稼ぎは増えないのに、怠けててもお金が入ってくるために、そうなった社会は多くの人からやる気を奪って経済成長を止めてしまう。これが0.1を割ると経済は成長どころか衰退が始まり、世の中が貧しくなっていく。平等を理想のように語る共産主義や宗教共同体が、この罠にハマって貧困化していく理由だな。一方で競争社会を演出するために、敢えてジニ係数を0.3〜0.4の間にするという考え方もある。0.3を超えると生活に格差が生まれるが、公正な競争社会であれば、好ましいと考える経済学者も多い。だが、ジニ係数が0.4を超えてくると話は別だ。何らかの搾取がないと、0.4以上にはならないと考えられるからだ。当然、多くの人が不平等を感じ始めて、世の中に不満を持つようになる。そこに何らかのキッカケがあれば、いつでも暴動が起きかねない状態だ。そしてジニ係数が0.6を超えたら暴動が慢性化して、いつ戦争や革命が起きてもおかしくない状態となる』
「今の日本は、どんな状態ですかね?」
『単身世帯を除いて、世帯所得のジニ係数は0.32ってことになってる』
「ことになってる?」
『日本の政府統計では単身世帯や金融所得を除いてる上に、夫婦共働きや大家族だと世帯ごとに合算してるから実態が意図的に隠されているんだ。学者の中には単身世帯や金融所得を含むと0.59とか0.66という暴動どころか革命レベルだって話も出てる。ずっと非正規雇用で結婚をあきらめた氷河期世代なんかは、頭から政府統計の外に置かれてるんだ。もしも高い方の0.66が本当だとしたら、世界でもっとも所得格差がひどい南アフリカの0.63を超えることになる。日月神示では日本が天国になる前に地獄の3段目まで落ちると語っているが、今がまさにその時かもしれん。とはいえ、いくら日本人が我慢強いと言っても、これは行きすぎだ』
当然、そういう世の中になったため、日本の相対貧困率は15.7%と、OECD加盟国の中で上位の高さとなっている。この相対貧困率は、所得中央値の半分以下の収入しかない人たちの割合だ。この数字が高いということは、それだけ国内の経済格差が大きくなっている証拠だ。
ところが相対的貧困とされる人たちの多くは、自分が貧困層だと気づいてない人が多い。それは多くの人が持つ貧困のイメージが、60年以上前から変わってないためだ。
60年以上前の貧困層は食うに困っていた。ボロボロの服を着ていた。だが、知能レベルが低くて金銭管理のできない人たちを除くと、現代の貧困層は普通にPCやスマホを持っているし、少ない予算をやりくりして適度に衣服を新調してる。もちろん最低限の食事も摂れている。むしろ意地でも生活保護を認めようとしない一部の気の狂った自治体を除けば、貧困生活を隠すために服装やバッグ類には気を使っている人たちが多い。これは先進国の多くで見られる現象だ。そのため見た目では誰が貧困かわからないのが今の時代だ。
また今の時代はファストフードや加工食品のせいで、貧困のイメージを裏切る現象が起きている。安い加工食品ほど肥満リスクの高い食品添加物が多く使われているからだ。そのため安い食品を多く摂っている人ほど「食べてないのに太る」という副作用を招いている。中には貧困のストレスから、安い食品を食べすぎてしまう人もいる。貧困ゆえに「残すのはもったいない」と無理をしてもすべて食べてしまう人もいる。そのせいで『貧乏太り』という言葉が作られるほどだ。その結果、今の時代では「太ってる人が貧しいはずがない」という思い込みを裏切る現象を招いているわけだ。
もちろん相対的貧困に含まれない人の中にも、今の時代はそういう理由からの肥満に悩まされている人が多いだろう。
……という言い方をすると、守護神様が「なんで肥満を問題みたいに言う?」と不愉快な感じになるんだけどね。
「所得に対して富の不平等もジニ係数で表すことがありますけど、どちらかというと上位1%の資産家や上位10%の持ち資産が、国全体の何%を占めているかという表現の方がわかりやすいですよね」
『それでいうと日本の上位1%の持つ保有資産は、日本全体の11%ほどでそれほど大きくはない。だが上位10%となるといきなり50%以上になることから、日本では一部の人が資産を独占してるというよりも、高収入のある裕福層と貧困化した一般市民にハッキリと二極化してるとわかるな』
「純資産4000万円もあれば上位10%に入れるのですから、入れ替わりは激しいですよね」
『それを給与所得で得ようと思ったら難しいが、きみのような自由業者や独立してやってる自営業者、ないしはトレーダーだと、波に乗るとポンと超える可能性のある金額だ。だが、日本の高い税金や波のある収入だと、うまく資産運用できないとすぐに上位10%から転落してしまう。上位1%も同じだ。2億8000万円もあれば上位1%に入れるのだから、地価が高騰したところに土地を持ってたとか宝くじで1等が当たったとかでも、その瞬間に仲間入りできる。これも次がなければ落ちていくだけだがな』
よほどの資産家か高給与所得者でなければ、資産を維持するのは難しいだろう。それだけ人の入れ替わりは大きいと思われる。
「アメリカでは、どうなりますか?」
『アメリカだと上位1%が全体の31%もの資産を独占してるぞ。これが上位10%となると68%だ。下位90%の持つ資産と、上位1%の持つ資産がほぼ同じなんて格差が大きすぎるな』
ちなみに日本の上位1%に入る最低限の資産で、ようやくアメリカの上位10%に入れるかどうかである。
今の日本では所得で恐ろしいほどの格差は生じているが、わずか数百家の特権階級を除くと、まだ資産の格差にまでは至っていないという感じだろうか。
『資産の格差については、俺はあっても良いと思ってる。日月神示にもあるだろ。それぞれの土地──村々に、1粒2粒ずつの因縁ミタマを落としてあるというヤツだ。これは土地とは限らん。企業でも学問でも、代々1つのことを家の伝統や芸として継承する家系があっても良いと思う。いや、むしろ遺伝子的に先祖が成功した分野があれば、一族がそこに力を注ぐのは間違った考えではない。そこに略奪型のワンダラーが生まれて、周りをメチャクチャにする場合もあるがな』
「略奪型のワンダラーでも親からの遺伝子で知力や才能を引き継いでいるのに、どうしておかしくなってしまうんですかね?」
『性格や能力には遺伝で決まるものと、決まらないものがあるからだ。親からは体格、知力、才能、身体能力などを受け継ぐ。だが、精神的な強さや弱さは、才能ほど強くは遺伝しない。せいぜい遺伝病としての精神疾患の一部が遺伝するとわかってる程度だ。ましてセンス、創造力、倫理観、価値観、努力する姿勢、根性、物事の道理に関する受け止め方のようなものは、ほとんど遺伝しないことがわかっている。そこは親から学ぶか、学校や経験から学ぶかでも大きく変わってくる』
医学的にもそういうものらしい。自分のアイデンティティの置き場となる伝統などを大切なものではなく、時代遅れで古臭いもの、無価値で捨てても良いものと思い込んでしまうのも、間違った学習によるものだ。
「センスや創造力はともかく、倫理観や物事の道理って……かなりヤバくないですか?」
『そこが略奪型ワンダラーの問題だ。基本的には家業に合った霊統の魂が生まれて、そこで自分なりのセンスや創造力を磨いて良い働きをするのであれば、貴族のように代々続く資産家があっても良いんだ。日月神示にある「清貧は負け惜しみ、清富になれよ」だ』
「正しく稼ぐなんてこと、できるんですかね?」
『それは戦後の「儲かってるヤツは絶対に裏で悪いことをしてる」という左翼思想に染まってるぞ。俺が語れるのは、きみの母方の家系の話だ』
「守護神様は直接のご先祖様ではないけど、そっちの系統の人ですもんね」
『きみは母親の家が、先祖代々藩家老を務めてきた家柄だと聞いているはずだ。そして藩主家よりも豊かで、藩の財政が苦しい時には何度も家老家が資材を提供して支えていた話も聞いているはずだ』
「よく親戚がボロ儲けしてる悪代官だから、藩よりも多くの金を持っていたなどと語ってましたね」
『ははは。そういう自虐的な冗談を真に受けるな。俸禄としての領地経営がうまくて、それで非常に豊かだったんだ。地図を見ればわかると思うが、一級河川に近いところにあった田畑を、わざわざ山の高台を切り崩して作った広い田畑に移している。そのため台風や大雨による河川の氾濫には影響されず、安定的に年貢を集められたことが家を豊かにした理由だ。それに後の時代には放棄した河川に近い田畑に他所から流れてきた人たちが住み着いて耕し始めたので、治水対策として堤防を作るようなこともしてるしな』
「母方のご先祖様は、城下町よりも上流にある山がちな土地をもらったんですね。一方で、昔から田畑の広がる城下町よりも下流にある土地を藩主様や他の有力武家たちが自領としたけど、ろくに治水対策をしなかったために川が氾濫するたびに年貢不足に苦しめられてたみたいですね。歴史の本を開くと、幕末に近づくにつれて『苛烈な年貢取り立てが増えたせいで、百姓一揆も頻発して領内が荒れた』とか書かれてますし」
それだけ他の家は土地の管理を何もしてこなかったから、時代が進むにつれて河川の氾濫が増えたのだろう。
そんな荒れる場所に古くから田畑が作られていたのだろうか。答えは否だ。おそらく戦国時代以前の古い時代には、それなりの治水対策をしていたはずだ。だからこそ、そこに豊かな田畑が広がり、のちに城下町となる街も作られたわけだ。それなのに、のちの時代の領主はボンクラで何も治水対策をしなかったから時代とともに洪水被害が増えて収穫量が減っていったと考えられる。それなのに自分たちは何もせず、ただ漫然と今まで通りの年貢だけは取り立てようとしたために郷土史にある通り百姓一揆がどんどん増えたという流れが起きたのだろう。
『地主は最初に天からのおかげを受け取る。それを領内の隅々にまで流すことで、農作物という恵みとして返ってくるんだ。天からのおかげを受け取る家系は必要だ。そして、それを土地の隅々に流す協力者も必要だ。それがうまく流れれば土地は豊かになる。だからこそ城下町ほどではないにしろ領地内に大きめの集落が作られた。そのおかげで明治時代に鉄道が通される時には、そこに駅まで作られたんだ』
「今はすっかり過疎ってますけどね」
『それは終戦直後の農地解放の影響だ。農地だけでなく貸していた土地や建物なども取り上げられて、城下に構えた屋敷以外はほぼ無一文にされてたよな。そして土地にきちんとおかげを流す政治家がいなくなれば、そこが衰退していくのは自明のようなものだろう』
市の中心地から離れていたため、かつての城下町の上流にあった土地は市の開発では後まわしにされるようになった。反対に城下町より下流の土地は昭和の時代は草ぼうぼうだったのだが、広い平地であるために平成になって工業団地として造成され、令和になった今は少しずつ新市街地として人が増え始めているようだ。
この話の余談であるが、城下町とは河川を挟んで対岸にあるのが、かつての清水の土地であった。そこも戦前は栄えてて、今は廃線になったけど、かつては私鉄の終着駅もあったんだよねぇ。
「ところで今回の話であるグレートリセットというか世の建て替えは、今はどのくらい進んでますかね?」
『闇の支配者どもが仕掛けようとしてるグレートリセットという意味なら、来年2027年1月3日をXデーと決めたようだ』
「そんな情報が流れてますね。その準備として今の高値状態にある金融資産を少しずつ売って、これから起こる暴落に備えて手元に戻していると……」
ウォーレン・バフェットだけで8月上旬までに3000億ドルもの資金を現金に戻したそうだ。
「でも、何の通貨に変えたんですかね? まずアメリカドルが紙くずになるとか、銀行システムが数週間使えなくなるとか、その間の貿易の決算はロシアのルーブルと中国の人民元になるとか言われてますから……」
『闇の支配者どものお里が知れる情報だな』
ホント、アメリカドルに次いで国際取引量の多いユーロや日本円、イギリスポンド、オーストラリアドルじゃないところで、情報源が丸わかりだと思う。
近年まで世界中で左派思想が猛威を奮っていた。だから闇の支配者たちは今の資本主義社会を壊して、左派思想に染まった世の中を築こうとしてるとわかる。
『そのような世迷言が実現する世界線はない。すでに神々による建て替えであるナルトが始まってる。闇の支配者どもが目指す世界は少しずつメッキが剥がれてきてるし、まずは実行犯とも言える最前線で搾取してきた小者たちから地に落とされ始めてる。7月、8月になって動きが出てきたぞ。これは地上の建て替え──ナルトの前哨戦みたいなものだな。本番は夏の終わり頃にも始まり、年末までには一度終息すると言われてるぞ。まあ、俺は9月のどこかで本番が始まり、最初の混乱が落ち着くのは年をまたいで来年1月になると思ってるがな。ヤツラがグレートリセットに手を出す前には、終わってるんじゃないか?』
「本番というのはアメリカドルの崩壊ですか?」
『そこまで一気に行くとは思わんが、その可能性も否定はできん。今の基軸通貨はアメリカドルだ。それで得られる特権は大きいが、その権威を守るために常に何らかの財政出動が求められている。トランプはその負担が国民のためにはなってないと見抜いて、「アメリカ・ファースト」で軍事費と並んで減らそうとしている。だが、基軸通貨から降りた瞬間、歴史の経験から通貨の価値は3分の1になる。それなのに「アメリカドルはそうはならない」と考えている学者や政治家が多い』
「だからこそ負担を減らすために、降りてしまう可能性はありますね」
『アメリカにとって厄介なのは、他にも財政は健全なのに連邦法によって額面だけで新規の国債発行が止められがちなところだ。額面ではGDP比で130%近い債務残高を抱えてることになってるが、正味ではGDP比で60%しかない。何も問題はないのに国債発行が止められたせいで巡り巡ってお役所が閉められ、その間の公務員の給与が支払われないなんて間違いが何度も起きている。これではマトモな行政運営ができなくなってしまうぞ』
「アメリカでは労働者の2割以上が公務員ですからね。それが議員の政治的駆け引きのせいで給料を何度も止められるなんて、やってられないでしょうね。でも、正味って、どういうことですか?」
『国債が自国通貨建てで発行されているのなら、残高を額面通りに考えるなってことだ。国債は経済成長してれば増えた歳入などによって相殺されるし、いくらでも借り換えができるからだ』
「じゃあ、日本の場合はどうなのですか? GDP比で220%を超えてますが?」
『日本に至っては、ほとんどが形ばかりの国債だ。正味では40%もない。そもそもGDPという指標が時代遅れだ。今の日本の総資産額はGDPの7〜8倍もある。それと比べたら1割未満だ。だから、ちゃんと日本の財政データを読んだ経済学者たちは、日本の財政は世界でもっとも健全なものの一つだと言ってるだろう。むしろ財政が健全すぎて経済成長が止まってるんだ。景気を取り戻すにはアメリカのように正味を60%〜90%まで増やす必要がある。これは中規模を超えた企業の経理でも同じだ。大企業は借入金が多い会社ほど儲かって業績が良い一方で、経理がお金を溜め込んだ会社ほど業績が低迷しがちになるからな』
借金が多いほど黒字になり、借金が少ないと赤字になる。こういう話はお金の動きを家計簿のイメージでしか考えない人には大きな矛盾を感じて理解できないだろう。
家計簿では、ほとんどの支出は消費によるものだ。収入を増やすための投資支出はほとんど家計には含まれてないはずである。つまりお金を産まないものだけの金銭管理であれば、出費を抑えて蓄えを増やすのは、将来的にも正しいやり繰りと言える。
ところが、これが国家の財政や規模の大きな会社の経理となると話は別だ。借金をすれば利払いは必要になるが、借り入れた分だけ自由に動かせるお金が増えることになる。これは金融取引の信用貸しでも同じだ。それによって経済成長や事業拡大してるのであれば、貸主は利子さえ払ってもらえればいつまでも借りててもらって構わないという考えになる。
「ところでアメリカドルって、本当に崩壊するんですかね? 為替の動きでは、むしろ有事の安定通貨として信用が高まってるように思うのですが……」
『それを招くのは日本円の動きだ。日本円は30年以上もの長きにわたって低金利だったために、世界中の機関投資家たちが日本円を借りて金利の高い金融商品に投資をする円キャリートレードで儲けてきた。金融商品の売買手数料を支払っても2%の金利差があれば利益が出るため、円を借りて予定金利の高いものに変えればボロ儲けできたってわけだ。ところが日本円にも金利が付き始めたせいで、今までのような円キャリートレードができなくなった。機関投資家たちは日本円の金利が上がって利益が消えてしまう前に、借りた日本円を慌てて返そうとしている。だが、すぐにお金を用意できないから、金利分を相殺するために円安へ誘導して返却を先延ばしさせてるところだ』
その反動で日本ではバブル期以来の株高と不動産の高騰が起きているのだが……。
「それにも限界はありますよね?」
『当然だ。本来の為替相場は通貨流通量、政策金利、同じ先進工業国同士なら購買力平価などで決まる。今の通貨流通量なら1ドル110円、政策金利なら1ドル130円、購買力平価なら1ドル65円って感じだ。ところが実際の相場は、どれよりも安い1ドル160円になってるのが問題だ』
「そこで労働対価でも決まるとか、現金主義が円安へ誘導してるなんて理屈が出てきましたよね。日本では給料が安すぎるから後進国化して円安に向かってるとか、訪日客が増えてるのに現金主義が強くてカードの使えない店が多くて不便なのが円安に引っ張ってるとか……」
『「膏薬と屁理屈はどこにでも付く」の典型だな。そもそも日本以外の国がインフレで苦しんでるのは、その国の通貨の価値が急速に落ちているからだ。日本は不況だからインフレが抑えられているというのも屁理屈だな。どんなに不況でも、通貨の価値までは誤魔化せん。本当に日本円の価値がなくなってたら、不況かどうかとは関係なくインフレになってるはずだ。実際に歴史上、本当に国内経済がおかしくなる不況で苦しんだ国は、その多くがハイパーインフレに襲われて通貨が紙くずになってる。ところが日本という国の経済力から算出される理論値としての日本円の実力は、購買力平価に近い1ドル70円に近い60円台を示している。だから長期的にはそこへ向かってくはずだ。だが、今は多くの為替トレーダーが何者かの情報操作によって円は1ドル200円の価値しかないと思い込まされて、意図的にそちらへ向かわされている。それが160円で止まってるのは、本来の価値から遠ざかっていくために抵抗が大きくなっているからだ』
「本来の価値よりも円安なら、日本経済は好景気に沸いているはずなんですけどねぇ」
『数字の上では2024年から空前の好景気になってるぞ。おかげで税の自然増収で、国や自治体の歳入が爆上がりしてるじゃないか。2024年度で4兆円、2025年度は更に9兆円もの税収が増えている。食料品の消費減税に必要な5兆円の財源はこれで確保されてるし、まだ8兆円も余ってるから外食産業分も減税できるぐらいの取り過ぎだ』
「たしかに……。でも、それが市民の給料には反映されてないので、市民生活は不況のままですよね」
『円安を作ってるのは、資金力のある海外の機関投資家やウソ情報を流している闇の勢力だ。日本の生活者を長期不況で苦しめてるのは、不良財務官僚と一部の身勝手な大企業だな。海外の機関投資家は日本円での最後の荒稼ぎのつもりで、日本での株と不動産を高騰させるバブル景気も起こしている』
「ん? 今の株高はAIバブルなのでは?」
『日本では正しくない。たしかにIT化を進めている会社の株が高騰してるのに対して、旧態然とした体質の会社は株安で置き去りにされてる一面を見ると、表向きは日本でもAIバブルが起きているように見える。ところが世界市場をほぼ独占する半導体素材メーカーのような、いくつかの優良な寡占企業の株価で業績を無視した謎の株安が起きている。何者かが意図して価格操作を仕掛けてる証拠だ』
「安くしておいて買収を狙ってるんですかね?」
『だろうな。だが、天界の神々はそれを許さないと言ってる。買収しようとする前にアメリカドルの価値が暴落するなどして、買収に必要な資金を確保できなくなるはずだ。連中はそうなる前に日本円の価値を落とそうと(2026年の)1月20日に日本国債の暴落を仕掛けてきた。ところが同じ日にトランプが日本円に対してドルを安くして貿易を有利にしようとする逆の市場介入をしてたんだ』
「それで、互いの市場介入は打ち消されちゃったんですか?」
『いや、トランプの仕掛けた介入の方が勝った。そのあともトランプは何度も市場介入を行わせている。ニュースでは7月30日に28年ぶりとなる大掛かりな日米協調介入があったと語られてるが、トランプは今年前半だけで合計20兆ドル規模の市場介入をやらせてたんだ』
とにかくトランプ大統領は金融取引や仮想通貨のような虚構経済をトコトン嫌っている。だからアメリカ大統領に再選して2期目が始まった途端、いきなり「アメリカ・ファースト」と言って海外からの輸入品に高い関税率をかける暴挙に出た。トランプ大統領は国内の輸出産業が復活して、アメリカが強い工業国に戻ることを望んでいる。そのアメリカ工業にとって、ドル高は最大の障害というわけだ。
それともう1つ、行き過ぎたドル高はアメリカ国債の暴落を招く恐れがある。適度なドル高ならば相手国の輸出にとっては有利だから放っておかれるが、行き過ぎたドル高となると相手国は輸入コストの増大を防ぐために政府介入の必要に迫られる。その時の政府介入の多くが、保有するアメリカ国債を売るという形で行われる。その時に売りに出されたアメリカ国債をすぐに誰かが買い取れば為替相場がドル安に動くだけで済むが、需要を上まわって市場に溢れた時が問題だ。市場ではアメリカ国債を売るために、満期までの期間が長い国債ほど政策金利よりも高い金利が設定されることになる。この金利の高振れは、通貨の信用低下を示すバロメーターだ。ただし、どこまで金利が上がれば通貨の信用が失われたと見なせるのかには諸説あるので何とも言えないが、今のアメリカの政策金利だと30年モノ国債の金利が5%を少し超えたあたりが危険水準ではないかという話が流れている。
ちなみに、そのアメリカ国債を世界でもっとも保有してるのは、世界一の債権国である日本である。それは同時にその分だけ、日本が市場介入できる資金を持ってることになるのだが……。
「日米が市場介入した何兆ドルという金額は一見すると大きいですけど、毎日のように市場で動く金額全体で考えると微々たるものですよね。しばらくしたら元の相場に戻ってしまうんじゃ?」
『その通り。過去の協調介入の時にも起きたが、両政府が介入しても為替相場はすぐにV字回復していた。それどころが回復したあとは一時的だが、介入した前よりも円が安くなっていたんだ。とはいえ、それはあくまで一時的なものだな。そのあと円高が一気に進んでいったぞ』
「ありましたねぇ。プラザ合意で1ドル240円から介入したあとのV字回復で250円まで落ちたあと一気に120円まで急騰したとか、バブル経済が終わって日本経済は不況で苦しんでるのに1ドル135円が一時140円台後半まで安くなったあと80円を割るまで高騰してしまうとか……」
そのパターンでいくと今回も一度160円代後半ないしは170円台まで円安が進んだあと、一転して1ドル70円に向かっていくのだろうか。でも、
『それにしても今回の協調介入のあとの動きは、過去とは少し違っているな。協調介入で1ドル163円が157円前半まで円が高くなったあと、2週間かけて159円までは戻している。過去のV字回復と比べると動きが遅い』
「そのあたり、すでにアメリカドルには戻せるだけの力がないんじゃないかって意見も出まわってますよね」
『それについては、さっきも触れたぞ。今の円安は本来の円の実力から離れすぎているために、安くしようとしても抵抗が大きいのだと。その意味で1ドル160円に戻せないのは、きみの聞いた意見通りにドルの実力が落ち始めた可能性も考えられる。それ以外にもアジア通貨危機の時のトラウマがあるから、大手の機関投資家たちがあからさまなV字回復をためらってるだけかもしれんがな』
「経済力最強の日米政府が相手ですから、大手の機関投資家にとっても相手が悪すぎますよね。でも、円キャリートレードが使えなくなった機関投資家たちにとっては、今回の急な円高はかなりの痛手になりますよね?」
『当然、そうなるな。円安が始まったのは2022年からだが、歴史的な円安が始まった2024年以降が、円キャリートレードを使っていた機関投資家たちにとっては体質を改める最後の猶予期間だったはずだ。それがトランプのやらかしで突然時間切れにされたかもしれん』
「トランプ大統領のやらかしで時間切れ……ですか? やらかしって……」
『今のところは輸入関税、軍事介入、そしてドル安を狙った為替介入の3つだ』
「関税については、いろいろ言われてますね。トランプ大統領は関税を輸出国が支払うもので、物価に上乗せされて国民が負担するものだとは思ってなかったって……」
『とにかくトランプの考えてるのは「バイ・アメリカン(アメリカ製を買え)」だ。まずはアメリカ製よりも、輸送費がかかっても安く入ってくるのが許せないって考えだ。そして安いのには理由がある。その裏には不当廉売や不公正な輸出補助金、そして安く作らせるための違法な強制労働があるという主張だ。日本に対しては消費税の輸出還付金が輸出補助金に当たるとして是正を求めてる。これは消費税導入直後のクリントン政権の頃から、ずっと言い続けてることだ。それと日本にあるブラック企業の存在や全体的に安い賃金、それと有給休暇を自由に取れないような古い労働慣習が日本製品を安くしている強制労働にあたるとして、国際基準に合わせるように要求してきてるしな』
「日本の賃金が安くなったのは、アメリカのビジネススクールで学んでMBAを取ってきた人たちが、かつて利益の60%以上を人件費としていたのを20%以下に抑えるように指導し続けた結果なんですけどねぇ」
『そこはアメリカで教えていた内容の問題ではない。アメリカは設備投資に金をかけ、生産性を高めた上で人件費を抑えている。それに対して日本に帰ってきた経営コンサルタントどもは肝心の設備投資には金をかけさせず、ただ20%という数字だけを独り歩きさせてきた。とんだ愚か者どもだ』
「日本企業の設備投資や労働者に還元するべき労働の対価を、株主への配当にまわさせるようになった元凶ですね」
『今の日本の経営者というかエリートは外国から入ってきたウソや間違いを何も考えずに素直に聞いて実行してしまうから、建て替えの前の30年間、日本が世界でもっとも底辺に位置する生き地獄になったという理屈はわかるよな?』
「地獄の三段目、地獄の底の底、ですね。マトモな人たちほど生きづらい、悪の栄える時代というか……」
今の時代のエリートは、教えられたことを学び答える力は強いが、それが正しいかどうかを疑う力に欠けている。しかも学んでないことを自分の頭で考える場合、必死に考えるほど『確実に間違える』という特技まで持っているのだ。これは「消費者はバカだから騙してもバレない」とパッケージ詐欺や上げ底弁当などの包装技術を洗練させたセブン・イレブンや、昨今の米騒動で「米は主食だから高くしても消費は減らない」と考えた農協や米流通の中間業者などの幹部連中が良い例だ。どちらも欲の皮が突っ張って、自分に都合の良い未来を描いた。だが、現実は世間からの信用を失って、致命的な客離れを起こしている。その結果、セブン・イレブンはコンビニ業界で「一人負け」と言われるほどの業績の落ち込みを見せた。米業界も高騰前の3倍近い異常高値を起こした結果、世の中を完全に米離れに向かわせた意味で愚か者の極みだった。
実際、著者は問題が起きて以降、セブン・イレブンには行かなくなったし、お米も高騰前は1日2食は食べていたのに、今ではすっかりパンが中心で、他に麺類やお好み焼きを作って食べるのが当たり前になってしまった。お米を炊く時は今でも3合ずつ作っているのだが、それを小分けにして食べきるのに半月から1か月はかかるのが当たり前になっている。しかも大麦で1合嵩増ししてるのに……だ。
この原稿の進みに手こずってたおかげで、書き上がる前に令和8年の新米が5kg2000円台で出まわり始めた。それに対して一部の地域やスーパーでは古米になった令和7年産が5kgあたり2000円未満に暴落させてはいるものの、多くの米業者は今なお損切りする覚悟ができず、古米が例年よりも5倍近い在庫量を抱えながらも新米よりも高い3000円台、4000円台で売り続けている。さすがに古米に合わせて新米を4000円以上で売るような厚顔無恥なところは報告されてないようだが……。
ということで一部ではあるが米価格の大暴落は始まったが、今のところ米離れした消費者は新米にも安くなった古米にも手を出してない人が多いようだ。おそらく米価格が高騰する前より下がっても、しばらく需要は戻らないと思われる。
そのおかげで地域限定ではあるが銘柄米の『あきたこまち』の新米が、5kgあたり税別1780円まで下がったという報告も流れる事態になっている。
著者個人としては、おそらく1度は10kg3000円台前半で何度か買って米離れからお米を食べる日常に戻さないと、高騰前のようにお米を買わないかもしれない。それでも食習慣が戻ってしまえば、昨今の物価高から10kgあたり4000円ぐらいなら受け入れると思う。
一方で下がっても5kg2000円程度では、正直、今のままパン食や麺食を続けることになるだろう。お米は2kg買っても2〜3か月は保つ今のレベルが続くと感じている。これは高騰前の半分以下だ。それに米食に戻ったとしても大麦を1合加える炊き方を続けるのか、それともお米だけで炊くように戻るのか。そのあたりも我がことながら想像がつかない……。
と書いたところで話が長くなってしまったので、今回の話は一旦ここで切らせてもらう。
グレートリセットの最新情報については、次回で取り扱うこととする。




