アレク、マージュ、クラディスVS綾羽
寝落ちしてました。すみません。もう1話も昼あたりに投稿します。
組織の名前がそのまんま。三大最高幹部っ!それってめちゃくちゃ強いんじゃ?それに、東海綾羽だとっ!日本語⁉︎どう言うことだ?こいつは日本人なのか?
そう考えたが、その次の瞬間、俺の前にいたアラン、そしてその後ろにいたルナ。2人の前に綾羽が一瞬現れ、その次の瞬間、アランとルナが吹き飛ばされた。
「がっ!」
「きゃっ!」
「ルナっ!アランっ!」
アランはとっさに剣で受けたのだが、その剣ごと吹き飛ばされる。そして、刀身にはヒビが入り、あと数回で壊れる事は明らかだった。
ルナも吹き飛ばされて、そのまま気を失ってしまった。だが、手加減をしてくれたのか、ほとんど外傷はない。命は取られていない……はずだ。そう仮定する。
それよりも、今はアランの剣を破壊した綾羽の方が優先だ。あの剣は確か……俺と同じ低級魔石を使っている剣のはずだ。つまり、俺の剣もあんな風になる可能性が非常に高いってことにある。
「ルナ!アラン!……よくも娘を!『我が炎よ。膨張せよ!炎球》!』」
短縮詠唱した《炎球》を、綾羽に向けて放つ。その数は5発だ。俺は1発ずつしか放てない。さすがは魔法騎士団団長。
「私も忘れないでください。『大いなる風よ。我が操りし傀儡となれ!《操風陣》!』」
本気モードのグラシアさんが、この周辺のの風の軌道を操る。綾羽の動きを制限するような暴風と、アクシオスさんの放った《炎球》の軌道を複雑に、より避けにくくするように操る。
「あははっ、ちょっとまずいかも」
綾羽はそう呟く。だが次の瞬間、アクシオスさんとグラシアさんの、息を合わせた連携の魔法攻撃。綾羽はそれを、おそらく《操風陣》を無詠唱で行い、《炎球》の軌道を強引に書き換えた。魔法騎士団第三部隊隊長の《操風陣》を乗っ取り、さらに上の技量にして返したのだ。
「嘘っ!あれは私が使った《操風陣》よりも上級に位置する魔法、《操暴風陣》ですっ!」
グラシアさんがそう叫ぶ。なるほどな、上書きを出来るわけだ。しかも無詠唱でやりやがった。
「確かにそれもすごいが……あいつの詠唱が聞こえなかったぞ!何かしらの魔道具かもしれん!全員気をつけろ!」
アクシオスさんが全員にそう警告をする。確かに無詠唱を行えるなんて、より魔法に詳しい人ほど考えつかないだろう。
「「トキヤ様(ご主人様)!」」
「トキヤ!」
チワやハズク、ガルーダさん、アレクたちが合流してきた。そして、ルナやアランの現状を見て、あの女の子はやばいと感じ取ったのだろう。そして、チワとアレクが人一倍驚いていた。
「「トキヤ(ご主人)様、ルナ(とアラン)をやったのはあの子ですか?」」
「トキヤ、アランをやったのはあの子か?」
チワとハズクがルナと、ハズクが一応アランを。ガルーダさんがアランについて尋ねた。
「そうです」
「「「そう(です)か。なら、殺します」」」
チワとハズクとガルーダさんが殺気をだして呟いた。だが、綾羽はそれを気にすることがない。そして、チワ、ハズク、アランを見て驚く。
「あれ?あなたたちは……確かそこに人と一緒に居た人たちだよね?」
「君が2人をやったんだな?……可愛いからって手加減はしない。全力で潰すが、構わないな?」
アランがそう尋ねる。
「やれるものならね。私は殺さないように手加減するけど」
綾羽がそう挑発をする。
「「「舐めるなっ!」」」
アレクが突っ込む。マージュはアレクに《速度上昇》の魔法を掛ける。綾羽がそんなアレクよりも早い速度で迫る。
そんな綾羽に向けて、クラディスが事前に放ってあった投げナイフがあった。だが、綾羽は一切の減速無く、全てを避けきった。
そして、アレクと綾羽が対峙した。アレクは両手剣で右から左に横水平斬りを放つ。全ての勢いをその一撃に乗せたのだ。だが、綾羽はアレクの放った両手剣での一撃を、ジャンプして避ける。
さらに、綾羽はアレクの両手剣の上に乗っていたのだ。そして、アレクの両手剣の勢いは、留まることを知らず、左方向に行く。
綾羽はその勢いを利用して、両手剣の上という不安定な足場ながら、蹴りをアレクの横顔にぶち込む。アレクは自分の攻撃を逆に利用されたのだ。
「アレクっ!」
「くそがっ!」
アレクを一撃で倒した綾羽は、次に近い位置にいたクラディスに近づく。クラディスは本来近接格闘戦闘は不得意だ。
「くっ!エリーエリーエリーエリーエリー!!!……ふぅ……よしっ!」
何がだ?クラディスはエリーの名前を連呼して、自分なりのルーティーンでもしたつもりなのだろうか。俺だけで無く、全員が、綾羽までもが引いている。
「しゅっ!」
クラディスは綾羽に向けて投げナイフを投げる。綾羽は当然避ける。だが、クラディスが投げナイフを投げた両腕を後ろに引っ張る。すると、投げナイフの軌道が変わり、後ろがガラ空きだった綾羽の背中に向かっていく。
投げナイフには、蜘蛛の糸みたいに丈夫で、とても細い糸が巻かれていた。それでクラディスは操っていたのだ。綾羽の背中に投げナイフが刺さ……らなかった。綾羽は死角からの投げナイフを避けたのだ。
「ふぅ〜、危ない危ない。やっぱりこの体に生まれてよかった」
綾羽はそのままクラディスを殴り飛ばす。アランやルナの時は見えなかったが、あの威力は明らかに異常だ。
よく見ると、綾羽自身には痛みが全くないように見える。無属性魔法《身体強化》なんてものでも使っているのかもしれない。
それよりも、真後ろからの攻撃を避けるとか、一番視野の広いハズクでも不可能だ。スキル、魔法のどちらかを使っているのかもしれない。
無詠唱、本当に厄介すぎる!……いや待て!鼻の長い動物……象……ではない。思い出せ!雪がテレビで見ていたはずだ。…………思い出せ!
鼻が長い、手足がスラリとしている。象ではない。…………ハナジネズミだ。そうだ、思い出した!ダ○ウィンが来た!、でやっていた!
名前が面白いのと、見た目が可愛いので、印象に強く残っていた。確か、鼻が良く、警戒心が強いだっけ?そんな感じだったはずだ。
つまり、あの鼻のおかげなのでは?投げナイフに染み付いた、クラディスの匂いが強くなったから避けれたのかもしれない。
だが、そんなことが分かったところで……何も出来ない。俺はいくつものミスを犯してきている。
連携が取れていないのだ。先程から、騎士団所属は騎士団のみで。パーティごとでの連携でしか、攻撃をすることができていない。これでは数の優位性がほとんど意味を成さない。俺のミスだ。俺がそう後悔していると、マージュに頭を少し殴られた。
「トキヤ!あんたが今何を後悔しているのかは多分だけど分かるわ。でも、それは今するべきことじゃない。次につなげるための行動。でも、今は今が一番重要なの。さっさと指示を出してちょうだい。あんたはアレクが見込んだ男なんだから!」
……あぁ、そうだったな。まさかマージュに励まされるなんてな。そうだ、俺たちはまだ負けちゃいない。確かにもう、4人も戦闘不能者を出してしまったが、まだ俺、チワ、ハズク、マージュ、アクシオスさん、グラシアさんがいる。
…………だめだ。この6人でも、勝てるビジョンが思いつかない。どうすれば!どうすれば良い!
「ねぇ、もうやめにしない。もう、絶対に勝てないよね?無駄に命賭けるなんて馬鹿げているよ」
綾羽がそう言う。だが、俺を含めてそれに言い返す人は1人もいなかった。心の中ではみんなそう思っているんだ。俺はそう思った。
そうだ。諦めてしまえばいいんだ。そうすれば、みんなは殺されることもない。わざわざ命を賭ける必要もない。
トキヤはそんな思想に囚われた。かつてないほどの実力差は、トキヤの心を折ったのだ。そして、さらに事態は悪化する。
「遅いと思ったら、アヤハ、何油を売っておるのじゃ?」
急に綾羽の近くに現れたのは、小さな少女だった。綾羽の仲間だろう。しかも、小さい体なのにあの態度。階級が綾羽と同じかそれ以上の可能性が高い。つまり最低でも、同じくらい強いってことになる。
「何者だっ!」
アクシオスさんがその少女に尋ねる。
「我か?我は三大最高幹部が1人、ハシモト・キョウカじゃ」
2人目の三大最高幹部が現れたのだった。
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あと、私のもう1つの連載作品の
『普通を求めて転生したら、剣の勇者の息子で杖の勇者になっちゃった〜剣技と魔法で最強〜』
も、是非読んで見てください。