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目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
第五章〜組織の三代最高幹部編〜
89/158

白殺虎再び

総合評価160ポイント突破!

読んでくださっている皆さん、ありがとうございます!

「…………暇だな」


「………釣りってそう言うもんだろ?」


アレクの言葉に俺はそう返す。俺たちは今、リズナベルフィッシュを釣りに来ていた。半年前のヘプトさんみたく、剣で取ることもできるが、それだとつまらないと言われ、今は普通に釣りをしている。


そして、一匹も釣れぬまま三時間が過ぎていた。チワとルナは釣りに飽きたのか、水浴びをしている。アレクはそっちが気になっていたので、とりあえず殴った。


「まぁ、時間は潰せているし良いだろ?最悪、剣で人数分のリズナベルフィッシュを取っていけば問題はないだろうし」


「そうだな。……はぁ、暇だ」


「言うなって」


そして一時間が経った。その時、アレクの竿に獲物が引っかかった。


「おっ!キタキタ〜!」


ヒュッ!


アレクが急いで竿を引く。リールは無い。そして、釣れた魚が姿を現した。リズナベルフィッシュだ。


「トキヤ、あれがリズナベルフィッシュか?」


「おう!」


多分だけど。


「分かった!うおぉぉぉぉらっ!」


そう言って、全長50センチほどのリズナベルフィッシュが釣れた。いや、でかっ!でかすぎるだろ!ピチピチと陸に上がったリズナベルフィッシュは跳ねている。


「はっはっはー、俺の勝ちだな」


「勝負なんてしてないだろう。て言うか大き過ぎないか?普通にこんなものなのか?」


「こいつの存在すら知らない俺が知ってるわけないだろう?まぁ、持っていけば分かるだろう」


「そうだな。じゃあ、この調子でガンガン釣るか」


そしてその後三時間が経っても、2人の竿には一匹も掛かりはしなかった。だが、一匹は釣れたので良しとしよう。それにあの大きさなら、全員で食べきるにはちょうど……良くはないけど良いだろう。


「帰るか」


「そうだな」


俺たちは一匹だけ釣れたリズナベルフィッシュを、大きなクーラーボックスみたいな形の水を入れた箱に入れる。箱のサイズがギリギリだ。だが、入っていることからこれが正常サイズなのだと、俺とアレクは理解した。


「トキヤ様、それで釣りはどうだったんですか?」


チワが俺の成果を尋ねてくる。


「どうもこうも、別に何もないよ。リズナベルフィッシュが一匹だけ。しかも、釣ったのはアレク。俺って釣りの才能はないんだな」


「別にトキヤには釣りの才能がなくても良いぐらいに、別の才能があるじゃない。例えば料理とか……料理とか……料理とかよ」


「ルナ、料理しか言ってないぞ?」


「……」


まぁ、1つぐらいあげる才能があったと喜ぶべきか。しかも、今から早速みんなのために使える才能だしな。


「良いなぁトキヤは。女そんなに侍らせて」


「はぁ?この2人はそんなんじゃないぞ?なぁ?」


「「…………はぁ」」


アレクに言われたので、俺はそんなことはないぞと2人に確認を取ったのだが、2人は顔を見合わせ、しばらくしてからため息がハモる。


「トキヤってなんでそんなに極端なんだ?」


「なにが?」


「鋭かったり鈍かったり」


「……?」


アレクはもう手遅れ、お手上げみたいな感じで両手を上げてため息をついた。なんか若干バカにされたようでイラっとしたが、アレクのことだ。的外れでもないんだろう。


「ねぇねぇ、その魔物、どうするつもりなの?」


「え?」


急に声をかけてきたのは俺と同じぐらいの身長の女の人だ。魔物?なんのことだ?そう考えていると、その女の子はリズナベルフィッシュに指を指す。


「それ、リズナベルフィッシュだけど、魔物化してるよ?もしかして、旅の人?初めて見たの?」


上目遣いでこちらを見てくる。


「え?……あ、そうだったの?通りで大きいはずだよ。アレク、これ魔物化してるらしいって」


俺はその事をアレクに伝える。もしかして、こいつが魔物化してたから、他のリズナベルフィッシュが居なかったんじゃ?


「え?まじかよ……ちょっと待て、お前はまた女の子を増やすのか?」


「俺は増やしたくて増やしてるんじゃないよ!て言うかそう言うのは失礼だろ!悪いな、こいつ女好きだから。あと、教えてくれてありがとう」


「良いよ良いよ。私も初めてだったから」


そう言った女の子の顔を見て多少驚く。その子は亜人だった。特徴としては鼻が長い……でも、像ではない。他の動物は……見た目はネズミ……か?


「あ、ごめん、驚かせちゃった?」


女の子は顔を隠すようにそう誤った。


「いや、そっちのチワも亜人だから、別に大したことはないよ。ちょっと珍しかったから……ごめん、気を悪くさせちゃって」


その子はチワを見て驚く。亜人が普通にいることに驚いているのだろうか?


「……う、ううん。ありがとう、そう言ってくれたのは、あなたが初めてだったから……ありがとう」


「こちらこそ。それじゃあまたね」


「うん、あなたとはまた会いたいな。またねっ!」


そう言って、その亜人の子は去っていった。あの子はどこに住んでいるのだろう?この辺りかな?


「「「トキヤ(様)はああやって女を増やしていくんだ(いくんですね)」」」


チワ、ルナ、アレクはそう呟いた。


「変な言い方をするな。…………それで、この魔物どうする?」


「動物が魔物化した場合、肉は不味くなるんでしょ?なら、普通に処分じゃなくて良いの?」


「確かにそうだけど……村の特産品が魔物化してたんだし、一応村の人たちにも知らせたほうがいいんじゃないか?」


「そうだな。帰ったら、宿の人間にでも言っておくか」


アレクのその一言で、俺たちは話を終わらせて宿に帰った。


「なにぃ!魔物だとぉ!」


「はい」


「ふ〜む……」


ガルーダさんにリズナベルフィッシュが魔物化した事を伝える。


「もしかしたらですが、白殺虎(ホワイトデスタイガー)の出現と関係があるかもしれません。……魔猪(デビルボア)の後に、白殺虎が現れましたし」


「……ふむ?……やはり、俺にはこういう考え事はできん。ヘプトを連れてくるべきだったか」


うん、確かに。でも、どうせなら二人とも来てほしかったんだけどな。


そして時間は過ぎていき、夜になった。俺はこの村の魚屋さんから、リズナベルフィッシュを改めて買って料理をした。


相変わらず好評だったな。確かに白身なので淡白なのに、肉汁や油が滲み出てきて、ハズクとルナが舌を火傷をしていた。ハズクは早くに食べ過ぎて、ルナは猫舌で。


さて、もう寝る時間だ。別に昨日みたいな会話もない。魔物化したリズナベルフィッシュを見たんだ。昨日とは全然空気が違う。


全員が眠れないようだ。……いや、ガルーダさんだけ大きないびきをかいて寝ている。神経太過ぎだろ。はぁ……寝るか。いざという時に寝ぼけて本気出さないとか、そんな最悪な展開で死ぬとか嫌だしな。俺の意識は徐々に薄れていった。


***


トントン


肩を叩かれた。少し寝ぼけながらも、俺は目を覚ます。アランが俺を起こしてくれたようだ。俺の見張りの番らしい。


「起きろトキヤ、俺たちの命は、今からお前の手にかかってるんだ」


「……了解……」


俺はそう言って、部屋の外に出る。季節はまだ春だ。そのため、夜は少し冷える。この場所にいたら、寝落ちもないだろう。さらに、一応だが顔を突っ込むようの冷水も用意されてある。


「ふぁ〜あ……暇だ〜」


いっそのこと、外で素振りでもしてくるか?いや、それだと体があったまり、疲れて寝落ちする可能性があるな。やめておこう。


そして、1時間と10分が経った。そろそろ交代の時間だ。俺は部屋で寝ているアレクを起こそうと、部屋に入るため、ドアノブを捻ろうとしたところで、あの声が耳に入った。


グルァァァァァァァ!


俺はとっさに手で耳を覆う。あの声だ。聞いたことがある。決して忘れるものか。そう、白殺虎だ。


バン!バン!


「全員起きろ!白殺虎だ!」


俺は男子部屋と女子部屋を両方開けて、精一杯そう叫ぶ。


「トキヤ君……つまり、今の叫び声がそうなのだね?」


「はい!」


アクシオスさんがそう聞いてくる。そうしているうちにも、全員が装備を整えていく。白殺虎はもう村に現れているのだろうか?


「私、トキヤ君、グラシア、アレク、ルナは白殺虎を。それ以外は住民を避難させるように。解散!」


「「「了解!」」」


アクシオスさんがみんなをまとめ上げてそう指示をする。


「チワ、ハズク、2人は種族を理由に差別されるかもしれない。でも、それでもその人たちも助けてやってくれ。頼む」


「「もちろんですよトキヤ様(ご主人様)」」


俺と2人その言葉を最後に別れた。


***


「なんなんだよぉぉ!」


「魔物が襲ってきてるんだ!みんな逃げろー!」


村は大混乱だ。人が逃げている方向、その逆に白殺虎は居るだろう。……居た。白殺虎は大きいからな。見つけやすい。


「先手必勝だ!『紫電の導きよ。我が敵を射貫け。槍となれ。《雷光槍(サンダーライトニングスピア)》!』」


青白いような、紫色のような色をした雷を槍の形を作る。長さが3メートルほどになり、《雷光槍》が作られる。


「はぁっ!」


アクシオスさんが《雷光槍》を白殺虎に向かって放つ。速い!俺の放つ《火球(ファイヤボール)》の3倍くらいか?……それが分かる俺も俺で強くはなっている……はずだ。


だがその《雷光槍》を、白殺虎は消えたような速度で避ける。


「なっ!……おいおい、あれは無理じゃないのか?」


アクシオスさんからそんな苦言が漏れる。


「団長、あなたがそんな情けない言葉を言わないでください。俺はあなたを目標にしてきたんだ。兄さんが倒せなかったあの傭兵を、あなたが1人で倒した時から」


アランがアクシオスさんにそう言う。


「あ〜、そう言えば、アラン君のお兄さんは副隊長でしたね〜。私も顔は知っていますよ〜」


グラシアさんがアランに向かってそう言う。今から白殺虎と戦う会話ではないな。無駄に緊張してるよりはマシか。


そう考えてる間にも、俺たちは白殺虎の元へと到着した。白殺虎は俺たちを……いや、俺を見つけた途端に動きが止まり、その赤い目を俺に向ける。


「……よう、半年ぶりだな白殺虎。さぁ、リベンジだ。この前とは違うって事、教えてやる!」


その言葉を始めに、俺たちと白殺虎との戦いは始まった。

面白かったら感想、誤字脱字報告、ブクマ、ptお願いします。

あと、私のもう1つの連載作品の

『普通を求めて転生したら、剣の勇者の息子で杖の勇者になっちゃった〜剣技と魔法で最強〜』

も、是非読んで見てください。

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