夜中の会話、リズナベルフィッシュ
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リュビル村に到着した。馬の扱いは慣れないのか、チワとルナとマージュが少し危なかったので、ゆっくりしていたら遅くなってしまった。
「も〜!クラディスはともかく、アレクとトキヤはなんでそんなに乗るの上手いの〜?」
マージュがそう言ってくる。
「俺はハクちゃんが優しく乗せてくれるからだけど……アレクはなんで?」
「俺はスキル『乗馬』があるからな。てかマージュ、仲間のスキルぐらい覚えておけよ」
「教えてよ!」
マージュがアレクをポカポカ殴る。痛くはなさそうだ。されるのはごめんだがな。
「遅いぞトキヤ。発案者が最後に到着とは……かっこいいじゃないか」
そんな事を言われた。声の主が誰かを確かめるべく、そちらの方向を見る。そこにはアランがいた。
「アラン!お前も来てたのか?」
「当たり前だ。お前が良い格好をするのを、俺が見過ごせるか」
アランは後ろを向きそう言う。
「なんて言っておるが、本当は実際はトキヤが心配でついて来たんだぞ。こいつ」
「ちょっ!ガルーダさん、それは言わない約束……違うぞトキヤ!……ニヤニヤするな!」
後ろからガルーダさんが現れ、アランの頭をポンと叩きながらそう言う。アランが俺に対して怒ってくる。別にニヤニヤなんて……してたわ。
「そんな事よりもーー」
「そんな事⁉︎」
「そんな事よりもアランの言った通りなら、ガルーダさんの他の、グラシアさん、アクシオスさんも来ているみたいですね」
「その通りだ。挨拶でもしてきたらどうだ?」
「はい、では失礼します。アレクたちもまたな」
「待ってくれ。俺たちも行こう。会うのも初めてだけど、共に戦う人たちなんだしな」
そう言って、アレクは俺たちについてくるらしい。俺達とアレク達はアクシオスさん、グラシアさんの待つ、宿へと向かった。
「久しぶりだなトキヤ君」
アクシオスさんが会うなりそう言ってきた。
「え?昨日、俺の手料理を食べーー」
「何のことかな?」
「いえ、何でもありません」
なんて会話が少しだけあった。
「トキヤさんは昨日ぶりですね〜。そちらの方々が
トキヤさんの冒険者仲間ですか〜?私は魔法騎士団第三部隊隊長をしている、グラシア・ファイツです。宜しくお願いします〜」
グラシアさんがアレク達を見て、そう挨拶をした。
「どうもご丁寧に。じゃあこっちも俺から、アレクだ。こっちの魔法使いがマージュで、一番奥にいるのがクラディス。一応Aランクだから、足を引っ張るようなことはしないぜ?」
アレクがみんなを紹介していった。そして、アレクは誰に対してもあんな口調なんだと再確認できた。
「ふむ、これがトキヤ君の交友関係か。なかなか良いじゃないか。冒険者である事を考慮して……73点」
アクシオスさん、一体何の採点をしてるんですか?とは聞けないな。
「おっと、すまないな。私1人だけ自己紹介をしていなかった。魔法騎士団団長であり第一部隊隊長でもあるアクシオス・ティンゼルだ。トキヤ君のパーティメンバーのルナの父親に当たる。よろしくしてほしい」
アクシオスさんはそう言って右手を差し出す。
「こちらこそ」
アレクはアクシオスさんの手を握り返す。
「あぁ、うちの世界一可愛いルナに手を出そうものなら、灰すら残さず消し去るからな」
アクシオスさんの脅しに、アレクも若干引きつっている。そして、その発言に異を唱える人が2人いた。
「お父さん世界一は言い過ぎよ!」
「待て、世界一可愛いのはエリーただ1人だ」
褒められたルナ自身と、クラディスだった。
「ほう?うちのルナが可愛くないと?」
「そうはいってない。うちのエリーよりは劣ると言ったまでだ」
「そうか。ちょっとこっちの部屋に来なさい。うちのルナの可愛さを3時間ほど語ってあげよう」
「その部屋に行くのは賛成だ。だが、エリーの可愛さを4時間ほど語りますよ」
「いやいや、では私が5時間ほどーー」
「いやいや、俺が6時間ほどーー」
「「…………」」
「「ちょっと語ってくるわ」」
そう言って、クラディスとアクシオスさんは1つの部屋へと入っていった。
「……何だったんでしょう〜?」
グラシアさんが全員の思いを代弁したのだった。
***
「それでグラシアさん。これって、公務ではないですよね?」
「そうですよ。有給をとって来ているのです。ですので、一応お給料は貰えるので、問題はないのです。今の所はですが」
「では、有給がなくなったときはどうするんですか?」
「さ〜、私は分からないです。ですが団長が『恐らく、トキヤ君の予想は当たっているだろう。時期も近いはずだ』と、仰っておりましたよ?だから、心配する必要はあまりなさそうなのです〜」
へぇ、何でそう思ったのかは分からないが、アクシオスさんが言うならそうなのだろう。……トキヤ君だから、なんて理由では決してないはずだ。そして、有給制度ってこっちにもあったんだな。
さて、夕ご飯は宿の飯を食べた。俺たちがお湯を作り出し、それで体を拭く。だが警戒は怠らない。白殺虎が現れたのは、三度とも例外なく、時間は夜だったからだ。
全員が完全武装とまではいかないが、武器を手元に置いて寝ると決めた。部屋は一番大きい部屋を二部屋取った。当然、男性と女性で分けてある。昨日?一体なんの方でしょう?
いつ、白殺虎が現れても良いように、男性陣が交代で見張りをするように決めた。アクシオスさん、アラン、俺、アレク、ガルーダさん、クラディスの順番だ。
アクシオスさんとクラディスは、ご飯も食べずに5時間ほど部屋で話し合っていた。そして部屋から出て来た時には、お互い肩を組みあって笑顔になっていた。似た者同士、息があったのだろう。
「なぁなぁトキヤ、お前って結局誰が一番タイプなんだ?」
ベッドで寝ていたら、アレクがそんな事を聞いて来た。
「タイプ?……何のことだ?」
「とぼけるなって〜、3人の中で誰が一番好みなんだ?やっぱり一番スタイルの良いハズクさんか?」
……あぁ、そういうことか。
「いや、別にそういう感情はないな」
そう言えばハズクは俺に告白してたよな?あれから何も進展してないな。俺から進展させようという気がないのもだけど。
「嘘つくなって〜」
アレクはそう言ってくる。なんか若干うざいな。
「待てトキヤ、ハズクさんは待て」
アランが急に会話に入ってきた。アランはハズクのことが好きだからな。確かに止めるのも納得がいく。
「だから、好きとかそういう感情はないって。3人とも、大切な仲間なんだから」
俺の言葉を聞き、2人ともそれが本気で言っているのだと感じたのだろう。『な〜んだ、つまんね〜』なんて言われた。
「そう言うアレクはどうなんだ?マージュとは良い関係なんじゃないのか?」
「それこそないない。あいつとは昔っから一緒に居たけど、もう兄弟みたいなものだからな。今更そんな気にはなれねぇよ。第1、あんなガサツな女、俺の趣味に合わねぇよ。トキヤの仲間の3人の方がよっぽど良いに決まっーー」
バーン!
扉が勢いよく開けられた。マージュだ。アレクを睨んでいる。アレクは子犬のように怯えている。まぁ、タイミング的に目的はアレクだろうしな。
「ア〜レ〜ク〜?私のこと、何だって〜?」
とても優しい顔と声でマージュはそう言う。だが、その顔と声には一切、本当の笑顔などはなかった。
「トキヤーーー!アラーーーン!助けてくれーーー!」
そう助けを求めながら、アレクはマージュに引きずられていった。当然誰も助けはしない。
「……寝るか」
「そうだな」
そう言って、俺たちは眠りについた。そう言えば、何故マージュは俺たちの会話が分かったのだろう。……チワだな。おそらく『超聴覚』で聞き耳でも立てていて、その内容をマージュに伝えたのだろう。
自分は寝ずに俺の周囲の警戒をしてくれていたのか。優しいな。などと、トキヤは盛大な勘違いをしていた。
チワはただ、アレクの『好きなタイプ』が聞こえた瞬間に、自身の持てる最大の集中力を発揮して、その会話をみんなに伝えていただけだった。そして結局、その夜に白殺虎が現れるようなことはなかった。
次の日
「なぁ、どうせ来たのなら、観光ぐらいしようぜ?」
「観光って……小さい村だしあんまりないぞ?」
アレクの提案に、俺はそう言う。
「そうか……特産品とかないのか?」
「そうだな。ここら辺は……確かリズナベルフィッシュが美味しかったと思うぞ?」
リズナベルフィッシュ。淡水魚で、この国ではこの辺りのみに生息しているらしい。白身で淡白な味が売りらしい。
「じゃあどっかの店に食べに行こうぜ」
「ちょっと待ってよアレク。今回の仕事、無報酬なんだか、あんまりお金使いたくないのよ。我慢して」
マージュがアレクにそう言う。
「そう言うことなら、俺が奢るよ。それにどうせなら、自分たちで捕まえた方が時間も潰れるし良いんじゃないか?」
「お!そうだな。俺とトキヤ花も確定で、他には誰が行きたい?」
「私はパス。ちょっとそこら辺で魔法の試し撃ちでもしてくるわ」
マージュがそう言って、杖を持って部屋を出ようとする。おそらく、いつ白殺虎が現れても良いように、最後の調整でもするつもりか何かだろう。
「おいおい、魔法使いなんだし、1人は危険だろ?」
「なら、一応俺が付いて行こう。ついでに俺もちょっと試したいことがあるんでな」
アレクがマージュを心配すると、クラディスが手を上げてそう言ってきた。
「そう、クラディスありがとう。行きましょう」
そう言って、2人は出て行った。
「で、ハズクさんたちは?」
アレクはチワ、ルナ、ハズクに尋ねる。
「ハズクはご主人様について行こうと。食べる担当ですが……冗談ですよ」
お前の場合は冗談に聞こえない。
「私もついて行きます」
「じゃあ私も行くわ」
こうして、俺たちはリズナベルフィッシュを釣りに行った。
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あと、私のもう1つの連載作品の
『普通を求めて転生したら、剣の勇者の息子で杖の勇者になっちゃった〜剣技と魔法で最強〜』
も、是非読んで見てください。




