ハズクの欠点
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。一応投稿する前に2回ほど読み直してはいるんですが……すいません。
そうだ、思い出した。こいつは確か……チワを買って一週間ぐらいした頃だったかに急に現れて『そこの亜人奴隷と金目のものを置いていけば命は助けてやる』なんてほざいていたから、2人、と言うかほとんどチワ1人にボコボコにされていたな。
あの時の奴か。正直印象が薄すぎて、顔や声を聞いても思い出せなかったぞ。それはちょっとかわいそうだな。まぁ、2度目は許すなんて事はしないが。
「ぐっひっひ〜〜、さぁ、こいつの命が惜しければ金目のものを置いていけ!早くしろ!」
今度はチワが要求の内に入ってない。自分じゃ返り討ちになると踏んだのだろうか?前はチワの事を……性奴隷だとでも思っていたのか?だとしたら、より酷い目に合わせてやるか。
さて、どうするか?…………………………そうだ。
「……おい!どうした!こいつの顔に傷が付いても良いのか⁉︎」
男はそう言って、ハズクの顔にナイフを近づける。おいおいどうしたんだハズク?お前ならそいつなんて瞬殺だろ?何が理由があるのか?
「あぁ、そうか。それがどうした?」
「と、トキヤ!あんた何言ってるのよ!」
「2人とも、少しの間路地から出ておいてくれないか?」
「ちょっ!なん」
「分かりましたトキヤ様、さぁ行きますよルナさん」
そういって2人は出ていった。
俺はさっき、チワを買った時の、奴隷商人やハイドに対しての態度をとった。俺のその態度に男が……いや、男とルナが驚いた顔をして、声を荒げた。チワはいつも通りの顔だ。
「なっ!それがどうしただと!良いのかよそれで。言っとくが俺は本当にやるからな。後悔しても知らねぇーぞ!」
「はぁ……『我が火よ、球となりて、目の前の男を焼き尽くせ、《火球》!』」
ため息を吐き、《火球》の詠唱をする。そして、右手に《火球》が出る。
「なっ!お前魔法なんて使えたのかよ!てか正気かよ!お前ら、こいつと仲間なんじゃなかったのかよ!」
そう言えば魔法を使える事をこいつは知らなかったな。見せてないし。
「ちなみに水属性も使えるぞ」
『水よ、縄となりて、目の前の男を拘束せよ《水拘束》』
そう言うと、左手には《水拘束》が現れる。そして、《火球》を男に向ける。
「1つ言っておくが、その亜人は昨日知り合ったばかりで、死のうとどうでも良いからな。別にそいつを盾にしようがお前も死にはしないが、怪我はするだろうな。どうする?今ならまだ許すが?」
こう言えばこいつは、保身のために逃げるだろう。ハズクを人質に取り、チワの身柄を求めない理由もそれで納得がいく。
「…………」
「そうか、じゃあ死」
「ま、まて!」
「……なんだ?」
「な、仲間は見逃す。だから許してくれ……」
「嫌だね、他にも金輪際近づかず、金目の置いていけば許すよ」
「なっ!そ、それは」
「じゃあやっぱり……死ぬか?」
「くっ、クソがーー!」
男はナイフを遠くに放り投げ捨てる。そしてハズクを離し、ポケットから銅貨を数枚床に置く。
おいおいそんだけかよ?いや、無いから俺たちの事を襲ったんだろうが……。
そんな事を考えていたうちに、男はパンツ一丁になって居た。その事を確認した後、《水拘束》を収める。
「ふむ、隠した武器などは無いか。ハズク、こっちに来い」
「は…い」
そう言ってハズクはこちらに来る。何故かゆっくりと歩き、俺にもたれ掛かる。変な誤解をされる可能性があるが別に良いか、大したことでもない。それに『ご主人様』と呼ばなかったことは評価するか。俺たちの関係が割れたら、向こうに有利になるからな。
「銅貨をこっちに投げろ。そうすれば逃がしてやる」
そう言うと、すぐに床に銅貨が数枚転がる。そして、男はナイフを置いて『おぼえてろよーー!』と言って、逃げていった。吹き出すのを我慢したぞ。
「さて、ハズク、ハズクならあんな男程度、一瞬で無力化出来たはずだけど……何が理由でもあるのか?」
「……すいませんご主人様。……よく分かりませんが力が上手く入らなくて……朝は確かに少し体がだるい事はよくありますが……ここまで酷いのは初めてですので……すいません、迷惑をお掛けして」
そう言ってハズクは謝ってくる。力が出ない?……あっ、ハズクは確かフクロウがモデルだったよな?フクロウは夜行性だから太陽に弱いのか?大誤算だ!こいつもよく分かっていないということは、金髪女の組織は自分の特性すら理解させずに、使っていたと言う事か。使い捨ての特徴がここでも出てくるな。
「気にするな。多分だけど日光に当たったのが問題だな。でも、今まで自分の体の特性に気づかないってどう言う事だ?」
「今まで朝起きてご飯を食べて、30人ぐらいに1人の割合で暗殺技術を教えてもらって、ご飯を食べて、寝るの繰り返しでしたので……その、日光と言うのはご存知でしたが、実際に当たった事はほとんど無いので……その、外に出るときも昨日が3回目でしたので」
3回!たった3回だけ⁉︎昨日が3回目、その前の任務が2回目かな?最初の一回は……見学かな?てか、ほとんど学校じゃねーか。
「まぁとりあえず、宿に戻ろうか。チワとルナも待たせてるし……ハクちゃんにハズクを紹介しないとな」
「ハクちゃん?と言う人に会うのですね?」
ハズクが聞いてくる。
「違う違う、ハクちゃんは俺が一応管理?しているハクニーのメスの名前だよ」
「ハクニーと、言いますと……すごく高いですね。盗まれたりとかしないように、チワさんの奴隷紋と同じように、魔物紋をちゃんと刻んでますか?」
まものもん?何それ?
「ちょっ!何それ!急いで魔物紋?を刻むぞ!やり方はどうすれば良いんだ?」
ハズクに聞く。
「確か……奴隷紋を扱っている場所で、出来ると聞いた事が……」
つまり奴隷商人の所か……チワとルナにはついて来てほしく無いな。けど、ハクニーは珍しいから、さっきみたいなのが襲ってくる可能性も無くは無いだろう。入り口で待ってもらうか?と言うか、さっきからハズクが俺にもたれ掛かるような感じから離れない。腕に胸が当たっているので、悪い気はしないが。
「どうした?怖かったのか?それとも気分でも悪いのか?」
俺はハズクに聞く。
「……両方ですね。思った通りに体が動かない時に、命を狙われたので」
「そうか、悪かったな。怖い思いをさせてしまった。それに気分が悪いのにちゃんと歩けるか?」
「少しふらつきますが」
ダメじゃねーか。
「なら、背負うぞ」そう言って、おんぶをしようとするので、しゃがみ込む。
それに促されて、俺に背負われるハズク。やばい、これは胸が当たって……。気にするな俺、ハズクがしんどい時にこんなことを考えて良いはずが無いだろう。
「2人とも、待たれたな。ハズクを一回宿に戻らせたいんだが……どうした2人とも、その顔は?」
2人とも、こちらを見て笑顔になったと思ったら、急に不機嫌になったぞ。
「なんでもありませんよ、トキヤ様」
チワがさっき見せた笑顔でそう言うが、なんだろうか……怖い。そして、ルナも怖い。待たせすぎたかな。
「それよりも、ハズクさんを背負ってるのは何で?」
ルナがハズクを背負ってる理由を聞いてくるので、説明する。すると、ルナが
「あー、私も足が疲れたー、何処かの誰かのせいで。誰かおぶってくれる人は居ないかなー(棒)」
「悪かったって!でも、今はハズクが最優先だから我慢してくれ」
「……分かったわ」
下を向き、悲しそうな顔で頷くルナ。……ルナには本当に悪いことをしたな。約束時間に遅れて、約束を破って、本当に俺は最低だな。今度何か……お金が溜まったらプレゼントしよう。もちろん他の2人にもだが。物で釣るのは良く無いだろうが無いよりマシだ。
こうして、俺たちは宿に戻った。
面白かったら誤字脱字報告、ブクマ、ptお願いします。
あと、私のもう1つの連載作品
『普通を求めて転生したら勇者の息子だった件』
も、是非読んで見てください。




