表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/85

新たな出会い

夜になり、おじさんの幕舎にいると魔力が二つ近づいてきたのを感じた。


「二人・・・?」


おじさんが一人で来たのではないのか。そんなことを考えていると、


「久しぶりだな、帰ったぞ」


おじさんだった。そしてその後ろに隠れるように誰かが居るのが見えた。


「おかえりおじさん、待っていたぞ!」


おじさんの方に近寄り握手する。


「よく生きて戻ったな」


そちらこそ、と二人生きていることを喜び合う。すると後ろからくすくすと笑い声が聞こえてきた。


「誰だ?」


おじさんに尋ねる。


「あー、わしの娘だ。わしが帰ったらお前に紹介すると言ってたろ」


「え、あれは冗談だと思っていたのだが・・・」


困惑するこちらを無視し、ほれ、とおじさんが横にそれる。


すると───


そこには身長はやや低めではあるが、とても美人な女がそこにいた。見れば見たこともない衣装を着ている。


「ほれほれどうだ?胸も大きかろう?」


おじさんだった。


「あ、ああ・・・そうだな。おじさんに似ず美人、だ」


髪は黒で長く艷やか。目は真紅と、こちらは魔族によくある眼の色をしていた。髪の毛が黒いのは珍しいと思う。


そしておじさんの言うとおり、胸が大きかった。リリスより大きいかもしれない。


と、一体何を見ているのか。


「あ、いや。この見たこともない衣装は一体?」


「西の国の、踊り子の衣装でございます。露出が多いのですが舞うのに便利ですから」


女が答える。


舞い、とは何だろうかと思っていると、


「どうだ、わしの自慢の娘だぞ。名前はミリア、と言う」


「ミリア・ジークフリート・ムラマサ、と申します。どうぞよろしく」


「俺はヴェルと言う」


すると、おじさんは、おいおいと言いながら


「お見合いなのだから本名で名乗り合うのが大切だぞ」


・・・お見合いなのか。


「お見合いだとは知らなかった。では・・・」


と言い、まずい、と思った。名乗ったら自分の正体がばれてしまう。


本名には基本的に、自分の名前、父の名前、母の名前が入り名乗る。それなりに由緒があったり歴史があれば、だが。リリスの場合、母の名前を名乗らないあたり格式が違いすぎるのだろうな、と思っていた。


まあ、父が竜族で母が魔族では、格が確かに違うかもしれない。


そんなことを考えていると、


「いい、お前の事は聞いてる。だから本名を名乗っていいぞ」


おじさんだった。仕方ない、と頷き、


「ヴェルファリア・ファフニル・エルグランドと言う。よろしく頼む」


そういってミリアに握手をしようとしたが無視された。


なんだ、何か間違えたかと首を傾げていると、


「私、自分より弱い殿方と慣れ合うつもりはないのです。私と仲良くしたければ強さを見せてもらわないと」


ミリアがそんなことを言い出す。


「おじさん、これは一体どうなっているんだ?」


するとおじさんは腕を組みながら、言葉のままだろ、と一言言い、


「結婚という話をしたら、ミリアがな。自分より弱い男とは絶対結婚なんてしません、と駄々をこねたからじゃあ一回やりあえ、という話になってだな」


「聞いてないぞ!」


本当に聞いていなかった。


───と、言うわけで


「どういうわけだよ、どうしてこうなった」


幕舎から追い出されるように押しだされ、ミリアと戦うことになった。


見ればミリアは妙な武器を持っていた。黒い棒のようなものを左手に持っている。


「お父様、一応お尋ねしますけど、この人強いんですよね?」


「わしよりは弱いがな」


二人で話し合っている。


「では話にならないではありませんか?」


その一言にムッとする。


静かに構え、


「今のは聞き捨てならない。話にならないかどうか、見せてやる」


一足飛びに間合いを詰めようとして、おい待て、とおじさんが止めに入った。


「ミリア、まあそこで待っていろ。ヴェル、お前はこっち来い」


おじさんに呼ばれ構えを解く。


おじさんの方に行き、遠くに立っているミリアを見ながら


「なんだ、これからって時に」


するとおじさんは、お前は馬鹿か、と言い


「止めに入らなければ今頃お前は死んでいる。ミリアは刀限定で言うならわしより強い」


「───は?」


後、刀とはなんだ?と思っていると


「刀は西の国の武器でな。大剣などの叩き潰す武器ではなく、斬撃に特化した武器だ。かつ軽量なので近接では最高峰の攻撃力を持つ武器だと言われている」


ふむ。しかし近接攻撃に違いはないだろう、と言うと、


「お前、棒立ちのあいつをみて何も思わなかったのか?」


「うーん、妙な武器を持っている程度には思ったがそれが?」


「まあ、そうだな。だが、あれが構えなんだよ。居合と言う」


「いあい?」


なんだ、それは?


「西の国は椅子を使わず地面に座るんだ。で、武器を地面においているわけだが無防備だろ。そこで居合が出来たと言われている。いつ敵に襲われても反撃出来るように、と。それを立って出来るようにしているのがあれだ。抜刀術とも言うが」


「ばっとう?」


よく分からない単語が飛び交って困る。


「あの黒い棒のようなものは鞘と言って刀を収納している道具だ。刃が鋭いからああやって納めて持ち歩いているわけだ。あれがないと切れ味が抜群なので何かの拍子で触れたら真っ二つになってしまう。で、その鞘から刀を抜く。その動作を抜刀と言うんだ」


「そ、そんなに強力な武器なのか」


片手剣にしろ大剣にしろ、斬撃と言うよりは叩き伏せる感じに扱うとばかり思っていたので意外だった。鋭い武器もあるにはあるが、それは魔装具と言って珍しい武具で偉い人しか使っていないのが現状だ。


「で、居合は基本的に反撃技だ。そうだな、点の技の極地を行く技と言っていい」


「そんなの、どうやって攻略するんだよ」


すると、さあ、と答えが帰ってきた。


「待て待て。そもそも俺は武器を持っていない。勝ち目なんてあるわけが」


「だからこうして話してるんじゃないか。お前には魔術があるし、アレがあるんだろ?」


「・・・アレ、とは?」


すると、おじさんはニヤリとし、


「お前も竜の力に目覚めたらしいじゃないか、ファフニルから聞いてるぞ。それ、使え」


「しかし」


「しかしもへったくれもない、使わないと死ぬぞ。あいつは殺す気で来てる。結婚を本気で嫌がってるからな」


とんでもないことになった。


そこまでの相手か。小娘、と侮っていた所があった。身長も低いし、見れば年齢も低そうだし。美人ではあるが幼さを感じさせていたが、それも油断を誘う武器だったか。


そう思い、ミリアの前で本気で構える。


ミリアはくすり、と笑い、


「何を話したか分かりませんが、無駄ですよ」


「───そうかな」


影に魔力を込め、ミリアの背後から攻撃させる。



「無駄です」


ミリアがそう一言発したと同時に、カチン、と金属が鳴る音がした。


一瞬何が起こったのか分からなかった。


まず何故影に気づいたのか。


次に、どうやって背後を攻撃したのか。


見れば一瞬で背後の影は真っ二つに横薙ぎにされ消し飛んでいた。


「くすくす。いけませんよ、影を飛ばす発想は驚きましたけど地面に走る気配が読めました」


右手の人差し指を唇に当てながら微笑み、こちらに言ってくる。


凄い技ではあるが、何か腹が立つな。


いや待て、冷静になれ。


こいつは今までと違う敵だ。明らかに俺は冷静さを欠いている。


今まで俺は冷静に戦ってきたはずだ。落ち着け。


見ればミリアに動いている気配はない。


だが、一つの違和感がある。


カチン、と言う金属音だ。おそらく刀を鞘から抜いて戻した音なのだろう。


無駄です、と言ったのと同時にカチンという音がしたあたり、「物凄い」速度で刀とやらを振るったことは分かった。


「槍が最強だと思っていたが、思わぬ武器があったな」


思わず呟いていた。


「くすくす。面白いお方。どうして顔が笑っているのですか?」


「笑っているか、そうか。どういう顔をしているのかは分からんが、熱いな」


何故だろう。


こうして敵と向き合っていると熱くなる時がある。きっとこの時、俺の顔は笑っているのだろう。


「行くぞ、ミリア」


次は三段攻撃を狙う。


魔力を足に込め、地面を砕く。砕けて出来た拳大の石を掴み、魔力を込め思い切り投げた。


それと同時に影をミリアの背後に飛ばす。


さらに、左手に氷の魔力を込め、氷のつららを飛ばした。


どれも俺が持つ最速の攻撃法。それをほぼ同時に三段階。どう回避する?


が、ミリアは動かない。ただ棒立ちのまま。


おい、死ぬぞ、と思った瞬間、


鞘で石を弾き、それと同時に刀を抜き背後を横薙ぎに、さらに氷のつららを鞘で叩き潰し、カチン、と刀を納めた。


そうしてこちらを向き、くすりと微笑む。


「見せるとは思いませんでした。今のが一の太刀です」


「一の太刀?」


すると、そうです、とミリアは微笑みながら答えた。


「全ての点を抑え、一刀で斬り伏せる技・・・。これが一の太刀です」


よく分からないが、とりあえず刀は抜かせた。一瞬しか見えなかったが、初めてみる形状の武器だった。


「よくぞ一の太刀を見切りましたね、褒めてあげましょう」


褒められた、正直悪い気はしない。


───が


これをどう攻略するのか、糸口すら見つからなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ