EX:DEAD END
いくつかルートを書いては消してを繰り返して上手くいかなかったのでもうこの際敢えて載せてみるか、となりました。悶々とするより書いてすっきりしたほうがいいだろうと。その後本編なら自分自身が納得行くだろうしスムーズにいきそうなのでそうします。
今回のケースは、前回「玉砕攻撃」のラストに選択肢の「リリスと合流しない」場合。
俺はリリスとは合流せず、敵の食料庫がある北西に向かって走りだした。
食料を焼き払えばこの反乱も自ずと鎮圧出来ると考えたためだ。少なくともこちらの撤退時間を稼ぐことは出来るだろう。
リリスのことも心配ではあるが、今俺が優先すべきはこの争いの早期終結、それに尽きる。
───と
後ろから凄まじい音が聞こえてきた。一体何の音だ、と振り返る。見れば先ほどの戦場の辺りが暗くなっており、そこから地鳴りの音が聞こえてきているようだった。
「・・・リリスか」
今までの鬱憤を晴らすかのように大暴れしているに違いなかった。今のリリスにとって例えるなら、敵は猛獣の前に並べられた餌にしか過ぎない、そんな気がした。
一騎当千とは将にこのことか。
負けてなれんな、そう思いながら食料庫に急ぐのであった。
そうして食料庫についた。探知を行うが魔力も魔術も感じなかった。
周囲に誰も居ないのか。それはそれで好都合だ。
食料庫に足を踏み入れ積まれた食料を前にしながら、ふと。
何か、忘れているようなそんな違和感を感じた。
そういえばあの時、敵はなんと言っていたか?
「北西に村」とそして「村人たちも避難しています」
といっていなかったか?
───おかしい
確かにここにそれなりの拠点があることは分かる。食料庫は木製でできたしっかりした倉庫だったし、周りにも建物があった。
しかし人がいないからと全く警戒していなかったが。これは逆に、おかしいのではないか?
人が居ないこと自体おかしい。
得た情報と合致していない。
そんな違和感を覚えた、その時
「ようこそ、我が領土へ」
背後から声がし食料庫の扉が閉められた。その声は若い男の声であった。
その声に驚きが隠せない。心臓の鼓動が早くなり手に汗が出ているのを感じた。
探知には一切かからなかった。人はいなかったはずなのに。
静かに振り返り、短剣を構える。
「ここまで来たことは褒めてやろう。誰に聞いたんだ?」
赤いローブを身にまとった男は笑顔で手を叩き、こちらを称賛しながら言う。
それにただただ無言で。殺せる機会を伺っていた。
「まあいい。君がいるということは、今頃主戦場は我々の敗北なのだろうね。一体何があったのかは分からないが」
「何故だ」
「ん、何がだい?」
思わず問いかけていた。
男は少し考える仕草を見せながら、
「何故負けていることが分かるのか、か?それなら、ここの情報を知っているのは崖上に配置した男達しか知らないからだよ。だって彼らは崖上にいる以上逃げ道は崖下に降りる一本道しかないわけで。追い込まれたら何を言うのか分からない・・・」
そう男はいい、こう続ける。
「分からないならいっその事言うことを決めてもらえばよかった。で、こう言ってくれと頼んだわけだ僕は。ここに食料庫があると。村人達もいることを念入りに言うように、と」
そうして男は微笑みながらこう締めくくった。
「後は僕の方でなんとかしよう、そうしてくれれば君達の家族は助けよう、とね」
ごくり、と唾を飲んだ。
この時点で分かったことは二つ。
「罠に嵌められた」ということと、「電の魔術による命令は絶対の魔術ではない」ということだ。
あくまで電撃の魔術によって得た情報は、対象が知りうる情報以上のそれ以上でもなければ以下でもなかった。
そう、その情報の「真偽」までは分からない。あくまで情報は情報であって、それを吟味し取捨選択するのは俺だったのだ。
あの時、何故あの兵士の情報を疑わなかったのか。気づけば唇を悔しさのあまり噛んでいた。
「だが誤算だったよ、これは撤退だね」
だがその男の声はどこか嬉しそうだ。
「やけに、嬉しそうだな」
「ようやく喋るつもりになったのかい?それとも諦めかな?それは嬉しいさ、嬉しい誤算。ここにたった一人で来られるということはどういうことか。それは───君も相当のやり手ということなのだろう」
それに答えるように一足飛びで男に攻撃しようとして、気づく。
───魔術が、使えない。
風の魔術を発動したつもりだった。が、それは不発に終わる。
何故だ、と思っていると
「優秀な策士は三つ程準備をするそうだよ、君。最善・次善・最悪の策というやつだ」
「これは、どれに当てはまるんだ?」
内心焦っていることがばれないよう努めて冷静に答える。
「次善・・・いや最善だね」
男は少し考え、そう答えた。
「最善は当然ここに敵に来られる前に敵を殲滅、戦いの終結。次善がここに来た兵達を全滅すること。最悪は、ここに嵌め込んだ敵の数が少なく雑兵だった場合、だろうね」
「ならば、これは最悪じゃないのか?」
そう言うと、男は何の冗談だよ!と笑いながら
「馬鹿を言うなよ、最善・・否。最高っだよ!最高の気分だ。確かに君一人しかここに嵌め込めなかったが、君は雑兵ではない。おそらく、今後の魔族軍の未来を大きく担う人間だったに違いない」
どうして、と言おうとすると
「いいかい?ここに一人で来ること自体異常なことなんだよ。崖上の敵もきっと君一人で殺してきたんだろう?通常ありえない出来事なんだ。どうやったのかは知らないが奇策も奇策。それをたった一人で思いつき遂行出来ること自体奇跡!」
奇跡、男はそう言ってのけた。
「僕の考えた戦略はほぼ完璧だったと言っていい。だが一つ誤算があったとしたら君という存在だけ、だろうね。───が、それももはや問題なくなった。君はここで死ぬ、偉大な存在を魔族軍は失うだろう」
そう言い、男は苦笑しながら
「いや、魔族軍はそれに失ったことにさえ気づかないのだろうな。ますます都合の良い」
「黙って聞いていれば。俺がここで死ぬとは限らない。お前を殺せば何の問題もない」
そうだろう、と言うと違いない、と男は答えた。
「その考え方いいね、確かに間違っていないよ。通常の空間ではね。───が、この空間においては間違いだらけだ」
魔術は何故か使えない。だが、この距離ならばまだ捉えられる。
そう思い男に全力で突っ込み短剣を首に突き刺す。
短剣は首に突き刺さった。これ以上ない手応えを感じる。
「なんだ・・・」
そして短剣を引き抜こうとするが、引き抜けない。
一体何が・・・と思っていると
「いきなりひどいな君は!!!」
死んだと思った男が笑顔でガシとこちらを捕まえてくる。人間の力だとは思えない。
なんだこれは。身体が軋む。
「う・・・うあああ」
思わずうめき声が出る。
───と
バキリ、と骨が折れる音がした。
意識が飛びそうになったのをなんとか堪える。
「おいおい、人の話は最後まで聞けと教えられなかったか?いけない親だ、躾がなってないね」
あくまで笑顔で、男はこちらを抱きしめてくる。その力は尋常ではない。
「ここは結界でね。この中では僕が絶対の支配者になれるんだ。だが弱点も存在する。それは入れれる人数が限られているのと、相手が入ってくるまで待ち続けなければならないということだ」
「が、入ったが最後。絶対に出ることの出来ない地獄と化す。この際の弱点は、ない」
首に短剣が刺さったままの男はそう笑みを浮かべながらこちらにそう説明するとさらに力を加えてきた。
「───あ」
目の前が赤くなる。これは・・・これ、以上は死ぬ、そう予感した時
グチャリ、と何か音がした。そうして自分の視界が地面に近づき、地面に叩きつけられる。
動こうとするが動けない。
まるで身体が元々なかったかのように。
「あー、もっと楽しもうと思ったのにやってしまった。すまないね、もっと会話を楽しみたかったのだが」
声を出そうとするが、よく分からない呼吸音が口から出るだけだった。続けて血と泡が口からだらしなく吹き出る。
一体何が・・・
「無様だね。僕は慈悲深いから君にトドメを刺してあげるよ。苦しまないようにね」
それが最後の言葉だった。
グチャ、と耳の傍で音がした気がした。
後頭部が熱いと思った。痛みはない。
「ああ、ごめんね。一撃で仕留めるつもりが・・・苦手なんだ」
そう男は言い、後頭部を何度も踏み潰してきた。
気づけば視界は暗くなり、もう明るくなることはなかった。
何の音も、何の匂いもしない。
これが・・・死、か。
そのうちに俺の意識は闇の底に沈んでいった。
読了有難うございます。完全に「DEAD END」です。
一応後書きなので今回のお話をさせて頂くと。
「一人で行くのが間違い」というのと「最初の趣旨はなんだった」という所から考えた方が良かったのではないだろうか。
書いてる自分でさえも錯覚したのですが、主人公は上手くこなして一人で敵を全滅している。一見、一人でなんでも出来そうなんですよ。
その、途中から「一人で何でも出来るんじゃないか?」と思ったあたりで間違いに気づくべき所だったのかな、とここだと思います。崖上までは誰にも頼れなかったけど、合流さえすれば頼れる味方がいるわけです。時間をかけてもそちらと合流する所だった。
基本的に仲間に頼れる所は頼ったほうが無難だと思います。
次回は本編ルートで五体満足、元気な姿でお会い出来る事を祈ってます。




