第六章 二節 嫉妬③
今日は時間があったのでもう1話かきました
「アーサー、ケイ。頼みがある。今日、城下で祭りがあるんだが、そこで珍しい薬草が露店に並んでるはずだ。買ってきてほしい。エリーの薬に使いたい」
エリーとはエクターの妻である。最近は調子がよくなく寝込んでいたがモルガンの薬のおかげで今はよくなっている。しかし、持病によりもともと体が弱いため薬を自宅に常備している。モルガンから体によいとされる薬草を教えてもらっていて、機会があれば購入したり採取したりし薬にしていた。
今回は用事があり祭りにいけないため、二人におつかいを頼んだのだ。
「わかったよ」
「草を買うだけか…」
「おつかいをおえたなら、祭りで遊んできてもよいぞ」
「ほんとか!?よし!ケイ、早くいくぞ!」
「おい!アーサーまてよ」
アーサーはすぐに家を飛び出した。ケイはすぐにアーサーを追いかける。
アーサーが祭りに行きたい理由があった。それは“花”を買いたかったからだ。
アーサー自身は花に興味などない。だが、先日モルガンが丘にいた際に花が好きという話をきいてからアーサーはモルガンに花をプレゼントしようと考えていた。
感謝の気持ちを伝えたいという気持ちとモルガンを喜ばせたいという気持ち。
この2つの気持ちを満たすために、アーサーは躍起になっていた。
エクターから依頼された薬草などのおつかいは早々にすませ、自分のお小遣いでアーサーは花を買う。買った際に店主に質問された。
「坊や、この花を誰に送るんだ?」
「だ、誰でもいいだろ!」
「ははーん、さては好きな女だな?」
「そんなんじゃねーよ!」
「はは、そうムキになるなよ。この花を買うなんて珍しいからな」
アーサーが選んだ花は丘に咲いていた花に似ているものだった。アーサーは店主にたずねる。
「なんで珍しいんだ?」
「まぁ色はそこまで派手じゃないし、買う人が限られてる。この花はプロポーズする時に買われる花だからな」
「ななな!ぷ、プロポーズ!?」
アーサーはそう言われて顔を真っ赤にする。モルガンに渡したらそういう意味としてとらえられてしまうのか…?
恥ずかしくなり俯いていると、店主がフォローに入った。
「まぁ、好きな人や尊敬する人に渡す場合もあるからあまり深く考えるなよ」
「尊敬…」
そう、これはいつもお世話になっているモルガンに感謝の気持ちを込めて送る花だ。そこにはプロポーズや愛といった感情はない。だから気にしなくていいんだ。
アーサーはそう言い聞かせ店を後にした。
ケイと城下を散策し、そろそろ帰ろうかとしていたとこらケイが指差して話しかけてきた。
「あれ?モルガンじゃない?」
「え?」
ケイが指差した方向にモルガンがいた。銀髪の長い髪をポニーテールにしており、遠くからでもモルガンとわかる風貌をしていた。
「本当だ!声をかけにいこう!」
「アーサー!まてよ!」
アーサーが走り出し、モルガンに近づこうとした際、モルガンの両手が小さい子供の手に塞がれていることに気づき、足をとめる。
「ちょ!いきなりとまってなんだよ!」
「………」
ケイにいつも通り怒られているがその声は遠のいていく。
モルガンが見たことのない笑顔で知らない子供と手を繋いでいる。
あの子供は誰なんだ?同じ弟子なのか?なんであんな笑顔なんだ?俺にはあんな風に笑いかけてくれなかったのに?
ぐるぐると疑問が頭に浮かぶ。自分だけが特別だと思っていたが、そうではなかったのか?
アーサーはなんとも言えない感情が湧き上がり、ボソッと呟いた。
「モルガン…モルガンは俺以外にも弟子がいたのか……?俺は……特別ではなかったのか?」
アーサーは笑顔のモルガンに背を向け、自宅に戻るのであった。




