第六章 一節 弟子①
「アーサー!まてよ!」
一人の少年が先に走り出した少年を追いかける。
「ケイ!待てるかよ!モルガンが来たんだ!」
アーサーと呼ばれる少年は家から少し離れた場所にある丘に向かって走っていた。
後ろからケイという少年が追いかけるもその差は縮まらない。やがてケイは疲れてしまい、走るのをやめてしまった。
「はぁはぁ……あいつなんでモルガンを迎えにいくかな?モルガンは何も言わなくても家に来てくれるのに……というかなんで来たことがわかるんだ?」
アーサーはいつもモルガンがくると迎えにいく。ケイは父のエクターからアーサーのお目つき役を命じられているので、嫌でもアーサーを追いかけねばならず、いつも苦労させられている。
「仕方ない…早く追いかけないと」
息を整えると、再びケイは走り出すのであった。
エクターの家から少し離れた場所にある丘には綺麗な花畑がある。
モルガンはいつもエクターの家に行く前にこの花畑を見にくる。
アヴァロンにはない花で名前こそわからないが、いい匂いと可愛らしい見た目により気に入ってしまった。
今日もアーサーに稽古をつけるためエクターの家にいく予定のためいつものように丘に立ち寄る。
「なんだか癒されるわ…なぜかしら?」
花を愛でていると足音が近づいてくる。
「この足音は……」
足音は一定のリズムを刻み、だんだんとこちらに近づいてくる。近づくとともに声が聞こえてきた。
「モルガーン!!迎えにきたぞ!!」
アーサーは走りながらモルガンに手を振った。モルガンはそんなアーサーの姿をみて軽く微笑した。
アーサーがモルガンの元へ着くと、開口一番こんな発言をした。
「モルガン!さぁ!今日も修行だ!今日は負けないぞ」
威勢のいい発言にモルガンはクスクスと笑う。
「アーサー、エクターの家に行くのになぜきたのです?」
「早く勝負がしたくて、待ちきれなかったのさ!」
「ふふっ」
モルガンは弟子がやる気いっぱいで、とても可愛くみえつい笑ってしまう。
宮廷魔導士としての仕事や戦争への参加、患者の治療などもあり毎日はこれないが、最低でも週に2回は来るようにしている。
アーサーはまだ小さい。だが、剣術の能力は高い。ブリテンの下級兵士と張り合えるくらいには強い。
それはモルガンが稽古をつけているのと本人の素質によるものだ。毎回成長度合いに驚かされている。
「じゃあエクターの家まで戻りましょう。丘の上では稽古したくないわ」
「いいさ!でもなぜ?」
「私、あの花が好きなの。だから花を傷つけたなくないわ」
「ふーん」
アーサーは興味のない返事をした。モルガンに言われ、歩いてエクターの家に戻るのであった。




