第五章 十節 王の死④
イグレインは自分が殺害したことを悟られないために行動する。
ウーサー王はお酒を飲み干した後、テーブルにグラスを置いたため割れたりしなかった。
よってガラスの処理は不用だ。
薬はウーサー王のグラスにのみ仕込んだので、飲み干した今、薬が盛られていたかはわからない。
あとは……ウーサー王が朝目覚めたら、死んでいたという風にしたかったので、なんとか一人でウーサー王を起こしベッドに寝かせた。
そして明日に向けて早々に寝ることにした。
イグレインの作戦は上手くいく。
翌日、起こしてもウーサー王が起きないと騒ぎ医者や執事を呼ぶ。
そこでウーサー王が亡くなったことが判明し、宮廷は大騒ぎになった。
葬儀や後継問題、政治、侵略………様々なことが課題として積み上がり、側近達を含めて皆、頭を抱えながら一つ一つ解決に向けて行動するのであった。
イグレインはショックを免罪符に引きこもりを演じ、部屋に閉じこもったが、実際は若い男を部屋に入れては遊んでいた。
そんなことは露知らず、周囲はイグレインに同情をむけたが、モルガンだけはイグレインの正体を把握しており、いつばらしてやろうかと画策しているのであった。
月日は流れ…
ウーサー王が亡くなってから7年がたった。
あれから、後継者は定まらず相変わらず周囲の人達で国を統治していた。
イグレインはずっと私服を肥やし、自分の思うがまま生きていた。
そんな彼女の態度に、周囲は疑惑をいただきながらも確たる証拠もないため黙るしかなかった。
そんな状況を打破しようとモルガンは動き出す。
それは、モルガンがイグレインの部屋に訪れた時のこと。
「王妃、少しお話しできますか?」
「モルガン……何?」
相変わらず君悪い瞳で、こちらをさげすむようにみてくる……気に入らない。
イグレインは心の中で嫌味をいいながらモルガンの質問に答える。
「そろそろ王妃をやめてもらえませんか?」
「は?」
馬鹿げた提案だ。イグレインは答える。
「何馬鹿なことを言ってるの?」
「いや、真っ当な発言です。側近や騎士からは不満の声が上がっています。あなたは国を統治していません。いてもいなくて変わりません」
「……………」
目の前の女はどうすれば消せるだろうか?忌々しい存在だ。どうすれば……。
イグレインは頭でいろいろ考えていたが、そんな考えを吹っ飛ばすようにモルガンが話しかけてきた。
「あなたはウーサー王を殺しましたね?それによりあなたを反逆罪の罪でつかまえます」




