第五章 十節 王の死①
モルガンはたまにパックがきちんとコーンウォールの領地経営をしているか監査していた。
たまたま、その日の監査でパックから報告を受けたことがきっかけで、イグレインに一泡吹かせる方法を思いついた。
「モルガン、これみてくれよ」
パックが渡してきたのはおかしな薬草だ。このあたりに生えてるはずもなく、アヴァロンや影の国に生えていそうな薬草だ。なぜ?とモルガンは考えていると、パックは続けて話した。
「これ、変な商人みたいな男にお試しでもらったんだ。だけど、なんかおかしな感じがしたから、モルガンに見てもらおとして……」
「パック、何がおかしいと感じた?」
「うーん、わからないけど気味が悪いんだ。近くに置いてほしくない」
「…………」
「モルガンはこの薬草の正体を知ってるのかい?」
「ええ、こいつは“マドワシ草”よ。妖精や精霊を遠ざける効果があるの。でも、調合したらいい薬になるのよ。逆に燃やしたりすると匂いで、気分が悪くなったりするの」
「へ、へぇ……」
「パック、これをくれた商人の見た目を教えて」
「あぁ、こんなやつだったよ」
パックはお得意の変装術で商人に化けた。見たことのない見た目だ。相手は人間か妖精かわからないが、懲らしめてやろうと考えていた矢先、パックが追加で情報をくれた。
「商人が怪しくて、別れた後に尾行して様子をみたんだ。そしたら、変な人がその商人の側で叫んでいたんだ」
「へぇ…」
「『早くあの薬草をくれ!あれがないと気持ちよくなれないんだ!』って言っててさ、こんな気持ち悪いもので気持ちよくなるって……意味不明すぎてさ……」
ん?ちょっと待て。
マドワシ草で気持ちよくなる……?
モルガンはパックが出した情報に違和感を感じた。とりあえず薬草をもらい、マーリンの家に戻った。
すると、家にいたマーリンに話しかけられた。
「モルガン、何かもってない?」
「?あ、これですか?」
ポケットに入れていたマドワシ草を出してみせた。するとマーリンが喜んで話続けた。
「いい匂いだと思ったらマドワシ草だ」
「いい匂い?臭いですよ、この草」
「いやいや、とてもいい匂いだ。マドワシ草は夢魔や人間には媚薬のような効果を与えるのさ。モルガンは生粋の妖精ではないから、好きではないとは思っていたが……」
「………それだ!」
マーリンの言葉を聞いてひらめいたモルガンはすぐさま行動するのであった。




