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第五章 七節 懐妊④

2つめです。そろそろ第五章がおわりそうです…


 ウーサー王は淡々と事実を伝えた。

 マーリンとの約束、ゴルロイスの死、モルゴスの結婚、コーンウォールの領主交代。

 ウーサー王は少しの嘘を混ぜ、丁寧に話した。泣いたり怒ったりするかと思ったが、イグレインは何のリアクションもなく、ただただ聞いていた。



 話し終え、ウーサー王はイグレインを見た。目と目があい、イグレインは微笑む。そして口を開いた。



「そう……でも私……いいの。あなたがいればそれで」



 そう言ったイグレインはウーサー王を抱きしめた。イグレインの中では、夫も娘も、新しく生まれてくる子さえ不用で、ウーサー王さえいればいいと思っていた。

 それはウーサー王の妻にさえなれれば、それ以上の地位など存在せず、自分はブリテンの全女性の中で一(・)番(・)になれるためである。



 ウーサー王は自分を思ってくれている優しい女性だと思う反面、新しく生まれる子に興味がなさそうなイグレインをみて少し悲しくなるのであった。



 その後、医師の診断を受け正式に懐妊したことを知り、ウーサー王は手続きを始める。

 イグレインの離縁の手続き、ウーサー王の正妻の交代などなど。

 宮廷はばたついていた。ただ、あくまで宮廷内だけで民衆や領主達にはまだ知らせていなかった。

 イグレインが無事に出産し、男児が生まれたあかつきに正式に発表する予定だ。



 宮廷のばたつきを見てモルガンは順調に物事が進んでいると感じ、ご機嫌だった。そんな様子をルルとマーリンは不思議そうにみていた。



「モルガン、やけにご機嫌だね。何かいいことでもあったかい?」


「いえ、いつも通りですよ。それよりマーリンは仕事をしてください。私に押し付けすぎですよ」



 マーリンは正論を突きつけられ黙りこんだ。そんな様子を見て、ルルはため息をつく。



 マーリンが用事で部屋からでた後、ルルがモルガンに話しかけてきた。



「モルガン、あの件はどうするの?」


「聖剣のこと?」


「うん」


「…そうね、頃合いをみてすり替えにいきたいわね。ただきっかけがね…」


「きっかけか……」



 答えが出ず、部屋が沈黙に包まれる。数分たってマーリンが戻ってきた。



「モルガン、私は数日留守にするよ」


「どこにいくのですか?」



 純粋に行き先を聞いただけであったがマーリンは答えたくなかったのか少し誤魔化した。



「知り合いのところさ」

 (XXXXXXXXX)



 そう、たまにきこえてくる心の声。これは人間だけが対象かと思っていたが、どうやらマーリンも対象のようだ。マーリンの答えと重なるように心の声が聞こえてきた。



 (ヴィヴィアンのところさ)

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