決意
俺とハルナが水を飲んでいる間に、金髪の男はガラス玉に向かって話しかけていた。
聞いたことない言葉で話していたから、話の内容は分からなかった。
金髪の男がガラス玉をしまうと、すぐに黒髪の子どもが俺たちの家に入ってきた。
二人は何かを話している。
二人の会話をじっと見ていると、黒髪の子どもと目が合った。
「顔触るぞ。」
黒髪の子どもは俺の額に触れる。
「口開けて。」
子どもの言う通りに口を開けると、子どもは俺の口の中を覗き込む。
子どもは金髪の男に何かを伝えると、俺の方をもう一度向き、目を合わせる。
「俺はダイヤ。 この金髪はクロム。 お前ら名前なんて言うんだ?」
「俺はヒナタ。 妹はハルナ。」
「そうか。 ヒナタ、ハルナ、よく聞いてくれ。
俺とクロムはトヤヘリノという地域から来たんだ。 この村から遠いところにあるんだ。 この村の近くにある国から、この村の様子がおかしいから、見てきて欲しいって言われて来たんだが、この村に何があったか、説明してくれるか?」
「何も知らない。 私たち、この家から出たことがないの。」
「そうか…。」
「私たちの母さん知らない? まだ帰ってこないの。」
「…そうなのか、見かけていないから分からないな。」
「そっか。」
「実は、この村で大きな問題が起こってしまったんだ。 そこで、お前らに残された道は二つある。 一つはここでお前らのお母さんを待ち続ける。 もう一つは俺たちと一緒にトヤヘリノに行く。」
「ダイヤ…!」
クロムが驚いたような顔で、ダイヤの肩を掴んだ。
どうやら、少し喧嘩しているようだ。
二人が話している間にハルナが俺に小さく話しかける。
「これ…。」
ハルナは首からかけている小さな鍵を俺に見せた。
俺は俺たちが今よりもっと小さい時に、母さんが言っていたことを思い出した。
″もし、母さんが帰ってこなかったら、この鍵で金庫を開けて″
俺たちは部屋の奥にある金庫に鍵を刺し、ゆっくり回した。
カチャリと音を立てて金庫が開くと、中には紙が二枚と変な形の石が入っていた。
紙の一枚は地図で、もう一枚は大きな字で書いた手紙だった。
『金庫の中に入っていた石を持って、地図にある港に行ってください。
港にいる、サイラスという人にその石を見せれば、助けてくれます。』
手紙は母さんの文字で丁寧に書かれていた。
この手紙が読めるように、俺達にかなり小さいときから文字を読む練習をさせていたのだろう。
俺とハルナはこの家、村から出ることを決めた。




