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郊外の寂れた区画の小さな家。
そこを訪問すると男性が出てきた。
「なんだアンタら」
「私はレシフィナ。聖女の卵よ」
こっちの名乗りに嫌そうな顔をするゴストン。
「兵士か憲兵のお仲間か? 未来の聖女様」
「聞きたい事があるの」
「こっちは話す事はない」
ドアを閉めようとするが、足を突っ込んで止めた。
「前科があるわよね?」
「ちっ…」
舌打ちし、こっちを睨みながら言う。
「終わった話だ。それも相当昔の話だぞ」
「結構重要よね、メイドに対するかなりひどいいたずら。それともちゃんと言った方がいいかしら? 強制わいせ…」
「声がでかい! ふざけんな!」
私の言葉に彼は抗議する。
「たしかに俺は間違いを犯した! だけど未遂に終わったんだ! あのメイド、意外に気が強くて抵抗されたんだ。それに俺は罪を償った! なんだって言うんだ今更」
「今私たちはケイトのお屋敷の調査をしてるの」
「あの家の事か」
相手の態度を見る。
そして私は単刀直入に聞く。
「ケイトにも乱暴した?」
「まさか! 冗談じゃねえ! するかそんな事」
「嘘、ついてない?」
「本当だ! あの屋敷の娘にまで手を出してたら俺はタダじゃ済まなかっただろ。あいつの親父は厳しい奴だ。メイドに対する未遂だけでも相当詰められたんだぞ。誓って言う。未遂以外の犯罪はやってないし俺はもう更生した」
「ふ~ん」
「大体何か調べるならあの屋敷の方だろ」
急に妙な事を言い出すので問い詰める。
「どういう事?」
「あの屋敷は少しおかしい。先代の話とかを避けてるイメージがある。それに紛失だか窃盗で家系図がない、なんて話だが俺は宝物庫の整理の手伝いをさせられたが家系図はあった」
ケイトの父親が今の当主だから先代と言うとケイトの祖父、祖母の代に当たる。
「たしかなの?」
「ああ。ただ、なんの変哲もねえ家系図だ。何かすり替えられた、とか書き替えられた感じはしない。隠す価値もないような物だ」
「…」
「とにかく調べるならそっちにしろ。俺は無関係だ」
話が終わると彼はドアをバタン! と閉めてしまった。
「どう思う?」
「嘘は言ってないように見えたわ。ホントに手を出してたらあの屋敷はもっと厳しい対処をしてただろうし。でも確証に欠けるのよね」
「じゃあどうする?」
「聞きづらいけど、ケイト本人に確認するわよ」
私はケイトの自室へ行き、質問する。
「ケイト、悪いんだけど、ちょっと辛いかもしれない事を確認するわね?」
「はい、なんでしょうか?」
「あなた、男性にひどい事された事、ある?」
「ひどい事?」
「そう、昔居た庭師とかに、こう、乱暴とか」
「乱暴? と言うと?」
「えっとね、こう、いやらしい事とか、スケベな事とか…」
深刻な質問なのになんだかこっちが恥ずかしくなってきてしまう。
なぜなら、ケイトはキョトンとして要領を得ない、といった感じだから。
「ええと、私はそういう事は無かった、と思います、というか、異性の殿方と親密になるのはこれが初めてで、その…」
彼女は婚約相手の事でも思い浮かべたのか、顔を少し赤くしてしまう。
そして小さい声で嬉し恥ずかしの「キャー、私ったら」の声を出した。
私は切り上げる。
「あ、ごめん、変な事聞いたわね、忘れて」
「え、ええ」
私はケイトの部屋を出た。
ローティーは聞いてくる。
「嘘ついてるようには見えないね」
「そんな器用な性格じゃないだろうし、ケイトは乱暴されてない」
ケイトが清純な乙女でない、という仮説は否定された。
そもそも仮説の方向性がおかしかったのだろうか?
「とにかく、ユニコーンが膝で寝る、うんぬんは一旦置いておいて、調査を進めるわよ」




