ミモザの少女
金色の髪を持つ緑の瞳の少女の話です
彼女は何時もミモザの枝の下で微笑んでいました
その美しさは遠い国にも伝わって
異国から彼女を見に来る人もいるくらいでした
ある日の事 お友達と遊んでいた少女は
異国から来た兵士達に連れて行かれて
もうお家には戻って来れませんでした
少女の家族はとても嘆きましたが
ミモザの少女が帰る事はありませんでした
外国に連れて行かれた少女は
まず外国の言葉を教えられました
だけれども
少女が拙い言葉を覚えたくらいの時に
「これ以上の言葉を教えるのはやめよう」と
その国の偉い人達は決めました
それなのでミモザの少女は
三歳児が喋るような簡単な言葉しか
覚えていないままになりました
やがて少女は演劇の舞台で
幼い女の子の役をやるようになりました
難しい言葉を知らないので
「うん わたし とーっても とーってもだいすき」
と言ったような
単純な言葉で台詞を言いました
その様子が愛らしくて素敵だと言って
男性の信者が沢山つきました
やがてミモザの女の子は
一部の男性の中の
一種の偶像に成りました
付き人にエスコートされて社交界に招かれた時
少女の信者達が
彼女の側に跪くくらいでした
その時の様子を収めた写真があります
まるで女王に跪く近衛兵の様に
信者達が跪いて居る様が
当時のその国の雑誌の表紙に成ったのです
「ミモザの国から来た娘」
と表紙の帯には描かれました
行方不明になっていた娘が見つかったと言って
彼女の故郷から「知らない人達」が
ミモザの少女を取り戻しに来ました
「私達は貴女の家族だよ」
「貴女は悪い人達に捕まって居たの」
「すっかり大人になったのねぇ」
「さぁお家へ帰りましょう」
そう言って「家族」達はミモザの少女を
船に乗せたのです
それっきりミモザの少女を見た人は
とんと居ないと言う事です




