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スクランブル
零点五度の角度を決めて
踵でくるりと一回転
空は明けた日の出を伴い
まるで空が破けたようだ
降り注ぐ光があるとしても
直視すれば眼は焼ける
安全地帯に居るつもりで
いつの間にかは泥船だ
親近感と言うものが
甚だ欠如した人と人が
互いを潰しあう事を
共依存って言うらしい
聞きかじっただけの知識でも
何もないよりは言葉になる
人混みの中で悲鳴を上げたら
誰か聞いてるものだろうか
スクランブル交差点で
青信号が点滅する
爪はじきになるように
足元の影に憑りつかれていた
自己理解に「もしも」なんて
悪趣味な思考実験
何でもない事を一通り
知り得たふりをして家路を急ぐ
夜がどんどん短くなって
夏が来ようとしているよ




