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夢音
冷たい夢が漂っている
寒さに低くなる風の音は
真綿色の夕霧の中で
スモッグを遠ざけているようです
空気中の化学物質が
夏の日差しに焼けると
有害なものが生まれると聞きました
それは雨に混ざって
大地に降り注ぐんだって
今日はずいぶん雨ですが
灰の混じった雨の降らない
此処はまだ雨に洗われる
翡翠の夜の雪室です
目の覚める前に
何度思い返しても
瞼を開けてしまえば
途端につまらなくなるものを
夢と呼ぶと知りました
神殿を飾る壁画は
如何様なものか
塗られては消されて
忙しない事だ
有機的なフォルムの
鈍色の回廊で
水晶を鳴らすように
時計の心臓が響いている




