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109/167

今日から僕は 109

 スクリーンに大きく映し出される介入空間を展開する誠の機体。

「相変わらず凄いわねえ」 

 無心にそれを見ていたリアナが賞賛を送る。

 他の面々もこの映像に引き付けられていた。

「明華。いいか?」 

 全員がびくりと肩を震わせて後ろを見る。

 まったくもって気配と言うものを感じさせずに嵯峨がそこに立っていた。

「驚かしてすまんが、ちょっとこいつ借りたいんだけど」 

 嵯峨は動ずることなく誠の方を指差した。

「まあいいですけど、いつの間にいたんですか?」 

 呆れた調子で明華はそう尋ねる。

「パーラの後ついて入ってきたから結構前から居たんだけどな」 

 頭をかきながら嵯峨がそう答える。

「私は全然気づきませんでした」 

 パーラが言い訳のようにそう言った。

「しかしあれ初回から展開したんだろ?しかも二回もだ。誠、お前、疲れてないか?」 

 珍しく嵯峨は心配そうな瞳を誠に向けた。

「とりあえず大丈夫ですけど」 

「まあそんなに焦る必要は無いからな。明華、とりあえずこいつ借りるんでよろしく」 

 嵯峨はそう言って誠を連れてシミュレーションルームを出た。

「急用ですか?」 

「まあ、あれだ。出撃タイミングとかは全然話してなかったろ?まあそこを含めての打ち合わせも必要だと思ってな」 

 相変わらずやる気の無い調子で嵯峨はエレベーターのボタンを押す。

「師範代のことですから、また何か最新情報でも手にしているんじゃないですか?」 

「別に俺以外に聞いても同じような情報だけだよ。現在外部との音信を途絶して司法機関や海軍部隊と対峙している陸軍の基地は23箇所。我々が到着するのは明日以降になるからそれまでにも増えるんじゃないかな?」 

 まるで他人事だ。

 嵯峨のそう口走る表情を見てもこれらの現象になんの関心も持っていないことだけは確かなようだった。

「それにしてもここまで成長するとはな。だが実戦て奴はそう甘いもんじゃないぞ。それは覚えておいた方が身のためだ」 

 何度か胸ポケットのタバコを触りながら、嵯峨はそう言った。

 扉が開き、居住区画の廊下を歩きながら嵯峨は左右を見回した。

「神前。とりあえず隊長室でカウラと要坊が待ってるからそっち行っててくれや。俺は一服するから」 

 嵯峨はそう言うと、自販機横の喫煙所に足を向けた。



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