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新たなる伝説  作者: アルトリア・ペンドラゴン
第1章 転生編
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イオーネの苦悩

 私、イオーネ=ファノリオスには最近悩んでいることが2つあります。



 1つは私の産んだ子が全員恩恵者に選ばれてしまったことです。



 私には3人の息子と1人の娘がいます。


 そして、その全員が恩恵者なのです。


 恩恵者とは強大な力を持ちますがそのせいか、幸せな人生を送れた者はそう多くはありません。


 この4人の私の子供達も今後、王族・貴族や他国などの様々な力のある者達の思惑に巻き込まれて生きていくことになるでしょう。


 私としては普通の子供として幸せな人生を送ってほしかったのですが、もうそれも叶わぬ願いとなってしまいました。


 なので、今後は子供達が出来るだけ幸せに生きていけるよう祈り、私自身が全力でサポートしていこうと思います。

 

 これが私の悩みの1つです。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 もう1つの悩みは私の息子である三男のメナス=ファノリオスのことです。



 この子は生まれた時から不思議な子でした。


 産声一つ上げずに周りをじっと観察するように見ていました。


 私はその様子を見て、この子は普通の子ではないと直感しました。



 その後のメナスの行動も奇妙でした。


 動けるようになると周囲の遊び道具などに見向きもせずに屋敷の中の探索を始めました。


 唯一興味を示したのは絵本でしたが、メナスが興味を持ったのは絵本の内容ではなく、そこに書かれている文字でした。


 そして、文字の読み方などを教えてあげると、嬉しそうに復唱をして覚えていきました。 


 1歳になる頃にはもう自力で絵本を読破出来るほどには文字を読めるようになっていました。


 これには屋敷のメイドも表立っては言いませんでしたが、メナスのことをかなり不気味がっていました。



 そして、メナスがあまりに屋敷を動き回るので監視のメイドを付けることにしました。


 しかし、それが裏目に出たのか、今度は夜中にいつの間にか部屋を抜け出し、書斎で本を読んでいる所をメイドが発見しました。


 これには私も驚きました。


 一度厳しく叱るべきだと思い、メナスを呼び出してきついお仕置きをしました。


 しかし、折檻が終わった直後にメナスはケロッとした顔で



 「かーさん、さっきよんだのほんにのってた《まじゅつ》ってほんとにあるの? 」



 と聞いてきました。


 お仕置きがまるで効いていなかったのにも驚きましたが、何より書斎の本を読んで理解していることに驚きました。


 その後、実際に簡単な魔術(私は一応元冒険者なので)を使って見せると大喜びで凄い凄いと言いながらはしゃいでいました。


 それが年相応の子供の顔で少しだけホッとしました。


 そして、その後書斎の部屋以外は無断で入らず監視のメイドを1人つけることを条件に書斎の入室許可を出しました。


 上の2人の子は年相応に遊んでいるというのに、メナスは本ばかり読んで何が楽しいのか全くわかりません。


 

 その半年後、妹が生まれましたが、この子は恩恵者ではありますが普通の子供のようだったので安心しました。


 メナスに付けた監視のメイドの報告によれば、あの子は魔術や練法を習得しようと試行錯誤しているようでした。


 恩恵者は魔術や練法は使えないということをまだ知らないのでしょう。


 ですが、あの子が自分が恩恵者だと気づいた時にどうなるのか少しだけぞっとしました。


 神気は封印されているので大丈夫だとは思うのですが.....


 かなり不安です。


 こっそりメイドに恩恵者関連の本を隅っこのわかりにくい場所に隠すよう指示を出しておきましょう。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 そしてメナスが生まれて2年が経った現在ではまだ何も起きておらず、平穏無事な生活を過ごしています。


 一応、毎日2・3時間ほどメナスに文字や単語を教えたりをしていますが、それ以外ではあの子に変わった様子はありません。


 後は、メナスが最近自分に魔術や練法が使えないことに気づいたのか、前まで欠かさずやっていた特訓をしなくなったことでしょうか。


 これを機に普通の遊びを覚えてほしかったのですが、今はひたすら書斎の本を読むことに夢中になっているようです。


 どうしたものやら.....



 そんな溜息をついているとコンコンと部屋をノックする音が聞こえてきました。


 どなたでしょうか?



 「どうぞ。」



 そう答えるとメイドが部屋に入ってきました。



 「お休みのところ失礼いたします。」


 「ちょうど考え事していただけなので構いませんよ。


  ですが、今日の予定はもう無かったと思うのですが、何かありましたか? 」


 「1つご報告があったので参りました。」


 「何か緊急の報告ですか? 」


 「はい。」


 「わかりました、聞きましょう。」


 「はい、それでは報告させて頂きます。


  本日未明、ファノリオス家領内に魔物の残党が侵入いたしました。


  どうやら冒険者が仕留めそこなった魔物がランガ森林からこちらに逃げてきたようです。


  出来るだけ迅速に仕留めるようこちらでも尽力致しますが、発見すらできていないためにまだ時間を必要とします。


  なので今後、討伐報告が出るまで外出なさる際は充分にお気をつけください。」


 「魔物ですか、久方ぶりにその名を聞きましたがその脅威までは忘れていないつもりです。


  わかりました、今後外に出る際は通常よりも護衛の人数を増やすとしましょう。


  報告ありがとう。」


 「はい、それでは失礼いたします。」


 そして、メイドが部屋を退出しようとした次の瞬間、あたりに轟音響きわたり、それと共に大気を震わすほどの凄まじい力の波動が出現するのをイオーネとメイドは感じた。


 

 「何事ですか!!」


 「まだ何が起きたか把握できておりませんが、音と力の波動から逆算しますとどうやら発生源は書斎のある部屋あたりかと。」


 「書斎にはメナスがいるはず。


  ということはあの子に身に何かあったということではありませんか!!


  至急、動ける使用人を書斎のある2階に向かわせ事態の収拾に努めなさい。

 

  私もすぐに向かいます。」


 「かしこまりました。」



 何か嫌な予感がする。


 何か良くないことが起きている。


 そう私は直感した。


 今までに私の勘は外れたことがない。


 どうかあの子が無事でいますように.....



 そう強く願いながら現場に向かうイオーネであった。

土曜日は忙しかったのでに今日投稿することにしました。


遅くなってしまい申し訳ないです。


次回の投稿は予定通り土曜日に更新いたします。


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