行方
本に書かれていた呪文を唱えた俺は体中に力が漲る《みなぎる》のを感じた。
まるで決壊したダムのように際限なく神気が体に溢れかえる。
凄まじい全能感。
今ならどんなやつがいようと全く負ける気がしなかった。
今の俺なら誰にも負けない。
そう思えるほどの圧倒的な力。
そしてこの力を何かにぶつけたいという欲求に駆られ始めた。
抗いがたいほどの衝動。
しかし、ここで暴れてはだめだ。
ここにいるのは俺の大切な家族だ。
家族を傷つける訳にはいかない。
既に力を解放した反動だけで書斎は見る無残なことになっている。
やはりここで力を振るうのはダメだ。
では他に何か俺の力の欲求をぶつけられるものはないのか。
そういえばこの世界には魔物という存在がいると書物に書いてあったな。
この近辺にも探せば見つかるかもしれない。
よし、ではその魔物とやらに相手をしてもらうとしよう。
そうして、外に探しに行こうと窓に向かっているとふと何かを忘れているような気がした。
うーむ、思い出せん。
まあ、いっか。
思い出せないなら大したことでは無いだろう。
そして俺は獲物を探しに書斎の窓から外に飛び出した。
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私、アンナ=マイヤはファノリオス家に雇われて半年ほどの新人メイドです。
仕事は大変でミスもたくさんしてしまいますがこの仕事に少しやりがいを感じ始めています。
そんな私に最近、任された仕事があります。
それはファノリオス家三男であるメナス様の監視兼身の回りのお世話です。
このメナス様は大変愛くるしいお顔をされている方で見ているだけで頬が緩んでしまうほどの可愛さです。
ですが、メナス様は怒るとそれはそれは恐ろしい方です。
一度メナス様のお母様であるイオーネ様について問い詰められた時は私、恥ずかしながら少しお漏らしをしてしまいました。
ほんとのほんとに怖かったんですから.....
またメナス様はまだ生後2歳であるに大変聡明な方でいらっしゃいます。
私が読んでも理解できないような本ももういくつも読んでいらっしゃいます。
しかし、その聡明さゆえに何か危ないことに知らずに手を出してしまう恐れがあります。
したがって、メナス様の監視役として私がいる訳です。
監視と言えば聞こえは良くはありませんがこれもメナス様のためです。
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そうして本日もメナス様が書斎で本を読んでいる姿を近くで見守らせて頂いているのですが、最近少し困っていることがあります。
それは監視する以外の他に何もすることが無いことです。
午前中の時間ならまだ大丈夫なのですが午後は4、5時間も同じ場所でじっと監視し続けるのでさすがに骨が折れちゃいます。
また、朝早くから起きているせいか自然と瞼も落ちてきてしまいます。
この監視の仕事をしたことのあるメイドの先輩方も何度も寝落ちしてしまったと聞いています。
なので、寝てしまうのは私だけでは無いということです。
うん、私は悪くないです。
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この日も午後になり、だんだんと眠気に襲われてウトウトし始めた頃、突然アンナの体に衝撃を受けた。
そして、そのまま思いっきり壁に叩きつけられる。
「ギャフン!!」
どうやら本棚が吹っ飛んできたようだ。
「うう、痛いです。とっても痛いです。なんなんですかもう。」
普通の人間なら痛いだけでは済まされないがアンナは一応メイドとして鍛えられているのでこの程度で済んでいた。
そして、痛みを堪えながらようやく本棚の下から抜け出す。
体に力が入らず思っていたよりも時間がかかってしまった。
まだ衝撃から立ち直っていない頭を振りながら、よろよろと立ち上がると書斎が原型がわからないほどにぐちゃぐちゃになっていることに気付いた。
ほぼ全ての本棚は壁に吹き飛んでおり、部屋中に大量の本が乱雑に散らばっている。
「うう、いったい何があったのでしょうか.....」
そして、ある重要なことを忘れていることにアンナは気付いた。
「そういえば、メナス様はどこに!?」
部屋を見回した限りだと姿は見当たらない。
「本棚の下敷きになったのでしょうか。大けがをしていないと良いのですが.....」
すると、書斎の窓が開いていることに気付いた。
(まさか、外に!?)
慌てて窓を確認しようとすると書斎の壊れた扉が吹き飛んだ。
そして、入ってきたのはイオーネ様とメイド長だった。
「いったい何があったというのですか? 」
「アンナ、状況の説明を。」
メイド長に説明するよう促されるが寝ていたアンナはうまく状況を説明できない。
(うう、どうしましょう..... でも正直に説明するしかありませんよね.....)
メイド長の雷が落ちることを予見し、憂鬱になる。
(でも、メナス様はほんとにどこにいったのでしょうか? )
すいません、少し遅れました。
ほんとは土曜日に投稿する予定だったのですが.....
申し訳ありません。
来週も一応土曜日に投稿する予定です。(たぶん)




