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王太子に失恋をした公爵令嬢は、毒杯回避のために入った魔塔で、激重感情を向けてくる泣き虫な塔主の初恋を成就してあげる   作者: 水路


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13. 秘密の計画

「ソフィアが怪しい動きをしている?」


 魔塔の最上階。塔主の執務室で、ノヴァからの報告受けるユーディーン。


「はい。塔にいる魔法使いに、炎や風の魔法について質問をしたり、図書館で火薬に関する資料や、錬金術に関する本を読み漁っているようです」


 ユーディーンは口元に手をやり、ソフィアの最近の行動を振り返る。


「俺との魔法訓練の時にも、炎の攻撃魔法と転移魔法を教えろって言ってたな」


 もちろんそんな危険な魔法を、コントロール力のないソフィアに教えるわけもなく、ユーディーンは散々文句を言われた。


「あいつ……俺にケチって言いやがった」


 未だに何の魔法に適性があるのかが分からないソフィアであるが、本人は破壊力のある攻撃魔法を使うのが楽しいのか、やりたがってはユーディーンから止められている。


「それで、あのー僕、この前ソフィア様から、王太子殿下のパレードの時間について、詳しく聞かれたんですけど……」


「パレードの時間?」


 ダリウスの結婚式では、式のあとにパレードが予定されている。未来の国王夫妻が国民の前に姿をあらわす貴重な機会のため、多くの人々がパレードを見物すると予想されている。


 時間を調べたところで、ソフィアは魔塔の住人だ。許可なく外出はできない。もちろん王太子の元婚約者へ、パレードの参加許可など、ユーディーンが出すはずもない。


「火薬に炎に風魔法って、……まさかソフィア様、王太子殿下の結婚式で、物騒なことを考えていたりしませんよね……?」


◇◇◇


「ノヴァから報告受けたぞ。兄上の結婚式で何しでかすつもりだ?」


 魔法訓練。

 相変わらず魔力の出し加減がめちゃくちゃなソフィアが繰り出す魔法を、防御魔法で次々と無力化しながら、ユーディーンが質問してきた。


「あら、何のことですか? わたくし何も考えておりませんわ」


 そう言いながらも、ダリウスの婚姻の告知を見た時から、ソフィアはあることを考えていた。でもそれは当日のサプライズとして、秘密にしておきたい。なぜならユーディーンにも、ソフィアの魔法に驚いて欲しいからだ。


 ただ、嘘をつくのが苦手なソフィアは、隠しとおせる自信はなかったが。


「そうだわ、ユーディーン。今日は爆破系の魔法を教えてくださらない?」


 ソフィアは話をはぐらかした。

 もちろんユーディーンには、ソフィアがあからさまに話を逸らしたことは分かっている。魔塔に来てからのソフィアをずっと見てきたのだ。嘘をつく時の目が泳ぐクセも知っていた。  


「……ぜってー、教えねー」


「相変わらずケチですわねぇ」


「攻撃魔法はソフィアには危険すぎんだよ」


「わたくしがですか?」


「周りがだよ」


「む~……」


 ユーディーンは、ソフィアの気持ちが自分に向いてくれるのを待つつもりでいた。

 自らの意思で魔塔へとあらわれたソフィア。どこにいるのか、生きているのかさえ分からなかった時とは違うのだ。

 だからこそ、二度と手放したくはなかった。


 ユーディーンはソフィアの企みを、全力で阻止することを決めた。


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