↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
461/508

✒ 天狗様の子 6


──*──*──*── 翌日


──*──*──*── 午前5時頃


 依頼主から用意された部屋では、春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)がスマホ(スマートフォン)の画面を触(さわ)りながらアプリゲームで遊んでいる。


 マオがベッドに入(はい)り、寝(ね)入(い)ってから春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は一(ひと)晩(ばん)中(じゅう)【 魔法少女 ストライクドリーム ~ 魔怪獣Q号 殲滅作戦 ~ 】をプレイしていた。


 眷属は主(マ)人(オ)の安全を守(ま)護(も)る為、就寝が不必要な体質となっている。


 人間を止(や)め、自(おの)ずから異形となってからは就寝を殆(ほと)んどしない生活を送っていた事もあり、マオの眷属となっても大(たい)して生活リズムの変化は無かった。


 眠っている主(マ)人(オ)の警護をそ(・)っ(・)ち(・)の(・)け(・)の春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は夢(む)中(ちゅう)で【 魔法少女 ストライクドリーム ~ 魔怪獣Q号 殲滅作戦 ~ 】のプレイに入(はい)り込んでいた。


 完全に寛(くつろ)いでいた春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)の耳に激しく鳴り響く鈴の音(ね)が聞こえる。


 春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は、スマホ(スマートフォン)の画面から目を離さず、チッと舌(した)打(う)ちをした。


霄囹

「 来(く)るのが早過ぎるだろが!

  未(ま)だ5時になったばかだぞ! 」


 悪(あく)態(たい)を吐(は)きながらセーブをした春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は、スマホ(スマートフォン)を狩(か)り衣(ぎぬ)の袖(そで)の中へ入(い)れるとソファから重たい腰を浮かせて立ち上(あ)がる。


 ベッドに目を向けるとマオがスヤスヤと寝(ね)入(い)っている。


霄囹

「 キノコン、居(い)るんだろ。

  マオを頼んだぞ 」 


 そう言い放(はな)った春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)はカーテンを開(あ)けると窓の鍵を解除する。


 窓を開(あ)けた春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は、何(なん)の躊躇(ためら)いもないまま1階へ飛び降りた。


 春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)が窓から飛び降りた後(あと)、忍(しの)んでいたキノコンが現れ、窓を静かに閉(し)める。


 涎(よだれ)を垂(た)らし、寝息を立てながら眠っている無防備なマオの顔に高性能,高画質なビデオカメラを近(ちか)付(づ)け、マオの寝顔を撮(と)り続けるのだった。


──*──*──*── 中庭


 窓から1階に飛び降りた春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は、鈴が鳴る場所へ向かう。


 屋敷に張っていた結界に入(はい)り込んだ天狗(不法侵入者)は、見(み)事(ごと)に発動した結界により捕(と)らわれていた。


 天狗──と言っても良(い)いのか、天狗(不法侵入者)は烏のような漆黒の翼を背中から生(は)やしている。


 然(しか)し、天狗のような格好はしていないのを見ると、山(やま)天狗では無いのかも知れない。


 天狗にも様(さま)々(ざま)な種類が有る為、身動きの出来ない状態の天狗(不法侵入者)を見た春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は、怪異の類(たぐ)いではなく異形の類(たぐ)いだと判断する。


 赤い糸が天狗(不法侵入者)の翼と全身に絡み付いている。


 陰陽陣が発動している事もあり、確(しっか)りと天狗(不法侵入者)の能力(ちから)も封じているようだ。


霄囹

「 ──朝食を済ませた後(あと)に来(こ)れなかったのかよ。

  この結界、高いんだぞ!

  お前(まえ)が文(ふみ)を寄越した天狗かぁ? 」


天狗?

「 ………………子供は何(ど)処(こ)だ…… 」


霄囹

「 子供の父親か?

  残念だが、取り越し苦(ぐ)労(ろう)だ。

  律(りち)儀(ぎ)に文(ふみ)を出(だ)したのが抑(そもそも)の間違いだったな 」


天狗?

「 …………子供は居(い)ないのか…… 」


霄囹

「 “ 子供を迎えに行く ” なんて文(ふみ)を貰って、素直に子供を屋敷で匿(かくま)う馬鹿親は居(い)ない。

  神(じん)通(つう)力(りき)を使える子供(金のなる木)を欲深(ぶか)い親が簡単に手(て)離(ばな)すと思うのか? 」


天狗?

「 ……………………何(ど)処(こ)に居(い)る…… 」


霄囹

「 知るか。

  何(ど)処(こ)かのホテルにでも泊まってるんだろ。

  僕は陰陽師だ。

  母親から『 子供を奪いに来(く)る天狗様を退治してほしい 』と依頼を受けた。

  お前(まえ)には何(なん)の恨みも無いが、退治させてもらうぞ。

  悪(わる)く思うなよ。

  此方(こっち)も商売だからな 」


 春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は狩(か)り衣(ぎぬ)の袖(そで)から御札を取り出(だ)す。


 御札を見た天狗(不法侵入者)はた(・)じ(・)ろ(・)ぐ(・)。


霄囹

「 この御札が紙切れじゃないって事は分かるんだな。

  今から、お前(まえ)を祓(はら)うぞ。

  僕は【 魔法少女 ストライクドリーム ~ 魔怪獣Q号 殲滅作戦 ~ 】の続きをしないといけないからな! 」


天狗?

「 …………頼む!

  子供を……子供を返してくれ!!

  神(じん)通(つう)力(りき)の制御を教える必要が有るんだ!! 」


霄囹

「 知るかよ。

  律(りち)儀(ぎ)過ぎた自分を恨め。

  文(ふみ)なんか出(だ)さずにさ(・)っ(・)さ(・)と(・)連れ去れば良(よ)かったんだ。

  今まで子供を放置していた報(むく)いを受けさせてやるから、寛大な僕に感謝しろ 」


天狗?

「 神(じん)通(つう)力(りき)が暴走したら大変な事になるんだ! 」


霄囹

「 どうでも良(い)いねぇ。

  報酬を貰った後(あと)で依頼主(ぬし)が不幸に遭っても僕には関係無い。

  仮に神(じん)通(つう)力(りき)が暴走したとしてもだ、それは完全に依頼主(ぬし)の落ち度だ。

  僕には関係無い 」


 春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は御札に法(ほう)力(りき)を込める。


 セロフィートに能力(ちから)を封印されていなければ、妖(よう)力(りょく)を込める事が出来るのだが、現在の春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)には法(ほう)力(りき)しか込められない。


 真(ま)っ白(しろ)だった御札の色(いろ)が黒く染まる。


霄囹

「 先(ま)ずは、お前(まえ)の能力(ちから)を完全に封じるぞ。

  それから抵抗が出来ない様(よう)に四(し)肢(し)を奪う。

  舌(した)も要(い)らないな 」


 春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は、まるで悪(あく)役(やく)の様(よう)にニマニマと厭(いや)らしく笑いながら、真(ま)っ黒(くろ)に染(そ)まった御札を身動きの取れない天狗(不法侵入者)の額(ひたい)に貼り付ける。


 額(ひたい)に御札を貼り付けられた天狗(不法侵入者)は心底辛(つら)そうに顔を歪(ゆが)ませる。


霄囹

「 おっ!

  効いてるみたいだな。

  よしよし、効果は上(じょう)々(じょう)っと── 」


 御札の効果に満足そうに頷(うなづ)いている春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)の背(はい)後(ご)に人影が見えた。


???

「 ──何(なに)してるんだよ、シュンシュン!!

  何(なん)で縛(しば)ってるんだよ! 」


霄囹

「 チッ──。

  もう来(き)たのかよ 」


 聞き慣れた声(こえ)を聞いた春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は、パチンと指を鳴らして舌(した)打(う)ちをする。


霄囹

「 未(ま)だ6時にもなって無いのに何(なん)で起きたんだよ、マオ 」


マオ

「 ベッドから落ちて目が覚めたんだよ(////)」


キノコン

「 昨(さく)夜(や)からマオ様の寝相の悪(わる)さもバッチリ撮(と)らせて頂いてますエリ♥️ 」


マオ

「 キノコンったらオレの着(き)替(が)え迄撮(と)ってるんだもんな。

  勘弁してほしいよ…… 」


霄囹

「 眷属へのサービス映像に編集する為の撮影だろ。

  それぐらい許してやれよ 」


マオ

「 それより、辛(つら)そうな顔してるじゃないか。

  この人が子供を迎えに来(き)た “ 天狗さん ” なのか? 」


霄囹

「 不法侵入者だぞ。

  “ さん ” 付(づ)けするな 」


キノコン

「 霄(しょう)囹(れい)ちゃまは弱(じゃく)体(たい)化(か)させた者(もの)をい(・)た(・)ぶ(・)る(・)の大好きですエリ 」


霄囹

「 黙ってろ!

  スライスするぞ! 」


キノコン

「 出来もしない事を言わねぇでほしいエリ 」


マオ

「 シュンシュン、キノコンに喧嘩を売るなよ。

  キノコンもシュンシュンの言葉は聞き流して良(い)いからな 」


キノコン

「 心(こころ)得(え)ましたエリ 」


霄囹

「 ムカつくキノコ野郎め! 」


マオ

「 兎に角!

  シュンシュンは今、見るからに無抵抗な “ 天狗さん ” に対して何(なに)してるんだ? 」


霄囹

「 御札を貼って効果が有るか試してるんだ。

  事情聴取するのに能力(ちから)を使われると面倒だからな。

  能力(ちから)を封じさせてもらってるだけだ 」


マオ

「 奪ったりはしてないんだな? 」


霄囹

「 そんな強力な御札を今の僕が作れる訳ないだろ。

  妖(よう)力(りょく)が必要なんだぞ!

  一時的な処置だ。

  御札を剥(は)がせば能力(ちから)は戻る 」


マオ

「 良(よ)かった!

  有(あ)り難(がと)な、シュンシュン 」


霄囹

「 フン 」


マオ

「 話しても良(い)いかな? 」


霄囹

「 好きにしろ 」


 春(しゅん)舂(しょう)霄(しょう)囹(れい)は胸の前(まえ)で腕を組むと、ムスッとした表情をしてソッポを向く。


マオ

「 初めまして、天狗さん。

  オレはマオです。

  眷属(シュンシュン)の主人(あるじ)をしてるんだ。

  シュンシュンが手荒な真(ま)似(ね)をして御免なさい 」


 紅(こう)白(はく)の巫女衣装を着て、酷(ひど)い寝(ね)癖(ぐせ)を隠す為に黒髪のズラを被(かぶ)った姿のマオが、申し訳なさ気(げ)に天狗(不法侵入者)へ声(こえ)を掛ける。


 マオから敵意を感じず、話(はなし)の通(つう)じる相手だと判断したのか──、天狗(不法侵入者)は安堵した様(よう)だ。


マオ

「 そのままの状態で申し訳ないんだけど──、天狗さん側(がわ)の事情を聞かせてもらっても良(い)いかな? 」


霄囹

「 たく──。

  甘ちゃんだな、マオは! 」


マオ

「 シュンシュン!

  拘(こう)束(そく)を緩(ゆる)める事は出来ないのか? 」


霄囹

「 結界を解除しないと無理だ。

  諦めろ 」


マオ

「 しょうがないな…… 」


 マオは天狗(不法侵入者)と目線を合わせる為、しゃがんで地面に両膝を付いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。