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⭕ 天狗様の子 5


──*──*──*── 客室


マオ

「 そう言えばさ、シュンシュンは “ 占い ” をしないのか? 」


霄囹

「 何(なん)だよ、急に 」


マオ

「 何(なん)か気になっちゃってさ。

  玄(げん)武(ぶ)さんも幻(げん)夢(む)さんも陰陽師だけど、占い師みたいに “ 占い ” するじゃんか。

  シュンシュンはどうなのかなって── 」


霄囹

「 確(たし)かに占いを盲信してくれる馬鹿なカモが多いからな、儲かる商売ではある 」


マオ

「 信じ易い純粋な人に対して “ 馬鹿なカモ ” って言っちゃ駄目だろ 」


霄囹

「 商売人(にん)からすれば、せっせと金(かね)を貢(みつ)いでくれる有(あ)り難(がた)い “ カモ様 ” でしかないんだが?

  信じるのは勝手だが、のめり込んで信じ過ぎると骨の髄(ずい)までし(・)ゃ(・)ぶ(・)り(・)尽くされて身を滅ぼすもんさ。

  程(ほど)々(ほど)にセーブして、片(かた)手(て)間(ま)で気(き)軽(がる)に楽しめる程(てい)度(ど)に留(とど)めとけば、騙されて大(たい)金(きん)を注ぎ込まされる被害者(カモ様)になる機会も減らせるだろうが──、いかせん “ 不思議 ” を見せられると信じたくなるのが人間の悲しい性(さが)ってヤツだな。

  ボロ儲けしたい占い師にと(・)っ(・)て(・)は最高の神(カモ)様って訳だ 」


マオ

「 酷(ひど)い事、言うなぁ…… 」


霄囹

「 事実を言ってるだけだ。

  世の中は、カモる側とカモられる側に分かれてるんだ。

  誰もがカモられるし、誰もがカモる事も出来るのさ!

  被害者も加害者になれるし、加害者を被害者に出来る平(びょう)等(どう)な世界だろ。

  カモる側(加害者)になる決意と覚悟を墓に入(はい)る迄、貫(つらぬ)き通(とお)せるかの違いさ。

  良心を捨て去り、悪(あく)の限りを尽くす覚悟の出来ない奴はカモる側(加害者)にはならない方(ほう)が良(い)い。

  向いてないからな。

  カモる側(加害者)に良心なんてもんは邪魔なだけだ。

  良心が残ってると被害者に同情してしまうし、魔が差したら最後、人生が詰むんだ。

  今まで天に向かって吐(は)いてた唾(つば)が、土(ど)砂(しゃ)降(ぶ)りの如(ごと)く自分へ “ ただいま ” して来(く)るからなぁ 」


マオ

「 それは自業自得だろ。

  罪(つみ)を犯(おか)したなら、見合った相(そう)応(おう)の罰(ばつ)を受けないとフェアじゃないし。

  確(しっか)り罰(ばつ)を受けた後(あと)で、残りの生涯を懸けて償(つぐな)わないと被害者や被害者家族も納得はしないだろうし 」


霄囹

「 当然だ。

  刑期を終えて刑務所から出(しゅっ)所(しょ)したからって、罪(つみ)を償(つぐな)った事にはならない。

  そんな温(ぬる)い事をほ(・)ざ(・)く(・)のは平和ボケした真(しん)の道徳の厳しさを知らないヤツの妄(もう)言(げん)だ。

  本(ほん)当(とう)の償(つぐな)いってのは出(しゅつ)所(しょ)した瞬間から始まるのさ。

  見えないだけで、天に向かって吐(は)いた唾(つば)が自分に帰って来(き)てるとも知らずに生(い)き続ける事になる。

  犯罪者に対する周囲の目が厳しいのは当然の報(むく)いだからな、真(しん)摯(し)に受け入(い)れて生(い)きるのは原因あっての結果だ。

  周囲からの理不尽な言動に怒(いか)ったとしても、そもそもの原因を作ったのは自分だからな。

  “ 非(ひ)は全(すべ)て自身にある ” を心に刻(きざ)み込んで死ぬまで世間からの厳しい洗礼を受け入(い)れて生(い)き抜く事が贖(しょく)罪(ざい)となるのさ。

  自殺は駄目だな。

  自殺は今(こん)世(せ)からの “ 逃(に)げ ” だと勘違いされているが、とんでもない愚(ぐ)行(こう)の極(きわ)みだ。

  自殺は決(けっ)して “ 逃(に)げ ” にはならないし、魂(たましい)の救いにも解放にもならないのさ。

  自分で自分に深い悪業を嵩(かさ)増(ま)しするだけで、自分で来世(あのよ)に生(う)まれ変わる自分を不幸にしてるだけなのさ。

  早く生(う)まれ変われるなんて事はなく、生(う)まれ変わる機会を自分で遠ざけてしまう行為だ。

  先祖から頂いた命(いのち)を自分で奪い、先祖から頂いた体(からだ)を捨てるんだから、来世(あのよ)へ生(う)まれ変われても人間には生(う)まれ変われないぞ。

  それだけ罪(つみ)深(ぶか)い事なんだが、真(しん)の道徳を知らないんだから仕方無いよな。

  まぁ、僕には微(み)塵(じん)も関係無い事だから、ちゃんと利用して有(あ)り難(がた)く稼がせてもらうけどな! 」


マオ

「 シュンシュンの最低さは今日(きょう)も平常運転だな 」


霄囹

「 もっと褒めろ★ 」


 シュンシュンには嫌(いや)味(み)も褒め言葉に受け取られちゃうんだよな。

 逞(たくま)しいよな、全(まった)く──。


霄囹

「 刑務所の生活ってのは、社会に貢献してる善良な市民が支払う税金で支えられてるのは知ってるよな 」


マオ

「 オレ達は税金を支払って無いけどな~~ 」


霄囹

「 当然だろ。

  日(にっ)本(ぽん)国(こく)民(みん)じゃないし、異形だからな。

  人間じゃない僕等(ら)が税金を支払う必要は微(み)塵(じん)も無いからな! 」


マオ

「 善良な市民が貴重な自分の時間を犠牲にして、社会の役に立って、社会に貢献した功績の報酬として支払われる有(あ)り難(がた)い給料の一部が、社会のルールを破(やぶ)って、善良な市民である事を捨てた犯罪者を生(い)かす為に消費されて行くんだよな 」


霄囹

「 その通(とお)りだ。

  犯罪者達は善良な市民の税金を貪(むさぼ)りながら、安全な刑務所の中で、しもしない更正を目(め)指(ざ)す大義名分の名の元に何(なん)年(ねん)もぬ(・)く(・)ぬ(・)く(・)と守られて暮らす訳だ。

  惰(だ)眠(みん)を貪(むさぼ)る様(よう)な温(ぬる)ま湯(ゆ)い快適な暮らしの中で、刑期を全(まっと)うしたってだけで、“ 罪(つみ)を償(つぐな)った ” と言われて、御(お)天(てん)道(と)様(さま)の下での(・)う(・)の(・)う(・)と生(い)きる訳だ。

  心の底から反省し、真(ま)面(じ)目(め)に更正し、真(ま)っ当(とう)に生(い)きようってする奴より、更正するフリをして刑期を終え、再犯を犯(おか)す救い様(よう)の無い馬鹿の方(ほう)が多いんだ。

  救い様(よう)の無いクズ等(ら)にも利用価値は有るからな。

  重(ちょう)宝(ほう)するから居(い)なくなると困るよなぁ 」


マオ

「 シュンシュンに利用されるのが罰(ばつ)って感じだな。

  脱線しちゃったけどさ、占いの話(はなし)をしてたんだよ。

  忘れてないよな 」


霄囹

「 あぁ……そうだったな。

  僕は自分に利益になる占いしかしないぞ。

  相手にするのは金持ち限定だ 」


マオ

「 じゃあ、占いするんだな 」


霄囹

「 いや。

  他(た)人(にん)の運勢を占うなんて面倒な事はしないねぇ。

  僕を信用させる為に占いを利用するのさ 」


マオ

「 占いを利用する?

  どういう事だよ 」


霄囹

「 占うフリをして “ 悪(わる)い事が起こる ” と予言をしてやるのさ。

  で──、安もんの御札を渡して危ない目に遭ってもらうんだ 」


マオ

「 危ない目に遭われたら逆に信じてもらえないんじゃないか? 」


霄囹

「 あのなぁ、僕は陰陽師だぞ。

  ショボい占いしてチマチマ稼いでる占い師と一緒にするな。

  僕には式隷が居(い)るんだぞ。

  式隷を使うに決まってるだろが 」


マオ

「 …………式隷に予言した事を起こさせる──って事か?

  それって自作自演じゃないかよ 」


霄囹

「 信じさせるには手っ取り早(ばや)いだろ。

  僕の予言通(どお)り、災難に遭うが “ 御札の御利益 ” で九死に一生を得る訳だからな。

  嫌(いや)でも “ 御札の御利益 ” を信じたくなる。

  本物の陰陽師の予言が当たったし、何(なに)より大(たい)金(きん)を出(だ)して買った御札に “ 御利益が無い ” なんて思いたくないだろ。

  自己愛の強い奴は、過去の自分を否定したくないし、“ 大(たい)金(きん)を溝(ドブ)に捨てた ” なんて認めたくないから、御札の御利益を信じざるを得なくなるのさ 」


マオ

「 再びやって来(き)た依頼人を本格的にカモる──って事かよ? 」


霄囹

「 フフン!

  そうなる。

  律儀に占ってやる必要なんてないのさ。

  馬鹿正直に占っても所詮は占い。

  当たるも八卦、当たらぬも八卦さ。

  まぁ、占いは当ててな(・)ん(・)ぼ(・)の商売だからな、当てなきゃ意味がない。

  依頼人に気(き)付(づ)かれない程(てい)度(ど)に心理的な誘導なんかもして当てる確率を上(あ)げるもんさ 」


マオ

「 …………シュンシュンの場合は占いって言うより、占いを装(よそお)った詐欺って感じだな 」


霄囹

「 占いは新たなカモを取り込む為の手段の1つさ。

  占いの扱い方(かた)なんてのは占い師に依って多少の違いが出(で)るもんさ。

  占い師の個性ってヤツだな。

  所詮は自分の懐(ふところ)をパンパンにして贅沢な暮らしをする為の手段でしかないんだ。

  楽(ラク)に稼ぐ為に占いを利用しているに過ぎない。

  安全に占いを楽しみたいなら本物を見(み)極(きわ)める目を養(やしな)う事だな。

  のめり込み依存しない工夫を自分で探し、割り切って楽しむもんさ 」


マオ

「 見(み)極(きわ)める目を養(やしな)わないとシュンシュンみたいな奴にし(・)ゃ(・)ぶ(・)り(・)尽くされる事になるもんな 」


霄囹

「 僕は “ 金持ちしか相手にしない ” って言ってるだろ。

  貧乏人(にん)は門(もん)前(ぜん)払(ばら)いするに決まってるだろが 」


マオ

「 シュンシュン流の占い方(かた)って犯罪ギリギリだよな。

  依頼人(にん)に寄り添(そ)ってないし 」


霄囹

「 占い師の全(すべ)てが “ 寄り添(そ)う ” なんて思わない事だな。

  占い師に夢なんかみるなよ。

  どんなに綺麗事(ごと)をほ(・)ざ(・)い(・)て(・)も金(カネ)を取ってる以上は商売だからな。

  カモってる側って事を忘れず、信用し過ぎない事だ。

  1歩(ぽ)下(さ)がって冷静に付き合う事が大事だぞ 」


マオ

「 シュンシュンは占う時(ちき)は何(なに)を使うんだ? 」


霄囹

「 何(なん)でも使うが?

  占いに使える物なんて、何(ど)処(こ)にでも有るからな。

  使い方(かた)次第さ。

  プロの陰陽師ってのは特定の道具を選ばないのさ。

  道具に拘(こだわ)らいと占えないのは三流の陰陽師ってな! 」


マオ

「 シュンシュンは陰陽師歴が人間より長いもんな。

  決まった道具に頼る必要は無いんだな 」


霄囹

「 人間ってのは油断をすると失敗し易いだろ。

  油断してる所を狙って、不運に合わせるんだ。

  ギリギリの所で助けて “ 御札の御利益のお蔭 ” だと強く思わせるんだ。

  これが効果覿面でな、100人中(ちゅう)97人は、大(たい)金(きん)を持って来(く)るもんさ 」


マオ

「 来(こ)ない人も居(い)る訳だな 」


霄囹

「 当然だろ。

  まぁ、僕としては出来損ないの御札を大(たい)金(きん)で売れて得してるからな、来(こ)なくても構わないさ。

  “ 御利益 ” を発揮したら勝手に塵と化す様(よう)にしてあるから、証拠は残らないしな 」


マオ

「 大(たい)金(きん)で買わせた御札が手元に残らない様(よう)にするのかよ。

  酷(ひど)い事するなぁ…… 」


霄囹

「 御札は消耗品(ひん)なんだよ。

  効果が無くなった御札はタダの紙(かみ)屑(くず)だからな。

  手元に残らない様(よう)に消すのが1番なのさ 」


マオ

「 証拠隠滅か。

  シュンシュンらしいな 」


霄囹

「 出来損ないの御札でも人間が作る御札よりは効果は有るんだぞ!

  何(なん)せ、本物の陰陽師が作るんだからな! 」


マオ

「 お…おぅ…… 」


 シュンシュンが作る御札の凄さってオレには分からないんだよなぁ……。

 玄(げん)武(ぶ)さんと幻(げん)夢(む)さんになら分かるのかな?


霄囹

「 マオ、そろそろ寝ろよ。

  お前(まえ)は6時間 ~ 8時間は寝る必要があるんだろ 」


マオ

「 未(ま)だ22時を過ぎたばっかだけど? 」


霄囹

「 朝食は7時って言ってただろ。

  6時に起きるなら丁度8時間じゃないか 」


マオ

「 分かったよ。

  シュンシュンは寝ないのか? 」


霄囹

「 僕が寝たら誰が爆睡してるマオを護るんだよ。

  眷属になる前(まえ)から睡眠なんて必要ない身体(からだ)なんだよ 」


マオ

「 そっか……。

  じゃあ、何(い)時(つ)も狸(たぬき)寝(ね)入(い)りしてた訳だな? 」


霄囹

「 そういうこった。

  ほら、さっさと寝ろよ 」


マオ

「 分かったよ。

  おやすみ、シュンシュン── 」


霄囹

「 あぁ、確(しっか)り寝とけよ 」


 オレはベッドに潜り込んで就寝する事にした。

 シュンシュンはスマホ(スマートフォン)の画面を見ながらニヤニヤしている。


 朝までスマホ(スマートフォン)でゲームをするつもりらしい。

 羨(うらや)ましいなぁ……。


 何(なん)でオレは睡眠が必要なんだ……。

 〈 テ(原質)フ(の源(みなもと)) 〉を体内に貯蓄しなくても良(い)い様(よう)にしてもらえないのかな……。


 《 裏野ハイツ 》に帰ったら、セロに聞いてみよう!

◎ 訂正しました。

  自分に帰って来(い)てるとも ─→ 自分に帰って来(き)てるとも

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