⭕ 天狗様の子 3
駅を出ると如何にも高級車っぽい車が停車していた。
どうやら迎えに来てくれた車らしい。
シュンシュンに促されて停車している車に乗車する。
車が走り出すとシュンシュンはスマホを弄り出した。
マオ
「 シュンシュン!
乗せてもらってるのにスマホを弄るなんて失礼だろ 」
霄囹
「 依頼主に報告してるんだよ。
『 迎えの車に乗りました 』ってな。
タクシーに乗った時も新幹線に乗った時も報告してたんだ。
教えた筈だぞ 」
マオ
「 そうだったかな?
因みに依頼主は何て? 」
霄囹
「 既読は付くが、向こうからの返信は無い。
一方通行の報告だからな 」
マオ
「 ふ~ん……。
天狗は明日現れるんだよな? 」
霄囹
「 予定ではな 」
マオ
「 本当に天狗を退治しちゃう気なのか? 」
霄囹
「 その為の魔具刀だろが 」
マオ
「 そうだけど…… 」
霄囹
「 僕だって鬼じゃないからな。
天狗の話も聞いてやるさ。
こういうのは双方の言い分を聞いて判断するもんさ 」
マオ
「 でもさ、依頼主は子供を連れて行かれたくないんだよな? 」
霄囹
「 神通力を上手く利用すれば、楽してガッポリ出来るからな 」
マオ
「 その子供がさ、使えていた神通力を使えなくなったら? 」
霄囹
「 そうだなぁ。
利用価値が無いって判断され、愛想を尽かされるかもな。
激しく責められ、居場所も失う事になり兼ねない。
母親と祖母の身勝手な期待を裏切る事になるんだ。
仕方無いかもな 」
マオ
「 そんな──。
今は神通力を使えてるんだよな? 」
霄囹
「 さぁな。
其処迄は知らされてない。
だが、僕なら見れば判る。
何せ半分が異形だからな 」
マオ
「 そっか。
オレにも判るかな? 」
霄囹
「 マオには判らないと思うぞ。
異形でも種類が違うからな 」
マオ
「 そっか…… 」
霄囹
「 僕は今から【 魔法少女 ストライクドリーム ~ 魔怪獣Q号 殲滅作戦 ~ 】をするから邪魔するなよ 」
マオ
「 結局、アプリゲームで遊ぶんだな 」
霄囹
「 マオも遊べば良いだろ 」
マオ
「 うん………… 」
シュンシュンはアプリゲームに夢中だ。
しょうがないからオレもアプリゲームで遊ぶ事にした。
スマホの画面には無料で遊べるアプリゲームが綺麗に並んでいるから、どれにしようか悩んじゃうな。
──*──*──*── 被害者の実家
???
「 マオ、起きろ! 」
マオ
「 い゛ってぇ!!
何だよぉ~~~~。
これから良いところだったのにぃ! 」
霄囹
「 ガキじゃあるまいし、涎垂らして寝てんな。
着いたから車から降りろ 」
マオ
「 うぇぇえっ!?
涎ぇ…… 」
オレは直ぐ様、服の袖で口を拭く。
霄囹
「 涎は僕が拭いてやったよ。
貴重なハンカチが1枚、使えなくなったから10万な 」
マオ
「 はぁぁぁぁあ!?
何でハンカチ1枚で10万も取るんだよ!
洗濯したら使えるだろぉ! 」
シュンシュンは既に車から降りた後らしく、外でオレを待っていてくれたみたいだ。
慌てて車から降車すると、後部座席のドアが自動で閉まる。
そのまま車は車庫へ向かって走り去って行った。
霄囹
「 此処が依頼主の実家だ。
『 自分の家だと思って寛いでくれ 』て言われてるから、夕食を食べながら作戦会議するぞ 」
マオ
「 作戦会議なら車の中ですれば良かったんじゃないのか? 」
霄囹
「 僕は作戦会議より【 魔法少女 ストライクドリーム ~ 魔怪獣Q号 殲滅作戦 ~ 】を優先したかったんだよ!
文句あるのか? 」
マオ
「 何でシュンシュンが怒るんだよ…… 」
シュンシュンと共に依頼主の実家の敷地内へ入る。
広い庭が広がっていて、学校の運動場よりもデカい気がする。
マオ
「 うへぇ~~。
広い庭だなぁ……。
依頼主の実家って金持ちなのか?
建物も立派だよな 」
霄囹
「 そこそこの資産家らしいぞ。
まぁ、僕の方が明らかに稼いでるけどな! 」
マオ
「 金持ちなのに未だ稼ぎたいのか……。
神通力を使える子供を使って態々稼がなくても十分に成功してるんだろ? 」
霄囹
「 金は有っても困らないからな。
稼げる手段が有るなら何でも利用して稼ぐのが守銭奴さ★ 」
マオ
「 脱税してなきゃ良いよな。
こないだ脱税者を懲らしめて御用する胸熱なドラマが終わったじゃんか。
ドラマが切っ掛けで脱税者が減ったら良いのにな 」
霄囹
「 馬鹿を言うなよ。
脱税者が減ったら、僕等が自由に使える裏金ちゃんが減るだろが!
犯罪者ってのはな、ドラマを見たぐらいで改心しないから犯罪者なんだぞ。
ドラマを見て良心が痛んで脱税を止める奴等は犯罪者の風上にも措けないは腰抜けさ。
万死に値するゴミ虫だ! 」
マオ
「 なんて事を言うんだよ。
悪事を止めて改心するのは良い事なんだから、褒めてやらないと駄目だろ。
まぁ、エベレスト並みに積んだ罪を減らすのは大変だろうし、今世での返済も難しいと思うけど。
来世に赤字繰越しは避けられないだろうな 」
霄囹
「 悪に手を染める奴はな、そんな事は百も承知で犯罪者になるんだよ。
死んだら来世に “ 生まれ変わる ” なんて微塵も思っちゃないのさ。
“ 死んだら終わり ” とか “ 次の世なんて無い ” とか “ 転生なんてファンタジーな事は起きない ” って思って生きている。
だから、来世に生まれ変わる自分の事には無頓着になれるんだ。
心底どうでも良いし、無関心で居られる。
知らぬが佛ってヤツだな。
赤字繰越しした来世に転生した自分は、魂は同じだが、前世の記憶が無い真っ白な別人だ。
前世の自分が、どんな悪事を犯し、何れだけ悪業を積んで赤字繰越ししたのかなんて、知りやしないし、知りようもない。
来世に生まれ変わる自分は、前世の自分がおせっせと増やした悪因縁に苦しむ事になる被害者って訳だ 」
マオ
「 今世の自分は加害者で、来世に生まれ変わる自分は被害者か──。
自業自得だな 」
霄囹
「 そうさ!
今世で悪事に身を投じて生きてる奴は、来世に生まれ変わる自分の首を懸命にギュッギュッと締め付けてるって訳さ!
笑えるだろ 」
マオ
「 結局、困るのは自分だから、悪い事をしてる奴は、放っときゃ良いって事か──。
でもさ、被害者は救済したいよな 」
霄囹
「 優しいなぁ、マオは。
前世で似たような悪さをしていた報いを受けてる──って事も有るんだぞ。
被害者の全てが “ 前世で犯した罪に対する罰を受け、報いを受けて苦しんでる ” とは言わないがな 」
マオ
「 ………………そっか。
全部ではなくても、そういうケースも有る訳か。
でもさ、前世の記憶が無いんだから分からないよな 」
霄囹
「 そうだな。
理不尽だよなぁ~~。
それが嫌なら、今世で悪さをせず、誠実で真っ当に生きる事さ。
まぁ、来世に生まれ変わる事を信じない奴等は、悪事を止めたりしないだろうさ。
だが、それで良いのさ 」
マオ
「 何でだよ? 」
霄囹
「 僕が悪人達をカモってガッポリ出来るからさ★ 」
マオ
「 シュンシュンが1番の悪者だな! 」
霄囹
「 褒めるなって★ 」
話して歩いてる内に玄関に着いた。
正門から玄関に着くのも一苦労な距離だった。
マオ
「 歩いただけなのに疲れちゃったな 」
霄囹
「 おぃおぃ、随分と軟弱になったんじゃないのか?
そんなんで、天狗を殺れるのかぁ~~? 」
マオ
「 ムッ!
馬鹿にすんな。
武器を持ったら違うんだからな! 」
シュンシュンが玄関を開けてくれる。
マオ
「 勝手に入って良いのか? 」
霄囹
「 『 自分の家だと思って寛げ 』って言われてるんだ。
気にするな。
さっさと入れ 」
マオ
「 分かったよ。
お邪魔しまぁ~~す 」
玄関から入ると、家の中も広かった。
◎ 訂正しました。
懲らしめるて御用する ─→ 懲らしめて御用する




