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サラリーマンの異世界奮闘記(仮)  作者: アリス工房(仮)
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70.一つの光明と、新たな問題

いつもお世話になりますアリス工房(仮)です

「あのぉ~。あるにはあるのですが………」

天使ルルベルからの思わぬ一言!その言葉を聞いた俺は彼女をイスに座らせ、ありったけのどら焼きを献上し話を促せる。


「それは…………」

長い沈黙が続き漸く重い口が開かれる。その表情は何処か思い詰める雰囲気で心なしか言いたく無さそうだ。


「……天使の秘薬です」



「天使の秘薬?」

何だそれは?聞いたことがないぞ。周りにいる仲間も頭の上に?マークを浮かべている。


「ねえルルちゃん。詳しく聞かせてくれないかしら?」

おねいさんがテーブルの上の紅茶を一口飲み、いつもの優雅な仕草で質問する。


「わ、わふぁしも知りたいれふ」

ドサクサまぎれに献上品(どら焼き)をちゃっかり食べながらこちらも聞く気満々だ。


「天使の秘薬と言うのは、万病に利く言わば万能薬の様な物でして効果は計り知れないのですが………入手が非常に困難な秘薬です」


「それは、薬が手に入りにくいのですか?それとも、非常に高額な薬なのでしょうか?」

お母さん(王妃様)を治せるかも知れない薬の存在に興奮を隠しきれない口調で質問する王女様。


「………その、素材の入手が困難なのです」


やはりそう来たか。万能薬と言う位だからある程度は覚悟していたが、入手困難な素材とは?


「竜の髭、竜の泉の聖水、天使の羽。最後に銀の魔石が必要になります」


ルルベルの言葉に一同が押し黙る。流石は天界人が使用する秘薬だけあって難易度が高い。幾つかは心当たりがあるが……さて、どうしたもんかな。


「竜の泉の聖水って、ルルちゃんと初めて会った湖の事かしら?」


「はい。最果ての島にある湖です」


「それだったら大丈夫だな」

アイテムウインドウからとある物を取り出す。これは以前立ち寄った時ちゃっかり採取しておいた湖の水だ。何かの役に立つと思って汲んどいて良かったよ。


「おー。流石はナツメさん。お手柄なのです」

嬉しそうに喜ぶお子さま。


「天使の羽はむしり取るから良いとして、後は竜の髭と銀の魔石か」


「………」


「そうね、羽はむしり取るので問題ないわ。残る二つが難しそうね」


「…………」


「羽はむしれば良いのです。これで又一歩マリンさんのお母さんを治せる道が開けるのです」


「あのぉ、先程から物騒な言葉を耳にしておりますが、もしかしてわたくしの羽を………」


「安心しろるるえもん。むしる時はひと思いにはぎ取るからへーきだ!」


「そうなのです。痛いのは一瞬なのです」

俺とユーリが大変すばらしい笑顔で答えると、顔面蒼白で逃げ出そうとする天使さんはあっさりとおねいさんに捕縛される。


「往生際が悪いわよ。これも人助けと思って素直にむしられなさい」


「ひーーーー。皆様の眼が怖いです。それに、て、天使の羽は一枚で十分でございます」

ジタバタと暴れる天使様は哀れユーリちゃんの手によって必要以上にむしり取られるのであった。


「シクシク………もうお嫁に行けません」

壁の隅っこでしゃがみ込んで泣いている天使さんは置いといて話を進める。


「後二つが問題ね。何かアテでもありそう?」


「竜の髭は古代龍にでもお願いしてみましょう。と言っても居場所が分からないですけど」


「一つ思ったのですけど」

ビシッっと手を挙げるユーリちゃん。その姿は授業参観で親に良い所を見せたい子供の様な感じだ。


「どうした。何か妙案でも浮かんだのか」


「今回の依頼を達成したらどんな願いも叶えてくれるとルルベルさんが言ってました。だったら天使の秘薬が欲しいとお願いしたら貰えるのではないでしょうか?」


………完全に見落としていた。そう言えばそんな報酬だった。まさか。お子さまにそんな指摘を食らうとは何たる不覚。俺はそのまま部屋の隅で小さくなっている人物の前に座り込む。


「ルルベルさん。つかぬ事をお伺い致しますが宜しいでしょうか?」


「むーーーーーー!」

警戒心全開の姿勢で可愛らしい威嚇をする天使さん。


「ごめん、ごめん。謝るから機嫌を直してくれよ。ほら、ルルベルさんの大好きなどら焼きと………そうだ!ミランダさん。例の物をお願いします」


急に呼ばれたおねいさんは俺のアイコンタクトを素早く理解しアイテムウインドウから例の物!を召還する。


「ごめんなさいねルルちゃん。お詫びにおねいさん取って置きのコレをあげるわ」


そっと差し出された一冊の本。何を隠そう、るるえもんが尤も愛して止まない作家さんが書いた最新刊(BL)である。実は昨日、玲美から送られてきた本で何時もならフォルダ(鍵付き)管理者おねいさんがいち早く読むのだが今回は栄誉ある一番最初に読める権利を譲ったのである。


「……読んでも宜しいのですか?」

目を真っ赤に泣きはらしながらも、猛禽類を彷彿とさせる視線である一点を凝視しながら例の物を受け取ろうとする。


「ええ、良いわよ。今回はコレで許してね」


コクコク頷く天使さんは宝物を貰ったかのように大事に両手で受け取ると感激の涙を流し始めた。

「あ、あの御方の最新刊が……こ、この手に!」


「物は相談なのだが、俺達の依頼報酬で天使の秘薬を要求出来るのか?」


「それは可能です。ですが、絶対的に素材が品薄で入手するのにどの位掛かるか検討が付きません。天界人は約束は必ず守りますが、少々お時間を頂く事になります」

機嫌を取り戻した天使さんは流暢に話す。


「どの位掛かるのだ」


「さ、三百年程」


死ぬわーーー!どんだけ掛かるんだ。これは本腰を入れて探さなくてはならないな。


この後、お願い事を巧みに変えて要求したが旨く行かなかった。物としては、泉の聖水と天使の羽(大量)はGET済み。残りは髭と魔石の入手が必要なのと、これらを調合する人材を確保しなければならない。問題は山済みだがこの辺も含めてマリンさん(王女様)が調査してくれる。彼女に取って見れば、今まで探して来た万能薬の素材が分かっただけでも重宝している。あまつさえ、その中の二種類は入手済である。これは、やる気が出て当然だ。


この後、王女様の久方ぶりのご帰還に城内は大いに盛り上がりこの日は宴と共に一泊する事を余儀なくされた。当然、内のお子さまがはっちゃけたのは言うまでもない。おねいさんは相変わらずの酒豪ぶりを発揮し、最後は騎士団連中を酔い潰すに至った。今回一人精神的にも肉体的?にも被害にあった天使様は極上の品を手に入れてご満悦。すっかり機嫌も取り戻し今は部屋に籠もって読書中だ。本人曰く、新刊は三回読んで魂に刻み込むそうだ……恐るべしBL魂!



王妃様のご病気問題に関してはマリンさんが今後調査することで話は纏まった。そして、漸く本題とも言える獣人国とエルフ国による共同戦線並びに第六騎士団改め紅騎士団立ち上げに向けて本格的に始動する。先ずは先方にご挨拶&連合軍設立に向けての細かな打ち合わせをするべくエルフ国王都へ移動する。


今回のメンバーは俺達とエルフ騎士二人、それから獣人国を代表してマーリン王女が同行する。王女がエルフ国へ行くことによる護衛は俺達がそのまま引き継ぐ。


最初、英雄騎士さまが自ら陣頭指揮を取るべく名乗りを上げたが王女様の圧倒的なまでの覇気の前に敢えなく撃沈した。俺が思うに獣人国最強はマリンさんなのでは?と最近つくづく思う。


転移ポータルとも呼べる魔法陣を王都の一角に設置許可を得てその場所から一気にエルフ国ロゼッタ城にあるこれまた設置場所へ移動する。この辺はお互い行き来するための措置であるが両国とも自分たちの意志で移動できない。これは、良からぬ事を企てる者が今後現れたときに誰でも使えるのを禁止する予防策だ。今現在この移動方法が可能なのは俺達のみであって、この辺は両国とも少なからず信用してくれているのでは無かろうか。


獣人国は王女自らが味方に付いてくれたのが一番の理由。エルフ国は、やはり天使ルルベルの存在が大きいのでは無かろうか。エルフと天界人はむかしから交流が深く、特に王族はその恩恵を多く受けている。その同胞の使いでわざわざ現れた天使の発言に国の女王が突き動かされたのは必然とも言える。



「準備は宜しいですか?それでは転移を開始します!」


俺の一言に皆が固唾を飲んで見守っている。その表情は思い思いだが、魔族との決戦に向けて着々と準備が進められる。今後の事も決まったし、先ずは目の前にある問題を解決する為、皆と共にロゼッタ城に転移するのであった。














いざ、エルフ国へ!サラリーマンは騎士団立ち上げに奮闘します。






皆様の暇つぶしになれれば幸いです

それではまた次回




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