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サラリーマンの異世界奮闘記(仮)  作者: アリス工房(仮)
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67.マリン商会の協力、ギルド長の決意

いつもお世話になりますアリス工房(仮)です

翌朝、書状を持って現れたのは国境越えでお世話になった騎士団所属の二人のエルフ。レイチェルさんとミュンさんだ。


「二人ともお久しぶりです。旅のお供が見知った顔で良かったですよ」


「ご無沙汰しています。自己紹介は宜しいですよね、隊長より書状を預かっていますのでお渡しします」


ゲネス女王直筆の書状は、獣人国との共同戦線を張るための大事なものだ。今回の任務はこれを用いて交渉する。そのまま王都に向かっても門前払いされるのがオチなのでマリン商会代表取締役のネコミミお姉さん事、マリンさんに助けを求める予定だ。


女性陣を待つ間、一階のロビーにも似た場所で簡単な挨拶とこれからの予定を説明した。


「メレディス町ですか、マリン商会の本部へ行くのは解りましたが此処からだと最短でも十日以上の道のりですね。簡単な準備はして参りましたが一度戻って長期移動の準備をした方が良さそうです。少し時間を頂けないでしょうか?」


尤もな意見を述べるレイチェルさん。しかし、今回の旅路は悠長に馬車で移動するつもりは毛頭無い。最短ルートで移動するつもりだ。


「距離は長距離ですが悠長に馬車で移動するつもりはありません。数泊出来る着替えと洗面具等だけで十分です。荷物は俺……イヤ、お二人は女性ですので内の誰かに荷物を預けて下さい。収納魔法が使えますので基本手ブラで平気ですよ」


「それはありがたいのだが、馬車を使わないとはどういう事だろうか?」


「決して口外しないと約束して下さい。お二人を信頼してこその移動手段です」


俺のお願いを静かに頷いて答えてくれたのを確認すると少し声のトーンを小さくする。


「転移魔法を使用します。ただし、初めてだと転移酔いするかもしれませんのでこちらをお渡ししますので飲んで下さい」

コップに入った水と酔い止め薬を渡し飲むように促す。


驚いた表情を見せるが言われるがまま薬を飲んでくれた事に安堵し暫く待っていると、本日もお化粧に余念がない女子二名&反覚醒状態の寝坊助ちゃん一名が現れる。一応髪の毛は整っているのはどちらかの仕業だろう。


「お待たせ~。遅くなってごめんなさいね」

本日も完璧なメイクでご登場のお美しいおねいさん。


「おはようございます。遅くなり申し訳ございません」

るるえもんはいつも通りのニコニコ顔での対応だ。


「おはようです。うみゅう、まだ眠いのです」

ルルベルに支えられながらこちらに遣ってくるのはユーリちゃんである。


三人も見知った顔が今回の同行者と解り簡単な挨拶を済ますと転移クリスタルを使用する為に人気のない場所へ移動する。と言うか俺の部屋に押し掛ける。


多少不満もあるが致し方ない気持ちに駆られながら六人全員で手を繋ぎあい転移準備に取りかかる。


「皆さん準備は良いですか。それでは転移します。場所はメレディス町のアイテムSHOPユーリ!」


俺の掛け声とともにクリスタルに行き先を告げて念じると光に包まれる。一瞬大きく光った転移の輝きは瞬く間に俺たちを飲み込み宿屋から姿を消すのであった。



   □○□転○□移○□中○□○



視界が切り替わると、そこは…………


見知ったお店の一角に作られた転移の魔法陣が設置された場所。アイテムSHOPユーリの部屋である。


「ふう~。無事に移動出来た様ですね。お二人は大丈夫ですか?」


「す、スミマセン少し気分が悪いです」


ミュンさんが立っていられず座り込む。彼女の背中をルルベルが優しく介抱するのが見てとれる。


「………休ませて貰っても良いですか?」


「初めての転移なので仕方がないです。此方も知り合いに挨拶とかあるので暫く休んで下さい」


俺の話を聞いたお子さまはトテテテと走り始めた。先程からソワソワしているのはアリエッタちゃんに会いに行ったのであろう。気が付けばおねいさんもユーリの後に付いていく。


「あらあら~!皆さんお揃いでどうなされたのですか?」

いつもの脳天気な声が勝手口から聞こえてくる。


「ミシェルさんお久しぶりです。今日は商業ギルドに用事があってエルフの王都から転移してきました。後ろで騎士団のエルフさんが居ますのでお願いします」


「解ったわ~。お茶の用意をするわね~」


ルンルン鼻歌を歌いながら台所に消えて行く。部屋の中に入ると随分と様変わりしていた。小綺麗に整理された部屋は一部服が脱ぎ散らかしてはいるが(恐らくミシェルさん)こざっぱりとしている。部屋ではお子さま二人が再会しお互い修行の成果を語っている。俺に気が付いたアリエッタちゃんが可愛らしい仕草で挨拶する。 この子はいつ見ても愛くるしい、ロリ属性の無い俺だからこの程度でいられるがメガネが見たら悶絶しそうだ。今度画像を送ってやろう。リアクションが楽しみだ。


「………ナツメお兄ちゃん」


「元気にしてたか」

やさしく頭を撫でてあげると目を糸の様に細め嬉しそうにする。


今日の店番はマリーさん。相変わらずの長身と一見無愛想であるが人一倍妹思いの苦労人(主に姉が)

「久しぶりだなナツメ」


「マリーさんも元気そうで何よりです。商品の売れ行きはどうですか?」


「ああ、毎日忙しいよ。最近は回復ポーションが良く売れている。それからこの前の新商品はスゴいな!発売即完売だよ。マリンさんも喜んでいる」


新商品とは移動中に余りにも暇を持て余した俺が考えたと言うかこっそり提案した身体強化ポーション!元々ある強化ポーションの応用でお子さま印の魔石が組み合わされる事によって強化された一品である。検証試験も秘密裏に行われ既存の製品より効果が一.五倍もある優れ物。実は移動要塞の攻撃を受け止めたときさり気なく使用していた。身を持って体感したがマジパネです。


「それは良かったです。俺はこれからマリンさんに会いに行ってきます。部屋の中にエルフの騎士二人がいますのでよろしくお願いします」


「ああ、解った。今日は泊まって行くよな。久しぶりに話が聞かせてくれ。アリエッタも喜ぶよ」


「そうですね、お言葉に甘えて泊まります。久しぶりに宴会でもしましょう」


とても良い返事が返って来たのを確認し意気揚々と商業ギルドへ向かうのであった。



メレディス町商業ギルド。相も変わらず通された特別会議室で待つこと数分。ネコミミが可愛らしいがその実体はギルド長にして我がマリン商会の代表取締役であるマリンさんその人だ。


「お久しぶりです。此方ににいらしたと言う事は例の件ですね」


「はい。そうなります」


対面に座ると暫く黙考するマリンさん。お茶を一口すすり心を落ち着かせて漸く話し始めた。


「エルフ国との共同戦線ですが大変難しいです。そもそも私は商業ギルドに所属している身ですので軍に直接関わりがありません」


俺はマリンさんの目を片時も反らさず見つめる。この人に相談すれば何ら解決策を見出してくれる、そんな確信めいた物が彼女から伝わってくる。それは、あくまで勘でしか無いのだが………

人を見る目だけは俺の持っている力の中で一番自信がある。今までそれで失敗したことがない。基本的に運は悪い方なのだがその中で培われてきた見る目に間違いない。


「………ふう。ナツメさんは不思議な方です。私は今まで色んな人を見てきましたが貴方の様に人を心の底から信じる目を持った人は初めてです。普通は多少なりとも後ろめたいことや何かしらの欲が絡んでいるものですよ」


「俺にだって欲や後ろめたい事なんて山ほどありますよ」


「フフフ、そうですね。でもナツメさんの場合それはバレバレですよ」


「んなっ!そうですか?」


「はい。ユーリさんやミランダさん、ルルベルさんもそう言った人柄に惹かれて貴方の仲間になったのだと思います。私も同じです………話がわき道に逸れてしまいましたがここからが本題です」


固唾をのんで聞き入っている。それは、これから始まる困難な道のりかもしれないが打開策でもある。一字一句聞き漏らすまいと身構える。


「解決策はあります。少なくともこの町に駐在している部隊は間違いなく貴方の要望を聞き入れてくれます」


「??」


何で?意味が解らないぞ。俺は軍に面識などないし関わった記憶がない。強いて挙げるならミシェルさん達を助けるために喧嘩を売った位なのだが……


「フフフ、貴方が紅の騎士だと言えば彼らは喜んで力を貸してくれます。何故なら、彼らは紅の騎士を王国軍第六騎士団隊長に指名しているからです」


「何ですとーーーーーー!」


マリンさんの発言に驚かされ思わず立ち上がってしまった。何故?い、いつのまにそんな役職がついたんだ?


「これはあくまで彼らが勝手に言っているだけでありますが、実際この部隊には隊長は存在していません。現責任者は副隊長のルシオが陣頭指揮をとっています」


「第六騎士団ってたしかあの豚顔の奴が隊長とか何とか言っていた様な」


「彼なら早々にこの町から出て行きました。怪我というのが表向きの理由ですが、元々評判の悪い方でしたので体よく排除しました」


「排除って、もしかしてマリンさんがですか?」


「いえ、私は何もしていませんよ」


もの凄い笑顔(黒い)で答えられた。やはり俺の目に狂いは無い!この人だけは敵に回してはいけない。


「では、彼らを訪ねれば少なくとも協力は得られると言う訳ですね」


「そうなりますね。でも、その位の数では共同戦線とは言い難い…………しかたがありません。あまり王都には行きたくなかったのですが、町の為、王都の為。それはこの大陸の為でもありナツメさんは皆さんを思って動いてくれている。僭越ながら私も協力致します。先ずは騎士団の駐屯地へ赴きましょう」


話はトントン拍子に進み、俺は第六騎士団が滞在する駐屯地を訪れた。横にはギルド長兼商会取締役のネコミミお姉さんと一緒だ。彼女は慣れた口調で入り口にいる獣人騎士に話しかける。


「こんにちは、商業ギルドのマリンですけど副隊長はいらっしゃいますか?」


「こ、これはマリン殿!お暑い中ご苦労様です。大至急お呼び致しますのでどうぞこちらでお待ち下さい」


直立不動の姿勢からのおもいっきり低姿勢の振る舞い。とてもギルド長に対しての対応に見えないのに違和感を感じながら案内されたのは駐屯地入り口から入って直ぐのところにある応接室。


中の造りは至ってシンプルで軍の駐屯地と聞いていたのでもっと物々しい要塞をイメージしていたが普通の三階建てのビルの様な建物だ。中も何処かの事務所とイメージがピッタリくる。流石にパソコンは無いが夥しい書類が山済みで受付が有る所を見るとここは駐屯地とは名ばかりで町の警察署の様な場所だ。


遠くから走ってくる音が聞こえる。慌てているのは聞こえる足音から推測される。扉の前で一度立ち止まり荒い息を整えているのであろう。一呼吸置くと目の前に現れたのは体格の良い何処か熊っぽい獣人の男だ。身長だけでも二メートル近くあり顔つきも鋭い目つきが印象的だが何よりその鍛え抜かれた筋肉がこれ見よがしに強調させる。どこのプロレスラーよ!


「これは、これはマリン殿!今日はどの様なご用で此方に参られたのでしょうか?」


恐ろしく低姿勢に呆気に取られながらもマリンさんに視線を促すと全く表情を変えずに淡々と用件を述べるネコミミさん。


「本日伺ったのは第六騎士団の命運を握る人物をつれて参りました。いえ、この大陸のですね」


「それはどういう意味でしょうか?」

困惑する騎士団副隊長は当然の質問を投げかける。


「ナツメさん。例の物をお願いします」


例の物?ああ、そうね。そう言う事ですか………アイテムウインドウから選択した装備!おねいさん使用から元に戻った装備をする。


(お久しぶりですマスター。今日は目の前の熊だるまを殲滅すればよろしいのですか?)


いやいや、宜しくないから。コイツは日に日に好戦的になっている気がするぞ。


(取り敢えず待機してくれ。それから音声を外部モードで頼む)


(了解しました)


紅き鎧が今日も絶好調のパワードスーツ!異世界のアニメキャラ全開のフォルムが目の前にいる獣人を圧倒している。たった数週間前の出来事なのに鮮明に焼き付いた戦場での戦いぶりを思い出したのか目の前の男は両膝を付いて拝み始める。


「顔を上げて下さい。これでは話し合いにならない」


インパクト抜群のアピールが余りにも強かったのか話は更に加速し、あっという間に第六騎士団は本日付けを持って紅騎士団と名前を変更しエルフ国並びに獣人国始まって以来の連合国部隊第一号となった。勿論、巻き添えで俺たちメンバー並びに後方支援としてマリン商会が全面バックアップを宣言する。その場に付き添いで来ていたレイチェルさんとミュンさんもなし崩しにエルフ国代表として強制参加!


話が大きくなりすぎてクーデターにならないよねと思っていたが俺の知らない最後の切り札がこの後獣人国王都で炸裂するのである。












協力な援護を得たサラリーマンは獣人国で奮闘します。






皆様の暇つぶしに少しでもなれれば幸いです

それではまた次回

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