66.エルフの報酬
いつもお世話になりますアリス工房(仮)です
二度目の訪問となったロゼッタ城!相も変わらず堅牢で美しい造りの城が俺達を迎え入れてくれる。宰相や騎士団の相手をするのが、と言うか長ったらしい話が苦手な内のお子さまと保護者であるおねいさんはメンドクサイと一言告げて王都の町へ観光&お買い物に出かけた。念話での通信手段もあるし召還命令は全員では無いので良しとしておこう。
迎えに来た馬車の中には俺とルルベルが乗り込むと素気なく動き出す。景色を眺めながら王都の町並みを走って行く。揺られること数十分。城の入り口の桟橋が降ろされ中に入ると騎士団の人にお出迎えされ、この前伺った応接室へ案内された。
「呼ばれた理由、何だと思う?」
「恐らく騎士団への勧誘、若しくは私達への協力要請についてだと思われます」
「まあ、あれだけ派手に立ち回ったからな解らなくもないが………」
暫く待たされると宰相のリゲル・ロゼッタと見慣れない騎士が数名メイドさん共々現れた。見知った顔とそうでない人。一通り挨拶を交わし席に着く。三人の騎士はそれぞれが王都守衛騎士団の隊長達の様で今回は団長のユリシーズさんの替わりに出席した様だ。団長さんは現在移動要塞に占拠された町の確認の為、勇者を引き連れて別行動を取っている。
自己紹介も終わり席に着くとリゲル宰相が話し始める。
「此度はあなた方が用意された魔導兵器のお陰で敵を倒すことが出来た。その戦果にゲネス女王も大変お喜びである」
「勿体ないお言葉ありがとうざいます。私共もお役に立てて喜ばしい限りです」
にこやかな笑顔で答える天使さんはいつものりりかるさん(ピンク)では無く、白をベースにしたゴスロリ調のフリフリスカートが栄える魔法衣を装備している。
「こちらは今回の報酬となっております。どうかお納め下さい」
メイドさんに指示を出し持ってこさせたのは恐らく金貨が入った袋であろう。中身は相当入っていると見た。
(受け取った方が良いのかな?)
(正当な報酬です。貰う権利は当然あります。貨幣の分配は後で話しあった方が宜しいですね)
(そうだな。間接的とは言え会社にかなり迷惑かけたからな受け取っておこう)
渡された複数の金貨が入った袋を受け取るとそのままアイテムウインドに収納する。
その仕草を見ている騎士団隊長は驚いた表情を見せ何か言おうとするが宰相が説き伏せ話し合いが始まる。
「ナツメ殿とお仲間達は今後どのような立場で王都に居られるのですか?出来ればこのままお力をお借りしたいのですが………勿論それ相応の報酬を払う事をお約束致します」
予想通り勧誘してくる。それもそのはず、全く歯が立たなかった移動要塞を沈めた実績と魔法部隊に空圧砲(旧型)貸し出してある。射程距離と込める魔力量がおねいさん愛用の最新式に比べるとかなり劣るがそれでも威力はかなりの物だ。
「空圧砲に関しては販売する事が出来ないのでお貸しする方向でお願いします。今後についての前にお聞きしたい事があるのですが宜しいでしょうか?」
リゲルさんが頷いたのを肯定と判断し話を進める。
「魔族と言う共通の敵がこの大陸に攻め込んで来たこの状況。隣国と共闘して立ち向かわないのには何か訳があるのでしょうか?」
「それについてだが、我々は過去に共同作戦を提案し話を持ちかけたのだが断られました」
「エルフ族と獣人族は仲が悪いのでしょうか?」
「取り分け悪くはないが仲が良いとまでは言えないのが現状だ」
隊長さんの話だと、仲は悪くはないが良くもない。過去には領地を巡って戦争等を繰り広げていたが和平条約に基づき現在は我関せずをお互い貫き通している。お互い種族が違うのもあるし獣人族は輪を掛けてプライドが高そうだな、他国の力を借りようと言う発想が浮かばないのかもしれない。獣人族についてはマリンさんに聞くとしてエルフ族だが………さてどうしたものか。
(後方支援としての立場で継続するのが妥当だと思います。エルフの騎士団とはパイプを繋いでおいた方が意見も出せます)
(その方が良さそうだな。戦毎には関わりたくないが無難な選択だろう)
「解りました。今後も後方支援として協力していくことをお約束します。つきましては獣人国に協力依頼を出したいのですが、宰相殿に書状を一筆書いて戴きたい」
「それは構わないが門前払いされるのがオチだぞ」
「ダメ元でも一度話を聞いてきます。宜しければ騎士団の方に付き添って戴きたいのですが何方かお願い出来ますか?」
「それなら、待機任務中の者を二名程付けよう」
隊長さんの一人が快く引き受けてくれる。
「宜しくお願いします」
お互いの意見交換が終わり立ち上がって握手を交わす。書状については後日宿泊先に届けて繰れる手筈になった。共同作戦の一歩としては上場だろう。しかし相手側にその意志があまりないのが気がかりだ。最悪はエルフ国だけで進撃しなければならないがそれだけは避けたい。
帰りも豪華な馬車で送迎して貰い宿屋に到着した。おねいさん達と合流する前に今回貰った報酬を確認した所袋の中には三百万ロンの大金が入っていた。日本円で約三千万円!会社の退職金よりも多い額に震えました。あまりの大金に取り敢えず拝んで見たのは内緒です。
振り分けについてだが殆どが会社からの援助で成り立った今回の作戦(一部同期の嫁さん)なのでルルベルに分配については俺の会社で決めて貰うことを了承してもらった。流石におねいさん達は体を張って手伝ってくれたのだからそれ相応の要求はするつもりだ。報酬云々と今後の方針をまとめた報告書を作成し提出するとともに借り受けていた物資の返却等、一通り作業が終えた頃にホクホク顔でお買い物に出かけていた女子二名が宿屋に帰ってきた。
「ただいまなのです」
ノックもせずに扉を豪快に開けたユーリちゃんは満足のいくお買い物が出来たようで至極ご満悦な表情で現れる。
「ご苦労様。話は旨く行ったのかしら?」
おねいさんも久しぶりのお買い物が楽しかったのか美しさ二割アップの顔でご登場だ。
「はい。ある程度は予想通りの話し合いでした。細かい内容は後で説明しますよ。ユーリはお買い物楽しかったか?」
「スゴく楽しかったです。この町には私の知らない美味しい食材が沢山ありました。可愛いお洋服も買うことが出来たし大変満足なのです」
「それは良かったな。では、今日の夕飯はユーリのお勧めのお店に行こうか?」
「お任せ下さい。行ってみたい場所はちゃんと記憶しています。今日は最高のでぃなーをお約束します」
腕を組んで夜ご飯の事を思案するお子さま。この記憶力がもう少し勉学に偏れば良いのだが………
「それはそうと、ルルちゃんは隣の部屋にいるのかな?さっきから念話で呼びかけているのだけれど返事が無いのよ」
「多分寝てるのではないですか?朝も早かったしエルフの偉い人に会ったから緊張していたのだと思います」
「そう、だったら起こすのも可愛そうだしナツメ君の部屋に居ることにするわ」
るるえもんと同部屋の女子二人は嬉しそうに提案すると、早速町で購入した服を着たいらしく部屋の主である俺は必然的にファッションショーにつき合わされた。当然、着替え中は外に出ましたよ。ユーリとおねいさんの生着替えは危険すぎます。
この後さんざんぱら着替えた服の感想を求められ心身ともにクタクタになった。この二人は一体何着服を購入したのか聞くのが恐ろしい。途中から明らかにこの世界の材質で作られていない服も登場していたのであながち全部が今日買ったものでは無いのだろう。と言うか、あのめがねは知らない間に女性陣に服を密輸していたのに気が付きこれは後で追求せねばと心に誓うのであった。
夕方頃、部屋で爆睡していたるるえもんが漸く目を覚まし皆でお子さま推薦の食事処へ向かった。牛肉に似た柔らかい口触りと良質な油が食欲を掻き立て大変美味しく頂きました。二人には今日あった出来事を話し今後についての行動を説明した。貰った報酬の分配について特に異論は無い様で、二人は作戦の功労者だから多く要求しても良いと言ったが任せるの一言で片づいてしまった。どうも内の女性陣はお金に執着があまり無く普段俺の国に世話になっているから生活出来る程度のお金があれば良いらしい。
俺たちの活動資金はある程度二つの国では余裕がある為気にしていない節がある。おねいさん曰く持ちすぎる大金は身を滅ぼす!だそうだ。ユーリちゃん曰くお腹いっぱい食べられれば良し。るるえもんに至ってはお金よりも俺たちと行動する事の方が重要と言い切った。
三人の欲の無さに呆れつつも俺が彼女達に惹かれる要因の一つとも言える。事俺も元が貧乏性なので大金を手にしても何に使ったら良いのか解らない。美味しいお酒とマンガとラノベがあれば生きてゆけるが俺の持論である。この辺も彼女達と気が合うのかもしれない。そんな事よりも明日からの忙しさの方が重要なのだと食後のデザートを堪能しつつ思うのであった。
報酬の使い道に困るサラリーマンは、獣人国王都へ向けて出発します。
皆様の暇つぶしに少しでもなれれば幸いです
それではまた次回




