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サラリーマンの異世界奮闘記(仮)  作者: アリス工房(仮)
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63.ダンゴ虫争闘作戦 前編

いつもお世話になりますアリス工房(仮)です

軍事用試作機、メガバスターランチャー!


兼ねてから申請していた物資が無事に受理された。俺一人では当然却下される代物であるが、そこはルルベル経由で上司に頼み込み圧力を掛けて貰った。会社と何らかの大人な取引があったと思うが僕は知りません。 サラリーマンですから………


形はスナイパーライフルを彷彿とさせるフォルムで先端には大型の砲身がある。両側には魔力ポットが六基あり、全てが一発の魔導砲となって発射される。

ライフルは台座に固定されていて、射撃手用の椅子もありそこからねらい打つ仕組みになっている。また、衝撃用のサスペンションが設置されている為見た目がかなり大がかりな武器だ。 多少魔改造を施したが軍は一体何と戦う為に作ったのだろうか?


この試作武器は俺の国の軍が所持している物で荷電粒子砲と言われている。長距離射撃を目的としているが出力の関係上試作段階で凍結されている物を借り受け、武器関係のエキスパート我らが戦女神親衛隊のボスこと玲美さんが魔力ポット装填式の魔導砲に魔改造を施した兵器でる。ただし魔力ポット一つに付き魔導師十人分の魔力が必要であるのと、それが六基必要なのが欠点な為お蔵入り仕掛けていた。 そんな情報をこの間聞いたのを思い出し今回の作戦を考えた。


内には魔力量が尋常じゃない程所有している人物のお陰で魔力充填は難なく解決出来た。流石のユーリちゃんもポット一基を満タンにするのに十分位掛かる。


「この作業はとてもお腹が減ります」


「全部充填したらご褒美に腹一杯食べて良いぞ」


「本当ですか!がんばります。それから食後のデザートも食べたいです」

目を輝かんばかりにキラキラさせて聞いてくるユーリちゃん。


「ま、任せろ。お前の大好きなシュークリームを沢山用意する」


俺の提案に鼻息荒く、ポットに充填する姿は鬼気迫る勢いだ。これは相当な出費が嵩むな(主にシュークリーム代)


玲美曰く、あくまでも計算上だがユーリの魔力であれば移動要塞の射程を凌駕するのと、充填時間が約一時間で済むので打ち負けるのは考えにくい。後は精度の問題と射撃ポイントの選定だ。それから、今回はおねいさんに射撃手をやってもらう。その為にはサポートナビが必要なためパワードスーツを着用するのだがそれ用の装備がめがねから至急されたのだが、よりにもよって………趣味丸出しの白いやつです。無口な中学生が着ているまんまな装備に突っ込みそうになったが、非常事態だし今回はスルーします。


「どうかなナツメ君?」


「よ、良く似合ってますよ」


「体のラインがハッキリしていて少し恥ずかしいわ」

ほんのり顔を赤らめながら自分の姿を見回すおねいさん。


ついでに、パワードスーツの装備を体験して貰う。


「スゴいわよこれ、体が軽く感じるわ。それに何だかナツメ君のニオイがするわ」


「なっ!ミランダさんそれは恥ずかしいので言わないで下さい」


「フフフ!」


顔は見えないが怪しく笑う雰囲気は何となく伝わります。


「ナツメ君充填ね」


もう何も言いませんよ!


嬉しそうなおねいさんの横ではバスターライフルの練習をするリムルがいる。魔力を充填し大きな岩に向かって発射する光の魔法は直撃すると跡形もなく粉砕する。


「しかしスゴい武器だなこれは……」

マジマジと見つめる勇者さんには迎撃部隊として練習させている。


「当日は俺達で皆を守るのだからしっかり練習してくれ」


「ああ。足手まといにならない様にしっかり練習するよ」


そう言って黙々と撃ち続けるリムルと俺は迎撃担当として上空で待機する予定だ。


忘れてはならないもう一人の仲間は全体の総指揮として騎士団長のユリシーズさんと山の麓に本部を設置して指示をする役目だ。


移動要塞が鎮座しているカルティア町の中心部から離れること約四十キロにある山の頂上にメガバスターランチャーを設置した。ここからだと肉眼ではハッキリと見えないが会社特製サテライトビーコン(虫の形をしております)が敵要塞の姿をハッキリと捕らえている。映し出された映像はそのままネメシスが受信し、おねいさんに伝えられる。


周りには騎士団の魔術部隊による魔法で冷却するための待機している数名と今回の鍵となる魔力充填係のユーリちゃん。少し離れた所にはお子さま専用の食事部隊が急げと言わんばかりに料理を作っている。どうやら明日の仕込みをしている模様。


薄々気が付いてはいたが、うちのお子さまは消費した魔力は食事によって補われる見たいで、食べれば食べる程魔力が回復する体質だ。ちなみに腹が減ると魔力は減少するらしい(本人談)


作戦は明朝!朝靄で視界が悪いがこっちはネメシスのお陰で丸見えの朝一をねらって攻撃を開始する。尚、作戦本部はここから離れた場所に有り、団長さんとルルベルはそこから各所へ念話にて指示を送る。


エルフ族には通信魔法を使える人がいるらしく、各部隊には必ず一人以上の使い手が配属されている。そのお陰で遠くに離れていても的確な指示が出せるのも強みだ。


一転突破の作戦に思われがちであるが、その他にも策はあるがこればかりは臨機応変に対応して行くつもりだ。尚、本作戦名はダンゴ虫争闘作戦と銘々する!




そして翌朝!




「作戦を開始する。各自持ち場で指示を待て!」

団長殿の掛け声とともに魔力ポットのエネルギーが充填される。


(ミランダ様!発射までのカウントを開始します。十………九………八………七)


「ミランダさん落ち着いて……」

遙か上空から待機している俺は緊張顔のミランダさんに声を掛ける。


「緊張するわね…………でも、任せて頂戴!」


頼もしい言葉とともにネメシスのカウントダウンが聞こえてくる。



(三………二………一………)


安全装置を解除し、ターゲットとなるフーレに照準を合わせる。


(…………発射!)


「てーーーーーーー!」


おねいさんの掛け声とともに打ち出された魔導砲!


光の大質量は綺麗な流星にも見えなく無い。朝靄をかき分けながら突き進む魔力の渦は移動要塞の障壁を軽々と打ち破り本体を掠める。


(敵移動要塞健在!静かに動き出しました)

ルルベルの念話通信が俺達に届けられる。


「ユーリちゃん。ポットの供給をお願いね」


「三十分で終わらせます」


高温に熱せられた魔力ポットは魔道部隊の冷却魔法で急激に冷やされ蒸気を発している。


「フーレの状態が知りたい。教えてくれ」


(移動要塞は左半身が欠損していますが未だ健在です。静かにこちらへ向かって進行しております。それに伴い魔族の大部隊も揃って進行を開始致しました)


「フーレは自分の射程距離まで移動するつもりだ。これで町から動かすことが出来た。作戦を次へ移行する」


俺の声に頷いたリムルは後を追って移動を開始する。


(敵の到着予想ポイントまでどのくらいか解るか?)


(ネメシスさんによりますと四十分ぐらいです)


(ユーリ!間に合いそうか?)


(うにゃああああああ~~~)

言葉にならないくらい頑張っている様だ。


「ナツメ殿!騎士団の配置も完了した。後は君達次第だ健闘を祈る、だそうだ。」

リムルの別口回線からの団長さんによる激励の言葉。今回の作戦の最大の見せ所!実は皆には内緒にしていた秘密の物資をウインドウ越しに確認する。


「ミランダさん達も頑張っているし、俺もいっちょ気合い入れますかっ!」


両頬を張り気合いを入れると薄っすらと確認できる移動要塞フーレ。


(ネメシス!発射のタイミングを頼んだぞ)


(お任せくださいマスター!あなたの犠牲は無駄にはしません)


(イヤイヤ!俺死ぬ気なんてないから。頼むぞ!)


(冗談ですマスター。ご武運を!)


リムルには持ち場での待機を促し俺も相手が伺える場所へと移動する。


(もう間も無く到着致します)

ルルベルの緊張した声が伝えられる。



前方から黒い魔力の渦を感じる。あれが敵の兵器!魔導砲だろう。


一カ所に集まる黒のエネルギーが収束されていくのが離れていても解る。緊張で喉が乾く。額には汗がつたってくるが拭う余裕もない。


(ナツメ君!メガバスターランチャーの準備が完了したわ)


(了解しました。ネメシスの合図で発射願います)


(リムルも宜しく頼む)


(任せてくれ。一撃でしとめる!)



さらに深まる黒い渦がエネルギーとなり移動要塞の一部から突き出た禍々しい砲身から大質量の負のエネルギーが放出される。周囲の悲鳴をかき消し突き進む闇の力を見た俺は射線上に飛び出しアイテムウインドウから一つの装備を取り出す。


無骨なまでにゴツい盾!そのフォルムは試作二号機が装備している物にソックリだが一つ違う箇所がある。それは、組み込まれた大きな鏡だ!異世界から借り受けたアーティファクトと呼べるその物は暴力的な闇のエネルギーを受け止めると見る見る吸収していく。


(ナツメ様!)

(ナツメ殿!)

(ナツメ君!)

(ナツメさん!)


皆の声が聞こえる。仲間に支えてもらっている感じがする。握っている盾にも力が入る。


「さいとう~!失敗したら化けて出るからなーーーーー!」






大声で叫びながらも全ての闇を吸収した異世界の鏡は……………………!





ーーーー俺とともに健在するのであった。











サラリーマンの運命や如何に!






皆様の暇つぶしに少しでも慣れれば幸いです

それではまた次回

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