45.三人の決意
いつもお世話になりますアリス工房(仮)です
好意的に話し掛けてきた、三人の獣人さん。この大陸の情報も欲しい所だ。女性と言うこともあり、店の中に招き入れる事にした。
元々が、道具屋だった家の入り口から入って直ぐが商品を陳列する為の部屋であり、多少の人数が集まっても狭さを感じさせない。快く、招待を受けてくれた三人の獣人さん。ミシェルさんとマリーさん。それからアリエッタちゃんは、オレ流のオモテナシを受けている。まあ、ノミニケーションと言うやつだ。
「そうなんですよ~。最近は外も物騒になってきていて~………」
大分酔っぱらって、グチり始めるミシェルさんは、おねいさんとお話中。
「しかたありません!アリエッタちゃんには特別に見せてあげましょう」
アイテムウインドウから最強の盾を召還する。
「私の宝物です!」
「……………綺麗」
キラキラと輝く盾を、見つめるウサギ少女。
「あの…………触っても良い?」
その瞳は、少女特有のおねだりオーラを放出する。
「うーん!こ、今回だけですよ」
あっさりと陥落するユーリちゃん。
「ありがとう…………ユーリおねいちゃん」
その一言に、身悶えするユーリおねいちゃん。
あそこのエリアもお子さま同士何だかんだで、盛り上がっている様だ。
「………って、おいっ!聞いているのか?」
少し拗ねた表情で話すのはマリーさん。そう言えば、二人を見ていて忘れていた。マリーさんに、この国の事を聞いていたのだ。王政がどーのとか、言っていたが途中でメンドクサくなってきたのを思い出す。
「すみません。話が難しくなってきて、現実逃避してました」
「それはないぞ、ナツメ!君が聞いてきたんだろう」
この三人!血は繋がっていないが、三姉妹と言われた。長女ミシェル・次女マリー・三女アリエッタ。三人が姉妹になったのは、どうも色々と訳があるそうなのだが、初対面から数時間しか経っていない俺には、込み入った追求は出来ない。
「マリーさん。一つ質問ですが、この前の魔族討伐に、軍関係の部隊も参加したのですか?」
「ああ。彼奴等は、私達を良いようにコキ使う。自分等は、後方支援とは名ばかりで、常に前線は冒険者グループに任せて高見の見物をする」
「それは、ヒドいですね。何処の町も同じ様な感じですか?」
「いいや!この町が特別だろう。全く。やってらんない!」
文句を言いながら、一気にお酒を煽る。
なるほど、この町にいる軍隊には注意した方が良さそうだ。恐らく、そろそろアイテムの効力に気が付いて、何らかの接触をしてくるに違いない。
「んもう~。二人して、難しい話ばっかりしてないで、一緒に飲みましょう」
マリーさんに、多い被さる酔っぱらいのミシェルさん。
「ねえさん!ちょ、ちょっと。お、重い!」
「失礼ね!私は、そんなに重くありません」
口を尖らせながら抗議する。
「あら。楽しそうね!おねいさんも混ぜてもらうわよ」
「何で、ミランダさんも俺に抱きつくのですか?」
ワザとだ!おねいさんが、この程度の酒量で酔っぱらう筈がない。
二人の酔っぱらい(一人は偽)に絡まれる。俺とマリーさんは終始抱きつかれながら、酒のつまみの如く、からかわれるのであった。
その後ろでは、ユーリおねいちゃんがプチ武勇伝をアリエッタちゃんに饒舌に語っているのが、何とも微笑ましく見える。ミシェルさんとマリーさんも、妹の笑顔が嬉しいらしく、時折二人の事をニコニコしながら見ているのが目に付く。その光景に、二人は妹の事を大事に思っているのだと感じられた。
「久しぶりに楽しい時間でした。姉妹を代表してお礼を申し上げます」
ミシェルさんが、畏まったお辞儀をする。
「私たちも楽しかったわ。また、遊びに来て頂戴」
「アリエッタちゃん。話の続きはまた今度です」
「…………うん!楽しみ」
二人のお子さまは意気投合している。何か通ずる物でもある様だ。
「今度はお前の話を聞かせてくれ」
「ああ、そうだな。いつでも、遊びに来い。歓迎するぞ!」
楽しい宴の時間はあっという間終わりを迎え、今日の所はお開きとなった。それなりの情報を得られたのも収穫だが、獣人三姉妹と仲良くなれたのが嬉しい。二人とも打ち解けていた様だし、今後の事も含め飲み会は大成功と言える。ただ、一つ気がかりなのは、軍の存在だ。どうやって、対処するか悩み所である。そんな考えをしていると、俺の心配事は呆気ない程突然に向こうからやって来るのであった。
「貴様!商品を売れないとは、どう言う事だ!」
プレートメイルに身を包んだ獣人!偉そうな態度を取りながら話す男は、列に割り込んで勝手に怒り出した。
「あなたは、順番を守らずに割り込んでいます。そんな、態度で商品を購入しようなどバカですか?」
「ぐぬぬぬ!貴様は軍をバカにするのか!ゆるせん」
「いえ、別に軍をバカにするつもりはありません。バカにしているのは、あなたの素行です」
「ふざけるなぁ~!人族ごときが調子にのりやがって。商売出来なくしてやる」
腰に下げた剣を、抜き去ると構える。この程度の挑発で、怒り狂うとは脳筋にも程がある。さて、ドウしたものか?そんな事を考えていると、目の前の男が剣を振りかざす。
「何をしているのですか!」
後ろから、大声を張り上げて仲裁にはいる声!人混みをかき分けて登場したのは、マリンさん。
「あなたは、軍の方ですね。このまま、揉め事を起こすのであれば、商業ギルドは今後一切!あなた方軍隊に支援を行いませんが、宜しいのですか?」
破壊力抜群の一言が、先程まで血が上っていた軍の男を冷静にさせる。
「ちっ!この人族が生意気なことを言ってきたから脅かしただけだ。別に争うつもりは無い」
「生意気ねぇ!俺としては、別にこのまま………」
「ナツメさん!商売人が、簡単に安い挑発をしないで下さい」
軍の男と揉めた俺は店裏に連れて行かれる。商売の方は女性陣が引き継ぎ再開する。この後、俺はマリンさんにおもいきり怒られました(二時間コース)
「ハァ。マリンさん怖すぎ!めちゃくちゃ、怒られましたよ」
「ご苦労様!あの後、軍関係の獣族が買いに来たわよ、ナツメ君が言った通り、数量を制限して売ったわ」
「ありがとうございます。彼奴等に売りすぎると、ロクな事にならない気がしたので………十個でも多かったかもしれません」
少しずつだが、商売も起動に乗り始める。それから、数日がたったある日。ミシェルさん達が店を訪れる。
「いらっしゃい。今日はどうしたんですか?」
「こんにちは、ナツメさん。今日は、回復ポーションを買いに来ました」
ミシェルさんの話によれば、明日の朝!大規模戦闘がギルドから発令された。偵察部隊からの連絡で、魔族の拠点が一カ所見つかった為である。今回は、冒険者を始め、軍隊も指揮官を含め総出で出動するらしい。それに参加しなければならないミシェルさん達は、慌てて回復ポーションを買いに来た。と言うのが現状だ。
三人とも何処か暗い顔をしている。………何ともやるせないな。そんな思いをしていると、少し離れた場所でユーリがコッソリと、アリエッタちゃんにポーションとアイテムを渡しているのが目に付いた。
その日の夜。食事の準備をしながらの一幕!
「ハァ。やっぱり俺は、商売人には向いていませんね。ミランダさん。ユーリが渡したアイテムは、俺が買い取ります。後で会計処理お願いします」
ユーリの行動を見逃した俺は、おねいさんにお願いする。
「それを言うなら私も同罪よ。ユーリちゃんを止めるつもりも、怒るつもりも無かったわ」
「やっぱり、俺たちは冒険者何ですかね」
「そうね。………あっ!ユーリちゃん。ちょっとこっちに来て頂戴」
手招きするおねいさんに、怒られると思ったユーリちゃんは、ショボクレながらやって来る。
「良いかユーリ。さっきアリエッタちゃんにやった行為は商売人としては、間違っている。解るよな?」
「…………はい」
益々、ショボクレるユーリちゃん。
「俺たちは冒険者だ。困っている仲間を助けるのは当然の事。その目線で見れば、良くやった。偉いぞ!」
頭を撫でると、話す俺の目をしっかりと見つめながら答えるユーリちゃん。
「………怒らないのですか?」
「怒られるとしたら、三人とも同罪よ。アイテムを無償で渡したユーリちゃん。それを見つけたのに止めなかった、私とナツメ君。………ね、みんな、同罪」
「ただ、一つだけ!出来れば、相談してほしかった。俺たちは仲間だ。ユーリの悩みは、俺たちの悩み。勿論!ミランダさんも同じです」
「………ふぇ、ふぇ~ん。ごめんなさい!」
ポロポロと泣いてしまったユーリちゃんを、そっと抱きしめながら微笑むおねいさん。
その姿を見つめながら俺は、感慨に耽る。この後、どうするのが、正しいのか?どう動く事が、最前の方法なのか!
夕食後。お風呂上がりの俺たちは、パジャマパーティーならぬ、パジャマ会議を開く胸を伝える。
「二人に相談がある。聞いてくれるか?」
「ええ、勿論よ」
「私も、へーきです」
「ありがとう。俺の相談だが………ミシェルさん達を助けたい!力を借してくれないか?」
「何よ急に改まって。さっき、お風呂場でユーリちゃんと話し合っていたのよ。ナツメ君をどうやって説得しようかと」
「私も、三人を助けたいです」
「そうなんですか?………何だ、考えることは同じだったのですね」
話を聞いて、緊張していたのか力が抜ける。
「今回は、敵の戦力も解らないし危険な戦いになると思います。お互い連携を取り合って戦わなければいけません。作戦は………」
この後、パジャマ会議は夜遅くまで行われた。この大陸で初めて出会った友人を守る為。俺達は戦う事を心に誓い!明日の戦いに備え、英気を養うのであった。
三姉妹を守る為、サラリーマンと仲間達は魔族相手に奮闘します。
皆様の暇つぶしに少しでも慣れれば幸いです
それではまた次回




