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サラリーマンの異世界奮闘記(仮)  作者: アリス工房(仮)
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43.商業ギルドと猫耳

いつもお世話になりますアリス工房(仮)です


町の中は、当然だが獣人達で賑わっている。そんな町並みに不釣り合いな姿の俺達は、かなり目立つ。絡まれたりこそしないが、ビシビシと視線を感じる。


「何か?スゴく視線を感じます」


「そうね。周りはみんな獣人族だから、きっと私達の事が珍しいのよ」


「開き直って歩きましょう。今のうちに目立っていた方が、商売の宣伝になるかもしれません」


町の雰囲気は、最初に訪れたコレット村と違いログハウス的な家も見られるが、大半の家は土壁や、石材で出来ている。地面こそ舗装されていないが、区画整理がきちんとされていて歩きやすい。出店などもあり、早速ユーリちゃんは屋台の一つを覗いている。


「おや?珍しいな。あんた達、人族か?」


「ええ、そうよ」

ミランダさんが威風堂々と答える。すると、店の店主は 話し始める。

「最近じゃ滅多に見ないからな~。それよりどうだ、一つ買っていかないか?」

差し出された串に刺さった肉。香ばしく焼けたにほいが食欲をそそる。

「そうね、お幾らかしら?」


「一つ、三十カンだ」


「三つ程頂くわ」


「毎度あり〜。お嬢ちゃんには、大きいのをサービスしとくよ」


「わあ!ありがとうオジサン」

嬉しそうに受け取るユーリちゃんは、早くもカブリついている。


串焼き一つが三十カン。相場的に三百円位か、だとすると先程払った通行料は九千円になるな。そうすると、依頼料は五万円か。大体そんな所かな、解りやすい。


途中寄り道をしつつも、屋台のオジサンに商業ギルドの場所を聞いたお陰で、迷うことなく目的の場所にたどり着くことが出来た。


平屋建てかと思いきや、一際目立つ三階建てのビル?に見えなくもない石材で出来た建物!ここが、商業ギルドの様だ。


木製の重厚な扉を開けると中は、木材を張り巡らせた床張り、壁には、窓もありガラスが張られている。俺のいる世界で見かけるガラス窓よりは鮮明度に欠けるが、分厚さはちょっとした強化ガラスに見えなくもない。


冒険者ギルドとは違って、厳つい冒険者達が彷徨いている訳でもなく、どちらかと言えば、市役所や銀行を連想させる。


幾つかある受付窓口の一つに向かうと、猫耳が可愛らしい女性の獣人が座っている。その姿に俺はいたく感動した。そう、猫耳である!


「おお~!猫耳だ。ちょっと、写真良いですか?」

とか言いなが等、パシャパシャとデジカメのシャッターを切る。


「ナツメ君。はしたないわよ。彼女も怯えているわ」

頭を叩かれた俺は、我に返る。恐るべしはリアル猫耳!

「すみません。猫耳を初めて見たもので、つい我を忘れました」

「ナツメさん。何かキモいです」

ユーリにまでそんなことを言われ、落ち込む俺。女子達は猫耳の素晴らしさを解っていない。めがねとなら、猫耳談義で二時間は語れるのに!


気を取り直して、話を進める。

「怖がらせてしまってすみません。この町で商売を始めたいので、商業登録に伺いました」

そう言って猫耳さんに紹介状を渡す。


「いえ、大丈夫です。コレット村の村長からの紹介状ですね。拝見します」

暫く待たされると、読み終えたのか顔をあげる受付の猫耳さん。

「攻撃アイテムと回復ポーションを製品として売り出す。間違いありませんか?」


「はい。一応その二つを売るつもりです。これが、商品です」

アイテムウインドから、商品を取り出して机の上に並べる。


「商品の効果について調べさせて頂きたいのですが、宜しいですか?」


「かまいませんが、どのようにして調べるのですか?」


「実際に使用するのが一番の方法なので、使い方の説明をお願いします」

受付の猫耳さん。名前はマリンさんに、二つの製品の説明と使用方法を教えた。


回復ポーションは流石に、直ぐには確認出来ないので預けることで意見は合意する。結果は後日出るとの事。攻撃アイテムは、これから外で試すらしく、俺達はマリンさんと町の外へ行くことになった。


「ううっ~!緊張します」

道すがら、カチコチになって歩くユーリちゃん。

「そんなに緊張しなくても、大丈夫だよ」


「そうよ、ナツメ君が何とかするわ」

完全に俺任せのおねいさん。


「そうですね。ナツメさんなら失敗しません」


「二人共。俺をプレッシャーで押し潰そうとしてませんか?」


「大丈夫!ナツメ君なら出来るわ」

「ナツメさんは、出来る子です」


「まあ、一応。頑張りますよ」

何か、余計な緊張して来たよ。横では、マリンさんがクスクス笑っている。

「皆さんは、仲がよろしいのですね」


町の入り口には門番の獣人がいる為、マリンさんが話をすると門番の獣人も興味があるのか、立ち会うこととなった。

「へえ~。人族が作った攻撃アイテムか。それは、興味深いな」


「それでは、ナツメ様。宜しくお願いします」

マリンさんに促され、二十メートル程離れた場所にある岩めがけて投擲する。今回は、デモンストレーション用に少し強化した手榴弾を使用している。プレゼンは派手にした方が受けが良いと思ったからだ。


手榴弾が岩に当たった瞬間!大爆発とともに火柱が立ちこめる。直径三メートル程のクレーターを作り上げ黙々と煙が立ちこめる中、二人の様子を伺うと………やりすぎました。


口をあんぐり開けながら、立ち尽くす獣人さん達。


「あの~。如何でしょうか?一応、今回はプレゼン用に威力を少し強化した物でして、商品版はもう少し弱めの威力の製品で………」


説明してると、門番の獣人が俺の肩をつかみながら興奮した口調で話す。

「幾らだ!あの商品は幾らで売っている?これがあれば、魔族や魔物など簡単に倒せる」

興奮冷めやらない口調で捲くし立てる。


「ご、合格です。ですが、威力が有りすぎるので制約を取り決めなければいけません。未成年への販売は禁止する方向で………ブツブツ」


なにやら、独り言を呟き始めたマリンさん。二人のリアクションから察するに、商品化の目処は立ちそうでホッと胸をなで下ろすのであった。


「よかったです~」

嬉し涙を流すユーリちゃんは、おねいさんに抱きついて喜んでいる。


「良かったわ。苦労した甲斐があったわね」


「ええ。二人とも頑張りましたからね。これで、ポーションも商品化出来れば、商売が成り立ちます」



門番のオジサンには、町で近日発売することを伝え、ちゃっかり宣伝してくれともお願いしておいた。広告がないこの世界!口伝てで広めるのが一番効果がありそうと判断しての事だ。


場所を商業ギルドに戻し、ギルドの登録。これは、今回なんと無償で登録してくれた。商品があまりにもインパクトがあったのと、今後の販売元を町のギルドにしたかったのが要因らしい。マリンさん曰く、このご時世!こういった武器は高く売れるとのこと。とても、悪い顔で仰られた。メ、メインは回復ポーションだからね!と心の中で叫びながら登録を済ませた後は、商品の販売価格の検討だ。


「この商品は、大体どの位で売った方が良いのか、教えてもらえませんか?」

素人丸出しの相談。商人の人が聞いてたら多分ド突かれること請け合い。交渉も何もない相談事に真摯になって、聞いてくれるマリンさん。


「ナツメ様は、商売の事をもう少し学ばれた方が宜しいですね。価格設定は商品に取って命の様な物です。生かすも殺すも値段が大きく左右されます。値段交渉は商人に取って戦いに等しい行為です。私が、悪い受付だったら簡単に騙されますよ」


「すみません勉強不足です。マリンさんが受付で良かった。今後とも宜しくお願いします」


この後は、商売の何たるかをみっちり説明されあまりに長くなり別室に移動してからは店舗の場所、価格の設定と回復ポーションの価格設定も序でに行われた。調査の方は後日発表されるが、攻撃アイテムの破壊力から予想したのかポーションも合格するであろうと判断された。


「以上で簡単ではありますが、商業ギルドとの契約となります。依存はありませんか?」


「ひとつ、質問があります。販売業務を委託して、他の人が販売するとかって、出来ますか?」


「問題有りません。ただし、その場合はギルドに申請が必要になります」


「分かりました。ありがとうございます」


なぜ?このような質問をしたかと言うと。今後、この町を離れる様な時が来たとしても、商売だけは続ける方針でいる。誰か一人が残るのは問題外なので、商売を委託して存続する方法を取りたい。オーナー的なポジション?なのか不明だが、そう言った方向で商売を進めて行くのが狙いだ。


マリンさんとは専属アドバイザーとして契約し、今後も立ち会ってくれる。言ってみればコンサル的な立場の獣人だ。


販売場所は、以前道具屋を営んでいた店が開き屋となっている。今後は、俺達の寝床にも成るので掃除が必要だ。女性陣は、難しい交渉は良く解らないので俺に丸投げし、一足先に店に移動している。今頃は、お片付けに奮闘している事であろう。


そして、商品の値段であるがこれは結構揉めた。最初にマリンさんが設定した価格があまりにも高額であった為に却下。俺が提案した価格は、安すぎるとこれまた却下。マリンさん曰く、価格のやり取りは商人が高く付け、職員が安く見積もるこういった戦いが繰り広げられるのだが、安い値段で却下したのは初めてらしい。安すぎると商品の価値が下がるとの事で、彼女にはゆずれない一線がある様だ。


この世界に来て、一番の激闘を繰り広げた結果!


攻撃アイテムは千カン!日本円で一万円!これでも安すぎると言われた。最初五千円で売ろうとしたら、汚物を見る目で瞬殺された。マリンさん眼が怖いです。


回復ポーションは五百カン!日本円で五千円を予定している。ただし、これは瓶さえあれば詰め替えが出来る商品なので、瓶を持ち帰って来た獣人には割り引いて四百カンで販売する予定となった。


売上の十%をマリンさんとの契約も含めてギルドへ支払う事で合意してくれた。コストもほぼタダ?だし、人員の工数のみでの商売だから妥当な所ではなかろうか!


後日、会社に価格云々やその他の事で課長様に報告したら「お前はバカか!」と一蹴された。めがねと、最近話すようになった親衛隊ボスの玲美にも同じ事を言われ結構凹んでいます。俺には、商人の才能が全く無いようです。シクシク!


ボロボロに打ちのめされ帰路に就く。こんなに疲れたのは初めてだ、主に脳味噌が痛いです。フラつきながら教えられた店舗まで移動するとそこには、お掃除するおかあさんと娘の姿が写る。


「あっ。ナツメさんだ!お帰りなさい、どうでした?」


「お帰りなさい。あ・な・た!お風呂にする?それとも………」

恥じらいながら、新妻を演技するおねいさん。


「あー!ミランダさんだけ、ずるいです。私も言ってみたい」

ユーリも真似したいらしい。この二人は、元気一杯でなによりです。


「ただいま、かあさん。取りあえずお酒をくれ。キツい奴を頼む」


「あらあら、あなたどうしたの?職場で嫌な事でもあったのかしら」


なんて茶番劇を繰り広げながら、ギルドであった内容を大まかに説明した。今日中に何とか売場だけでもと思ったが、女性陣の掃除スキルには驚かされる。建て屋こそ古めかしいが、埃などの汚れは無くなっている。一部、ユーリのキャンプ道具を駆使して補強までされていた。これは、家の補修とユーリのキャンプ道具関連の物資も要請した方が良さそうだ。



明日は、鬼教官のマリンさんが来日する。気を引き締めないとまた怒られてしまう。早く商売を始めたいし、仕事は山積みだ。暫し今だけは、そんな事は忘れ二人の仲間と夕食の宴に花を咲かせるのであった。






店舗オープンに向けて、サラリーマンは奮闘します。







皆様の暇つぶしに少しでもなれれば幸いです

それではまた次回

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