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サラリーマンの異世界奮闘記(仮)  作者: アリス工房(仮)
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42.商品作り

いつもお世話になりますアリス工房(仮)です

商売の準備をするべく、野営と言う名のキャンプ初日。俺は壊れた食器類も含め、救援物資を会社に申請した。会社側も特別案件だけあって、滞りなく話が進み。その、第一段と言うべきか、一回目の物資!すなわち、食器類が転送されてきた。


「なんじゃこれは!」


アイテムウインドウの中身を確認した俺の第一声!送られてきた物資は、ある意味オーバースペックにも程がある。そう言った内容物だ。


「ナツメさん。これはどうやって使うのですか?」

首を傾げ、不思議そうに手に取った物。俺の世界にある、どのご家庭にも大概備わっている炊飯器!まんまである。しかも、ご丁寧に米俵まで送って来やがった。


「ああ、それはだな………」


一通り米の炊き方を説明すると、女子二人は楽しそうにお米さんを水で研いでいる。最近、俺が渡す物資に対しての順応力が半端無いです。ユーリなんかは新しい食材です!と大喜び。おねいさんに至っては、これは、便利ね!と言ってくる始末。まあ、別に良いけどね。今晩は、久方ぶりのお米に俺も心が躍る。ちなみに、炊飯器の動力源は魔力石が使われていて、この辺はファンタジーなんだなとつくづく思う。まさに、科学と魔法の融合!炊飯器だけどね。


食器類も、鍋からフライパン。お皿にコップまであらゆる物が送られてきた。イスとテーブルこそ無かったが、ユーリちゃんと書かれたどんぶりには笑えた。会社も解っているではないか!そんな、おいしいご飯を堪能し初日が終わった。



キャンプ、二日目!


会社側から、本格的に商売用の物資が送られてきた。中身を確認すると、俺が注文した物で間違いなさそうだ。一つ目が大量の魔力石!これは、別の異世界にある鉱山で取れた石で、簡単に採掘出来る品だそうだ。どんな世界だよ!と少し興味が沸く。


会社では、俺と同じ様な職種で異世界に潜っている同僚が沢山いる。そう言った仲間の中には、魔力を全く使えない人もいる訳で、その人たちが護身用に使っている魔力石を搭載した武器!これを今回の一つ目の商品として売り出す。


魔力石は、魔力を込める事によりあらゆる動力源として使われる。それは、電池の様なエネルギーにも成るし、使い方によっては爆発を起こす火薬にもなる。


手の平サイズの正方形型ブロックの真ん中に、切れ目が入っていて、捻るように回すと二つに別れる仕組みになっている。開いたブロックの中には、窪みがありそこへ魔法石を入れられる。その状態で元に戻すと出来上がり。簡単な作業で魔力石搭載型手榴弾の完成だ。使い方は、ブロックの面にある一枚板が横にスライド出来る。中にはスイッチがついていて、これを押すとブロックが赤色に変化。そうすれば準備完了!そのまま投げれば、標的にぶつかった衝撃で魔力石が起動して爆発する仕組みになっている。


「………とまあ、この様な仕組みになっています」


現物を見せながら試しに投げて見る。手榴弾は、放物線を描きながら目標物でもある岩に着弾すると爆発をおこす。思っていたよりもかなりの威力に驚いた。これは、魔力を込める石の大きさに関係するのと、ユーリの魔力による影響が大きいのかもしれない。むかし、教育実習で見た時は爆発こそした物の、岩が粉々にはならなかった。これは、ブロックに入れる石のサイズも考えた方が良さそうだ。威力が強すぎる。


「凄い威力ね。これだったら、私も欲しいくらいよ」

ブロックを手に取りながら、ちゃっかり貰う気でいるおねいさん。


「私も投げて見たいです」

嬉しそうに手をあげるユーリちゃん。さっき、自分で作った手榴弾を使って見たいらしい。

「おっきな石で作った物です。バーンってなるのが楽しみです」

腕をグルグル回しながら言った言葉!おっきい?


「ユーリちょっと待て!おっきいって、どんな石使ったんだ?」


時既に遅し。ユーリの力で投げられた手榴弾は、とんでもない飛距離で消えていった。すると、遠くの方で特大の火柱が上がるのを肉眼で捉えることが出来たが、気にするのは止めよう。 火事になりません様にと願うばかりだ。


「ううっ~。失敗しました」


本人は不発に終わったと思っている様だ。ユーリに聞いたおっきい石は危険なレベルと判断し、大きさをある程度きめて、商品づくりを始める良い教訓になった。



キャンプ三日目の朝!


今日も朝からユーリとミランダさんが込めた魔力石を使って、せっせと手榴弾を作成している。俺の役目は、二人が頑張って込めた魔力石をブロックに入れる担当。俺の魔力では、役に立たないからである。自分で言うのも何ですが、魔力量では、女性陣には叶いません。


今日は、回復ポーションにも着手する。特殊な溶剤を瓶の中に入れる。溶剤の中身は、俺にも解りません!何処かの部署が作っているのだけは知っているが、あまりにも秘匿技術の為、情報が全くありません。


この怪しい溶剤に魔力石を一つ入れると、無色透明な溶剤が変化する。青色に変化すれば完成!と聞いたのだが、緑色に変化しているんですけど?


よく解らない現象であったので、幾つか完成したポーションを会社に送って成分を調べて貰う事にした。待つこと数刻!手榴弾作成に勤しんでいると、会社からの回答がメールで届いた。


メールの内容を掻い摘んで説明すると、中身は回復ポーションで間違いない様だ。ただし、既存のポーションの数倍効力がある中身の様で、商売用の品なのに会社から発注伝票がセットで送られてきた。追加の溶剤&瓶とともに!


「国に確認したのですが、ポーションは完成している様です。そればかりか、あまりの出来映えに国から発注までお願いされました」


先程のポーションの出来映え結果を二人に伝える。


「ナツメ君の国には色々とお世話になっているから、少しでも恩返しが出来て嬉しいわ」

嬉しそうに答えるおねいさん。


「私もです!ナツメさんの国には足を向けて寝れません」

ユーリはどこでそんな言葉覚えた。


「そう言ってくれると、俺の国も喜んでくれます。仕事量が増えましたが、頑張りましょう」


更に作業を進めて行く。


「ふにゅう……」

目をショボショボさせながら、眠気を堪えるユーリちゃん。

「今日は頑張ったから先に休んでも良いぞ」


「でも。みんなも頑張っているのに、私だけ寝てられません」

健気に答えてはいるが、お子さまには限界の時間だ。


「そうよユーリちゃん。子供が夜更かししてはいけないわ」


限界を迎えたのか、コックリ、コックリ。船を漕ぎ出したお子さまはそのまま夢の世界へ旅立った。


眠ってしまった姫様を、そっと抱き上げ布団に連れて行く。

「気持ちよさそうに寝てますよ」

ユーリの寝顔に癒されながら、作業に戻る。


「ミランダさんも、キリの良い所で寝てください。後は俺が引き継ぎます」


「あら、大人の時間はこれからよ」

作業の手は止めないが、そのお顔は凛としてお美しい。


「もう!冗談はやめて下さい。いつか本気で押し倒しますよ!」


「フフッ。……いつかね!気長に待つ事にするわ」

おねいさんの仕草は、見る者全てを引き込む力が有るのではないかと思わせる程、魅力的であった。


会社の発注文も含め、本日の作業は深夜にまで及び結局キャンプは四日間続いた。その成果もあり、大量の手榴弾と回復ポーションが完成した。後は売れるかどうかだが、こればかりは商売を始めなくては解らない。


売れなかったら自分たちで使おう。そんな事を思っていたが翌々考えると、これだけで一個師団くらいなら戦えるのでは?そんな考えが浮かんで来る。


四日間のキャンプ生活を終えた俺達は、町へ向けて再び移動を再開する。字だけが綺麗な読みづらい地図によれば、メレディスと言う名前の町が次の目的地だ。


平坦な草原地帯から山間を抜け、途中ハラペコハンター様が魔物を狩りつつ歩を進めていく。険しい山道を登りたくないおねいさんの一言で、飛翔魔法に切り替え飛び続けること数時間。休憩も挟みながら移動していると、目視で視認出来る場所に町らしき物が見えてくる。飛翔魔法を解除して、地上に降り立つと目と鼻の先に町が見て取れる。


「やっと到着したわ。もう、おねいさんクタクタよ」

俺の肩に寄りかかるおねいさん。


「私もクタクタです」

腰にしがみつくユーリちゃん。


「二人とも、重いです。俺だって結構疲れてますよ」


「んもう!やさしい言葉の一つくらい言っても罰は当たらないわ」


「そうです。ばちが当たるのです」


「はい、はい。二人とも良くできました!」

二人の頭を撫でてあげると、満更でもない顔でニッコリする女子ふたり。


「よーし!元気が出て来たわ」


「体力回復です」


よく解らないことを言いながら元気になった二人を尻目に町を見据える。


目の前にそびえ立つ壁は土壁で出来ていて高さも五メートル位はありそうだ。触って調べてみると、表面はザラザラしているが、結構強度もある。そんな壁が、かなりの距離を囲っている。今いる場所からでは町の広さは認識出来ないが、相当広いのではなかろうか。


壁伝いに町の入り口を見つけるべく歩いていると漸く、門らしき場所を発見した。そこには、二人の屈強そうな門番が槍を持って立っている。この辺は最初に訪れた村と同じらしい。


その中の一人が、俺達の存在に気が付き話し出す。


「お前たちは獣人ではないな。この町に何の様だ」

タイガーマスクの様な獣人に話しかけられた俺はアイテムウインドウから村長に貰った紹介状を取り出し門番の人に渡す。


「ナツメ君。その紹介状は!」

俺の行動に驚いたミランダさんは慌てて止めようとする。


「大丈夫ですよ。あれには、ちょっとした細工を施してあります」


村長から貰った招待状。勿論そのまま渡したら意味がない。そこで、登場したのが我が社の優秀な技術スタッフによる偽造された紹介状。この程度の作業は余裕ですと言わんばかりの仕事ぶりに惚れ惚れする。


「ほう。人族の大陸から来た商人か。見た感じそのようには見えないが、まあ良いだろう。商業ギルドはこの道を真っ直ぐ行けば看板が見える。それから通行料として、三人分しめて九百カンだ」


獣人族の通貨は金貨何枚とかでは無く一律で、通貨単位はカン!なんとも可愛らしい響きの単位だ。日本円で幾らになるのかは解らないが、ゼンノさんには報酬として五千カン貰っている。これだけあれば、町に入ってギルド証の作成も出来ると教えてくれた。


お金自体は紙幣で出来ている。形は長方形で、大きさは文庫小説サイズ位だろうか。両面に良く解らない絵?文字?判別つかない模様が刻まれている。流石に我が社のスタッフに、偽札を作る事は要求しない。異世界だけど、犯罪だからね。


「あきれた。何時そんな物、用意したのよ?」


「キャンプの初日に、物資と一緒に依頼しました」


「ほえ~。ナツメさんの国は何でも出来ますね」


「お金の偽造はしてないからな。あれは犯罪だ!」

念のため、二人には伝えておく。


「商業ギルドへ向かいましょう。それと、今日泊まれる宿屋も探さないと」


「はーい!後、お食事処も必須です」

姫は、早くもハラペコでいらっしゃる。



町にたどり着いた俺達は、商業ギルドを目指すべく町の中へ入って行く。これから始まる商売に、期待と不安を胸に膨らませながら。





キャンプ地での生活も、ひと段落した。新たな町でサラリーマンは、奮闘します。




皆様の暇つぶしに少しでも慣れれば幸いです

それではまた次回

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