35.天使との再会
いつもお世話になりますアリス工房(仮)です
今回は、話が長くなってしまったので二話構成でお届けします。
目の前に座っている人物を見ると、そこには見覚えのある顔をした人?が座っていた。
「ようこそお出で下さいました。あなた方を歓迎致します」
最果ての島で出会った、天使ルルベル!彼女がニッコリ微笑みながら出迎えてくれた。
「あなたは………たしか、最果ての島にいた天使?」
「ルルベルと申します。覚えていてくれて光栄です。その節はありがとうございました。お陰で無事、魔族を捕らえる事が出来ました」
優雅に答える天使ルルベル。やはり、この前出会った天使で間違いなさそうだ。では、なぜ?その天使が此処に座っているのか?疑問に思い聞いてみる。
「スキルの付与って、天使の人が行うのですか?」
「それは無いわ。スキルの付与は精霊が行う筈よ、私がスキルを貰った時は精霊からだったわ」
「質問しても宜しいですか?」
笑顔で頷く、ルルベルさん。
「俺とユーリが戦ったゴーレムは、あなたの差し金ですよね!どういった経緯で行ったのか聞かせて下さい」
「皆様の実力をもう一度、見ておきたかったからです。試すような事をして申し訳ございません」
立ち上がったルルベルさんは、深くお辞儀しながら謝罪した。その動き一つが何処か優雅で見惚れてしまう。
どうして、実力を試したのか?何か裏がありそうだが、厄介事が待っている気がしてならない。横目でミランダさんを見ると、俺と考えが同じのようで頷き返す。
ちなみにユーリちゃんは、俺が渡した飴に夢中だ。
「色々と聞きたいことはありますが、先ずはスキルの付与をお願いしたい。精霊が此処にはいない見たいですが、呼んで貰えますか?」
ニッコリと微笑んだ顔を崩さずルルベルさんは話し始める。
「スキルの付与は本来。私達、天界人が行っていましたが、今は精霊の方達にお願いして、代行して貰っています。今回は、僭越ながら私が対応させていただきます!」
スキルは精霊が付与するものでは無いのか?わざわざ俺達を別室にまで呼び出して、天界人直々にスキルを付与してくれる。普通に考えたら何か裏があると思うな!また、厄介事の予感がする。
そう思った俺は、ミランダさんと相談する。
「……と思うのですが、どう思いますか?」
「ナツメ君と同じ意見だわ。厄介事は避けたいわね」
「あの~。ご相談は済みましたか?」
ミランダさんとのヒソヒソ話が済み、本題に入らせて貰う。
「ええ、すみません。では、お願いします」
「お二方はこちらに来て、一人ずつこの石版に手を翳して頂けますか?」
呼ばれた俺とユーリは、机に置かれたA4サイズの無地の石版を見つめる。石版を前にして緊張しているユーリちゃん。先ず最初は、俺が手を翳すことにした。
一拍おいて、翳した石版が発光すると何やら文字が浮かび上がる。その文字を見ながらルルベルさんは黙考している。
「急に黙り込んで、どうしたのですか?」
「ああっ……いえ、すみません。…………成る程、あのお方が眼を付ける訳ですね」
おいおい!何か変な事言わなかったか?この人!心の中で突っ込みをいれながら黙って話すのを待っている。
「ナツメ様には二つのスキルと空きが四つあります。順を追って説明致しますがよろしいですか?」
黙って頷くと説明し始めた。
・全属性精霊魔法の取得と使用可
・運命の導き手
精霊魔法の取得!云々は何となく解る。運命の導き手!何だそのスキル?訳が解らん。
「運命の導き手とは何ですか?それと、空きが三つとは?」
「私が解る範囲でお答えします。今、言った二つのスキルはナツメ様が持っている特殊スキルです。空きが四つとは、スキルの取得が後四つ得られますが、まだ発動していない特殊スキルが二つあるので、実際は二つの空きですね。発動していないスキルはレベルが上がれば自動的に得られます。こればかりは、私の力ではどうすることも出来ません」
ルルベルさんが言うには、人はスキルを先天的に持っている。特殊スキルは誰しもが持っている訳ではない。石版には普通、何も表示されないのが殆どだ。俺の場合!特殊スキルが後二つあるらしい。これは、レベルが上がるのが楽しみだ。
話を戻すが、空きと呼ばれる所にスキルを付与させるのが、精霊・天界人の役目らしい。大概は、身体能力向上や属性魔法強化などが一般的で、中には視力強化や聴力強化など一部を特化させて強化する人もいるとのこと。
「運命の導き手ですが、正直。私には解りません。ただ、このスキルは周りのお仲間に影響が得られます。ナツメ様をお慕いしていればいる程、効果は絶大で全ての能力が底上げされます」
「どおりで、ナツメ君とパーティを組むようになって魔力が著しく上がったのよ」
「私も同じです!」
どうやら、二人には効果が有るみたいだ。
なんだ、その友情パワーみたいなスキルは!詳しい事は不明だが、ユーリやミランダさんに効果が有りそうだし良しとするか。
「それでは次に、ユーリ様。お願いします」
「は、はいっ!」
緊張した趣で、手を翳すユーリちゃん。
石版が光を発光させると……!もの凄い文字の羅列が表示される。
それを見たルルベルさんも、驚愕した表情で固まっている。
「ユ、ユーリ様のスキルですが、一つのスキルと………!」
急に押し黙るルルベルさんに、不安になったユーリちゃんは心配そうな顔つきで質問する。
「どうしたのですか?私、何か変ですか?」
「一つのスキルとあ、空きが………ひゃ、百個あります」
それを聞いた俺たちは、ユーリを含め眼が点になった。百個って!どんだけ取得できるんだ、このお子さまは!
「ただし!殆どが特殊スキルで、実際の空きは二つです」
と言うことは、ユーリも俺と同じでレベルアップしだいでスキルが取得できると言う訳か!
「ちなみに、ユーリが取得しているスキルは何ですか?」
「それはですね、想いの力です!ユーリ様が想った事、楽しいと感じた事こそが、世界に良い影響を与えるスキルの様です」
「わあ~。何だか素敵です!」
目を輝かせながら仰るユーリちゃん!この世界は、ユーリを甘やかしている気がするのは俺だけか!
「そういえば、ミランダさんが以前スキルを取得した時は空き容量!幾つだったのですか?」
「空き容量の話は聞かされなかったわ。ルルベルさん。私も調べてもらっていいかしら」
「構いません。では、此方に手を翳して頂けますか」
ミランダさんが手を翳すと石版が再び発光する。
「ミランダ様のスキルは、特殊スキルが二つと主属性魔法強化ですね。それから、空きが二つあります」
「ミランダさんも特殊スキルあるんですね。どんなスキルですか?」
俺の質問に、少し顔を赤くしながら答えるおねいさん。
「秘密よ!」
何でも人に教えると効果が無くなるスキルの様で教えてはくれなかった。聞きたい気もするがこれは諦めた方が良さそうだ。
「ここからが本題です。今回は、ミランダ様も含め皆様に、二つのスキルをお渡しします」
「えっ!私も貰えるの?」
「はい。差し上げます!ただし、条件があります。これは、私の主様よりのお願いです。主様の名前は、今はお答えすることは出来ませんが、正式な依頼と捉えて戴いてかまいません!」
やはりそう来たか!ここまでスキルの話をしてそのまま帰るとは思わなかったが、どうする?ここは、二人と相談だな。
「少し待って貰えないでしょうか?」
「かまいません。私も急なお願いをした身です」
ルルベルさんに了承を得た俺は、二人と相談することにした。
「どう思いますか?予想通り何か持ちかけてくるとは思ったんですけど、まさか依頼をしてくるとは思いませんでした」
「ある程度は予想がついた話ね。後は依頼の内容次第ではないかしら」
「私は、難しいことは解らないので二人にお任せします」
えっへん!と完全な丸投げのお子さまは置いといて、先ずは依頼内容を聞いてから判断することで、意見は一致した。
「では、お答えします。依頼の内容次第です!余りにも無茶な内容であればお断りします」
「皆様への依頼ですが………ウエスタンブルーム大陸へ趣、獣人族とエルフ族の手助けをして戴きたいのが依頼内容です」
「なっ!ウエスタンブルーム大陸ですって!」
驚いた表情のミランダさん。大陸の名前を言われてもピンとこない俺は、ミランダさんに聞いてみる事にした。
ウエスタンブルーム大陸!
俺達が今いるこの大陸は、サウザンドグリーン大陸と呼ばれ、主に人族が統治する大陸だ。獣人族と呼ばれる種族も王都に行けば要るらしいが、滅多にお目にかかれない程少ない人種だ。
これも、ミランダさんから聞いた話だが王都のお抱え魔導師の中にはエルフ族の魔導師がいるらしい。そんな、獣人族やエルフ族が大半を占める大陸がウエスタンブルーム大陸だ。ただし、大陸間を繋ぐ物は無く海を行き来する手段が無いこの世界では、交流も殆ど無く数百年!お互いの種族は我関せずを貫いている。
では何故、そんな中にあってこの大陸に数こそ少ないが獣人族やエルフ族が存在するのかと言うと、転移クリスタルの存在である。大陸の何処かにある魔法陣が大陸同士にあるらしく、それを使って此方の大陸に移動してきた物だと推測されている。これは、偶然なのか人為的な手段が講じられてきたのかは不明だ。
「質問したい事が山程あるのですが、先ずは何故!俺たちに依頼されたのですか?」
一番聞きたい事だ。話の内容によっては依頼を断るつもりでいる。みんなには悪いが、今回はスキルの内容が解っただけで良しとしよう。そんな考えを見透かしたかのように、何処か人形めいた翡翠色の瞳がジッと見つめてくる。
「お気持ちはお察します。お二人が危険な目に遭うのが心配なのですね。おやさしいですけど、お二人はナツメ様が思うよりもしっかりしています。それに、ナツメ様はこの依頼を決して断ることが出来ません。………何故なら、主様が直々にご依頼した案件。危険指数66%だからです!」
念話での話を聞いた俺は、会社からの案件と知り驚愕するとともに、会社が絡んでいることに深く溜息を吐くのであった。
思わぬ所で出て来た会社の案件!どうするサラリーマン!
サラリーマンは緊張案件?に奮闘します
皆様の暇つぶしに少しでも慣れれば幸いです
それではまた次回




