34.適性試験
いつもお世話になりますアリス工房(仮)です
本日は短目の文章となっております!
二人の応援を背に武舞台へと向かう。壇上に上がった俺を試験管の人が確認すると、四隅のポールが光り出し結界を貼る魔力を感じられる。それと同時に、大地に魔法陣が浮かび上がり、そこから召還されたのは木の人形では無く。体長三メートルにも及ぶ、巨体な岩のゴーレムであった。
その名の通り、全身が岩で出来ていて強固な風貌と威圧感は半端無い!
「あれ?今までと雰囲気が全く違うぞ?」
そんな疑問を消し飛ばすかの如く、岩のゴーレムはその巨体に似つかわしくない動きで襲いかかって来る。
間合いに入ったゴーレムは、右腕を振りかぶると俺めがけて殴りつける。その大振りな攻撃を冷静に右側へステップし避けながら体勢を整える。
「戦う準備もさせてくれないのかよ!」
文句を言いながら、剣を召還し構える。
相手は武器を特にもっていない様だ。力押しでくるタイプだがスピードもそこそこある。そんな事を思いながら相手の動きを観察していると、初撃を躱されたゴーレムは気にした素振りも見せず再度突進してくるが、見え見えの攻撃に半身で躱し隙だらけの側面へ抜き身を放つが特有の障壁に阻まれダメージが与えられない。
「ちっ。魔力障壁持ちか!」
舌打ちしながら魔法を唱えるべく手を翳す。
精霊魔法・火属性下位魔法ファイアーボール
手に集まったバスケットボール大の火の玉をゴーレム目掛けて発射する。その攻撃をゴーレムは両手を交差させて受け止める。勢いよく燃えさかり火柱が上がるが、やはり障壁の影響かダメージは期待できない。しかし、相手を足止めするには十分だ。
ゴーレムが防御の態勢を取っている一瞬の隙を見逃さず、新たな武器を召還した俺は身体強化を足に集中させ一気に間合いを詰めると、召還した武器での一撃!
魔力で高出力のエネルギーを圧縮させたヒートアックスの切れ味が障壁をも軽々と打ち破り交差させた腕を粉砕し胸部へ一撃を与える。
砕けた胸部から赤い結晶石が見て取れる。恐らくはあれがゴーレムの力の源!
腕を失って尚も、立ち向かってくるゴーレムに止めとばかりに撃鉄を引いて発射される空圧砲の攻撃が胸部に決まると爆散する。
ゴーレムの核とも言える結晶石を粉砕し勝負を決めた。
「相変わらず。障壁持ちは防御が堅くてやりづらいな」
粉々に砕けたゴーレムを確認し試験管の男を見ると、慌てて合格の声が聞こえる。
その声を聞いた俺は二人に向かってVサインをする。
「やったー!お見事です」
ぴょんぴょん跳ねて喜ぶユーリに対して少し渋い顔をするミランダさんは、試験管の元へ歩み寄る。
「どう言うことかしら?今のロックゴーレムよね。スキル選定試験でロックゴーレムが相手だなんて聞いたことがないわ。説明して頂戴!」
恐ろしいオーラを纏ったおねいさんに試験管もビビりながら答える。
「申し訳ありません。本部に問い合わせしたのですが、装置に異常は見られないの一点張りで原因が全く解らない状態です」
おねいさんの圧迫尋問に泣きそうになりながら必死に答える試験管の男の人。
「ミランダさん。取りあえず試験には合格したし、別に気にしてませんよ」
「ナツメ君がそう言うなら解ったわ。遅くなったけど、合格おめでとう」
おとなしく引き下がり、にっこりと微笑んで祝福してくれたおねいさん。
「ありがとうございます。さあ、次はユーリの番だぞ!」
そう言ってユーリを見ると、気合いの入ったユーリちゃんは魔力があふれ出している。
「お任せください!戦いたくてウズウズしています」
召還された、最強の盾をブンブン素振りしている。
「ユーリちゃん。やる気は良いけど全力で戦ったらダメよ!」
「そうだぞユーリ!神殿を破壊する気か?」
二人の説得に「えー!」等と文句を言いながら武舞台に上がるのであった。
武舞台を取り囲む三角錐のポールから光の結界が貼られるのと同時に、大地に魔法陣が現れると、またしてもロックゴーレムが召還される。しかも今度のゴーレムは、俺が戦った奴よりもさらに一回り大きく全身が黒く禍々しい色をしている。
「ミランダさん。何ですか、あれ?」
対戦相手を見て、素直に質問してみるとおねいさんは
「ダークゴーレムね。ナツメ君が戦った相手よりも遙かに強いわ」
「そうですか………。おーい、ユーリ!相手強そうだから強めに殴っても良いぞー!」
振り向いたユーリちゃんは、嬉しそうに答える。
「本当ですか!私の戦い、見てて下さいねー」
俺達のやり取りを聞いていた試験管の人は 、心配そうに尋ねてくる。
「あのう。中止にしなくて宜しいのですか?避難した方が安全ではないかと……」
「いま中止にしたら、あそこのお子さまが暴走します!まあ、見てて下さい」
俺の言葉を聞いた試験管は不満に思うも渋々、定位置に付く。
ダークゴーレムは、俺の時と同じでユーリに向かって突進して行く。振り上げられた右腕からの攻撃!遙かに強力な豪腕から繰り出される一振りを、あっさり最強の盾で受け止める。もの凄い衝突音に会場中が一瞬静寂し、周りにいた人達もこの戦いに注目する。
ダークゴーレムの攻撃を軽々と受け止めたユーリは盾を持ち替え、正拳突きの一撃!
たった一発の攻撃が、魔力障壁を簡単に打ち破り胸部を砕き吹き飛ばす。
その破壊の一撃を目の当たりにした人達は固まっている。
「なんちゅう威力だ!益々強くなったなあいつ」
「そうね。ユーリちゃんの魔力が、凄い事になっているわ」
ユーリの強さを改めて感じながら戦況を見守る俺逹。
胸部は砕かれ、結晶石にヒビが入りボロボロ状態のゴーレムは吹き飛ばされるも結界によって漸く勢いが治まる。
ゴーレムに止めを指そうと駆け出すユーリ!
ゴーレムに盾の一撃が入る………既の所で手が止まる。
「あれ?あのゴーレム。様子がおかしくありませんか?」
両手でバッテンと手を合わせる行為を交互にして降参の素振りをしている。
すると、そのまま大地に魔法陣が現れゴーレムは逃げるように沈んで行った。
「あんなに怯えながら逃げるゴーレム。初めて見たわ」
感想を述べるミランダさん。
「そうですよね。あれ、絶対逃げましたよね!」
俺もその意見に賛同する。
武舞台ではきょとんとしているユーリちゃんが此方に駆け寄ってきた。
「逃げちゃったんですけど、この場合どうなるのですか?」
試験管の男の人に目を向けると、我に返って慌てて合格をコールするのであった。
ユーリの戦いを目の当たりにした試験管はビビりながら合格証を渡すとスキルを付与して貰える部屋がある場所を説明し、逃げるように俺達から離れていった。
「やったなユーリ。合格したぞ!」
「おめでとうユーリちゃん!」
俺達の祝福に何処か微妙な顔をしながら答える。
「ありがとうございます。嬉しいんですけど、不完全燃焼です」
ホッペを膨らましながら不満を垂らすユーリちゃん。
何はともあれ、無事に合格した俺達はスキルを受け取る為、中央の神殿にある二階の精霊の間と呼ばれる部屋に向かった。
豪華な階段を上がり二階にたどり着くと其処には冒険者達の長蛇の列。また並ぶのか?とウンザリしながら最後尾に並んだ。
「また並ぶのですか?私……お腹空きました」
グッタリした表情で聞いてくるユーリちゃん(かなり腹ぺこ)
「スキル貰ったら、飯にしような。そこまで我慢するんだぞ!」
「うう~!解りました。が、我慢します」
果たしてこの子は最後まで持つのだろうか?
三十分置きに飴でもあげておこう。
ダラダラと行列に並んでいると、横からいきなり職員らしき女性に声を掛けられる。
「すみません。冒険者のナツメさんとユーリさんですか?」
「そうですけど、何かご用ですか?」
やっと見つけた。そんな顔付きで話しかけて来た職員の人は
「此方へお越し下さい。スキルの付与は別の部屋で行います」
職員の人に呼ばれ、そのまま後をついて行く。階段を更に三つ程上がり、一際豪華な造りの通路の最奥にこれまた立派な扉が見て取れる。職員の女性がノックをし、俺達を中へ促すと、扉は静かに閉められた。
部屋の中には大きな本棚と、机が配置されている。調度品何かも飾られていて、この部屋はかなりの身分の人がいるのであろう。そんな事を思いながら目の前に座っている人物を見ると、そこには見覚えのある顔をした人?が座っていた。
「ようこそお出で下さいました。私はあなた方を歓迎致します」
最果ての島で出会った、天使ルルベル!彼女がニッコリ微笑みながら出迎えてくれたのであった。
突如現れた天使にサラリーマンは奮闘します!
皆様の暇つぶしに少しでもなれたら幸いです
それではまた次回




