23.泥んこ祭り開幕!
いつもお世話になりますアリス工房(仮)です
最近の近況です!
加筆修正と年度末の忙しさが重なり、投稿ペースが若干遅くなるかも知れません。
週二〜三ペースは何とか確保出来る様に、頑張ります。
マドリンド町を出発した俺達は泥んこ祭りではなく、ブラッティバッファローを討伐すべく会場となる馬車道近郊を徒歩で目指した。会場には多くの冒険者と、ギルドの役員がいる。俺達は、登録とグループ抽選を行い会場とも言える討伐エリアへ移動する。
討伐をする冒険者の参加人数は三十人。見学者や仲間の魔導師を入れると、五十人位の人数が集まった。中々の人数で大規模討伐になる模様だ。
俺とミランダさんは、魔導師枠として登録した。魔導師の主な役割は、怪我人に回復魔法で手当するメンバーと、魔物を誘導する魔導師に分かれる。俺達は回復チームに登録し、サポート側に回ることになった。
馬車道を挟んで右と左に十五名ずつに分かれ、その中で五名のチームを組み、各々の持ち場を受け持つ。我等の姫様は、今回参加した冒険者の中で紅一点!しかもスク水アーマー装備のため大変目立っている。同じチームの冒険者も「お嬢ちゃん、本当に大丈夫か?」と心配されていた。
本人は、やる気モード全開で「お任せください。優勝は、我がチームで決まりです」一人だけ何か勘違いしているみたいだ。優勝とか無いからな、ユーリ。
討伐方法はいたってシンプルで、馬車道を真っ赤に彩ったド派手な馬車が、何往復も移動することでバッファローを誘い込む。この世界でも赤い物に敏感なんだ、牛だけに。
泥んこエリアにハマった所を、各々持ち場を守る冒険者が討伐すると言うのが、一連の流れだ。
早速、ユーリ側のエリアに一頭のバッファローが赤い馬車目掛けて突進してきた。ユーリも気づいたらしく駆け出すが、やっぱり沼地で足を滑らせ盛大に転ぶ。本日第一号の泥まみれになったユーリちゃん!流石は泥んこ姫である。
俺とミランダさんは、始まったばかりで特にやることも無く二人して見学中。俺は、三脚に撮影機を装着させ絶好のポジションでユーリを絶賛撮影中。今回提供された装備の見返りとして、めがねに頼まれた為である。その横ではどこから取り出したのか、王様が座るような玉座(親衛隊贈呈)に腰掛けたミランダさんが、まるで我が子の晴れ姿を見つめるおかあさんの眼差しで応援している。周りの魔導師達も、余りに異彩を放つ俺達から距離を取り待機中だ。
出遅れたユーリだが、前方で苦戦する冒険者達を尻目に飛び上がると、上空からの盾での攻撃。一撃で頭を粉砕させ冒険者達の度肝をぬいた。俺とミランダさんに向かってVサインをするユーリちゃん。
暫くして、次もユーリ側のエリアに魔物が現れる。少し離れた所で戦っている冒険者数人が魔物の攻撃で吹き飛ばされ、残されたメンバーはバッファローと膠着状態になる。
レッグアーマーの足下からバーニアスラスターがせり出し噴射すると、一気に地上を加速するユーリ。そのままバッファローとの距離を縮めると、その勢いのまま両手持ちの盾での一撃!致命的なダメージを与え二頭目も撃破する。そしてまたもやVサインのユーリちゃん(泥んこ姫)
反対側に現れたバッファローは冒険者総出で何とか倒したが怪我人が続出し、俺達回復班も大忙しになる。四頭目のバッファローがまたしても現れるが先程戦ったばかりで組織が立て直せていない。そんな状況に冒険者の一人が「お嬢ちゃん!こっちの助っ人を頼む!」大声で叫んだ!
お呼びがかかったユーリは、嬉しそうにニンマリして反対側のエリアにバーニアスラスターで高速移動。そのままの勢いでバッファローの突進を受け止めると泥をまき上げながら突進を押さえ込む。そこからバッファローを持ち上げ垂直落下式ブレーンバスターで大地に突き刺す。フラフラしながら立ち上がる相手に容赦のない一撃を放ちまたもや撃破した。
「ナツメさん、盾が壊れました」トテトテと歩いて此方にやってくるユーリに、俺は替えのスモールシールドを渡す。
「楽しそうだな、あんまり周りに迷惑掛けるなよ」
「解ってます。でも、優勝は我がチームが頂きます」やっぱり解っていないユーリちゃん(三年四組)
その後の討伐は、泥んこ姫の独壇場となる。この頃から周りの冒険者は、ユーリの扱いに慣れたらしくバッファローが現れるとユーリを呼び、道を開ける。そこへ泥んこ姫が登場!バッファローに致命的なダメージを与えると他の冒険者達がサポートする。そんな手順が見事に出来上がる。
日もだいぶ傾き始め、本日最後になるであろうバッファローが、泥沼にいる冒険者達を掻い潜り俺達の所へ突っ込んでくる。周りの魔導師達もテンパって右往左往する中、玉座に腰掛けたおねいさんが「大丈夫よ、私に任せて頂戴!」頼もしい言葉を発しながら、肘掛けにあるスイッチを押した。
すると、特大の魔法陣が目の前に現れ、バッファローの行く手を遮る盾となる。弾き飛ばされたバッファローは体勢を立て直し反撃しようと身構える。
玉座に座っているおねいさんは、金色に輝く髪を靡かせ、無詠唱で信じられない数のフレアボムを発動させた。おねいさんは、その大火力を持って蹂躙する!
一連の動作を座ったまま行った超ミランダさんは、まさに王そのもの。跡形もなく燃やし尽くした圧倒的な火力を見て満足したのか、俺に向かってVサインをする。
「焼き尽くしてどうするんですか、跡形もないですよ」俺が抗議すると
「だって、退屈だったんだもん!」拗ねながら仰るおねいさん(二十六歳)
俺はその仕草に頭を抱えるとともに、親衛隊はミランダさんになんて物(玉座)を贈ったのだと、後で抗議の通信をする事を心に誓うのであった。
本日の討伐結果は、町始まって依頼の討伐数である。
討伐数十一頭・消し炭になったバッファローの合計十二頭
討伐終了後、やっぱりうちの泥んこ姫は冒険者達に胴上げされている。この世界の流行なのか?胴上げは……!
討伐されたバッファローは、ギルドお抱えの解体チームにより速やかに解体され運ばれる。ユーリは最も活躍したと言うことで依頼金も上乗せしてもらい大満足な結果に終わる。
俺達は、このまま魔力草を採取しに行く予定でいたが、思ったより討伐に時間が掛かったのと、ユーリが泥まみれになり洗い流すのに予想以上に手こずった。その為、今日は町に引き返すことで話は決まった。
「スゴく楽しかったです。今度は皆で参加しましょう」髪の毛を俺の精霊魔法風属性で乾かしながら話すユーリ
「それは良かったな。頭しっかり乾かせよ、濡れたままだと風邪引くからな」
ミランダさんは、他の冒険者達にスカウトされまくりで断るのに大変そうだ。ようやく一段落ついたのか、こちらに戻ってくると
「ナツメ君達冷たいわよ、助けてくれても良かったのに」珍しくホッペタを膨らますおねいさん
「すみません。うちの泥んこ姫を乾かしてまして、手が放せなかったんです」ユーリの髪を櫛でとかしながら答える。
「もう、しょうがないわね。ユーリちゃんの着替えが終わったら、私達も町へ戻るわよ」娘の可愛さに癒され毒気を抜かれたおねいさんは、娘に甘々です。
優勝こそしなかったが、泥んこ祭りの会場を後にするのっであった。
翌朝、今日も快晴に恵まれ絶好の採取日和となった。泥んこ祭りも終わり、魔力草の丘での採取も冒険者限定ではあるが解禁となり、朝から意気揚々と出発する俺達。
昨日大活躍であった、うちの泥んこ姫もいつもの魔法衣を着用。余程気に入ったのかレッグアーマーだけは今日も、ちゃっかり装備している。何でもバーニア機能が楽しかったそうだ。
「今日こそは、魔力草を沢山取って名物料理を食べるのです!」両手をいっぱいに広げながら高らかに宣言するユーリ。朝から元気いっぱいです。
俺たちは、ギルドのオジサンに教えてもらった丘を目指して移動をする。昨日、かなりの数を討伐したお陰かバッファローを見かけることもない。
舗装された道を暫く歩いていると前方に緑の生い茂った小高い丘が見て取れる。所々に岩肌も見え隠れしていて大きさだけなら山と見間違えるほどの大きさだ。
「かなりの大きさだな。頂上まで行くのは、結構シンドいぞ」これから頂上付近まで登ることを考えると溜息も吐きたくなる。
「何を言っているのですかナツメさん。頂上には魔力草があるのですよ!これを採取した暁には、私の野望が達成されます!」
名物料理を食べる野望だろ。ユーリの言葉を軽く流しながら頂上を目指す。
登山とも言えなくない丘を登ること一時間。やっとの思いで頂上にたどり着いた俺がみた物は、壮大なお花畑であった。そこかしこに咲き乱れる魔力草。どうやら、禁止令のお陰で採取する人が減り、魔力草が育ちまくった結果、お花畑になってしまったのではないだろうか。
「見て下さい、お花取り放題ですよ!」片っ端から採取しまくるユーリちゃん。この丘を、ハゲ丘にする勢いだ!
「そんなに魔力草いらないぞ、全部取る必要ないからな」ハゲ丘を阻止すべく止めにはいるが、この子にそんな効果はあるのだろうか?
ユーリが魔力草の採取をしている間、俺とミランダさんは周辺の探索を始める。
「魔物の気配は感じられる?」草むらをかき分けながら前へ進むミランダさん
「今の所、特に感じませんね。離れた場所に複数いるようですが、問題ないと思います」
付近を探索しながら歩く。
「特に、めぼしい物はないですね」探索を打ち切りユーリのもとへ戻ると驚愕した!
お花畑の一角が綺麗に採取され、まるで十円ハゲの様な形に摘み取られている。
「あっ!お帰りなさい。何かありましたか?」両手いっぱいに魔力草を持ったユーリが、一仕事終えた様相で汗を拭いながら聞いてくる。
「取りすぎだろそれ、物には限度と言う物があるぞ」呆れる俺の言葉に
「そんなことありません。これでも少ない方です」この子は本気でハゲ丘にするつもりだ。
「それくらいで十分だと思うわ。目的の物も採取出来たし、そろそろ戻りましょう」
ミランダさんの意見には素直に従うユーリ。いつの世もお父さんには反抗する娘である。
「ミランダさんの意見には、随分と素直に言うこと聞くじゃないか」
「ミランダさんって、お母さんみたいな雰囲気が偶にあるんですよ」
あら、ヤダ。ミタイなことを言って照れるミランダさん(お母さん)満更でもないのか
「じゃ、じゃあ。俺は?」その質問に腕を組みながら考えるユーリは一言
「えと、近所のオジサン!」笑顔で答えやがった。
「このやろー!」追いかける俺。逃げるユーリ。二人の追いかけっこは暫く続く!
追いかけっこをニコニコしながら見守るおかあさん。
そんな、じゃれ合いをしながら俺達は町へ戻るのであった。
その日の夕食は、ユーリの野望どおり名物料理にありつけ、姫は大変ご機嫌だった。一つ誤算が有るとすれば次の日、食べ過ぎた俺はお腹を壊し町の観光に参加出来なかった事である。
名物料理を美味しくいただいた三人は、新たな冒険へ旅立ちます。
サラリーマンは、食べ過ぎにも負けず奮闘します!
皆さんの暇つぶしに少しでもなれたら幸いです
それではまた次回




