10.ユーリの存在
いつもお世話になりますアリス工房(仮)です
今回は討伐編その後のお話しです
最近は、ちょくちょく読み返して文字を修正しています。
プロローグも少しですが、直しました。
よかったら是非、読み直してみて下さい。
オーガ討伐を終えた俺たちは、意気揚々と町へ帰還し冒険者ギルドに報告 後、報酬をそれぞれに分配し、全員に行き渡らせた。
「いろいろ世話になったな。お陰で当分酒代に困らねえぜ」
ガッハッハと笑うポルコ 。
「お世話になりました。また何処かで会える日を楽しみにしています」
ニアラと ギアンの双子コンビが揃って挨拶し、別れた。
「じゃあ、私達も行きましょうか。ナツメ君達は、宿屋暮らしなの?」
「そうですよ。俺も、ユーリも同じ宿屋にいます」
そう答えると、 ミランダさんは悪戯な笑みを浮かべながら 聞き返す。
「一緒の部屋で寝泊まりしてるの?良いわね、若いって!」
ユーリが真っ赤な顔をしながら 否定する。
「ち、ち、違います!別々のお部屋に泊まっています。そうですよね、ナツメさん」
「純粋な少女をからかわないで下さい。若いって言いますが、同い年じゃないですか ?ミランダさん!」
ポロッと言った俺の言葉に腕を組み、顔を近づけながらミランダさんは問い詰める。
「あら、何でナツメ君は私の年を知っているのかな?教えた覚えがないわ」
顔近いですミランダさん。それに目が怖いです !
「前に言いませんでしたっけ?スキルで、名前とか年齢とか、相手の強さが解るんですよ」
「そういえばそんなこと言ってたわね。女性の年齢を他の人に言ったらどう なるか、解るわよね!」
「誰にも言いません。そんな命知らずなことしませんから、もう少し離れて下さい」
「よろしい!じゃあ、二人とも暫くは、私の屋敷に寝泊まりして 貰うわ」
「ミランダさんって、お嬢様なんですか?」
ユーリが素朴な質問をする。
「ミランダ様は、この辺の土地を領地しているファルシオーネ家のご令嬢だ」
「私が全部統治している訳ではないわ。それに私は冒険者よ!ギルも余計なことは言わないで頂戴」
「ですが、ミランダ様!」
推測だがミランダさんは貴族の生まれで、女性のため
家督を継げないから結婚しなければならない。多分
それが嫌で冒険者になったんだと思う。ギルとマルクはお目付役見たいな 所かなと考えに耽っていると 何やら勘付いたのかミランダさんが釘をさす。
「ナツメ君!妙に納得した顔してるけど、あまり賢すぎるのも宜しくないわよ」
ジト目で睨んでくるミランダさん 。
「何も言ってないですよ。ミランダさん考えすぎです。ハハハ」
乾いた笑いで、何とかこの場は誤魔化した 。
「俺たちは、宿屋に戻って仕度します。ミランダさんの家には、明日から行けばいいんですか?」
「それでいいわ。ギル、明日ナツメ君とユーリちゃんを迎えに行ってあげて」
話はそれで纏まり、今日の所はひとまず解散となった。
二人になった俺たちは これからの事を相談する。
「腹減ったな。飯どうする?何か食べにいくか?お金も入ったし、ソコソコ贅沢出来るぞ!」
「折角ですから。私のキャンプ地で夕ご飯食べませんか?ご馳走します。それに、ナツメさん に合わせたい人がいるんです!」
「キャンプ地って、ユーリが住んでいたところか?会わせたい人って誰?」
「私は、果物屋さんの裏地がキャンプ地でして、たまに掃除しに帰ってたんですよ 。そしたら、いつもお世話になっている、果物屋さんのラナさんが、ナツメさんに合いたがっているのですが、一緒に来てくれませんか?」
俺は、ユーリの提案を快く引き受ける。
「腕によりを掛けて、ナツメさんをオモテナシします」
目を輝かせながら、嬉しそうに答えるユーリちゃん。
夕飯用の食材を調達し、ユーリのキャンプ地(果物屋の裏地)に向かった。
屋台風の造りになっている場所へ案内されると、そこに、恰幅の良いおばさんが店を 切り盛りしている姿が見えた。その人にユーリは親しそうに声を掛ける。
「ラナさんただいまです。今日は、ナツメさんを連れてきました」
ユーリに紹介され、緊張した趣で挨拶する。
「初めまして、ナツメと申します。ユーリさんとは冒険者仲間で、同じパーティを組ませて貰っています」
「ご丁寧に、初めましてラナと申します。この子の、親代わりみたいなものです」
これまたご丁寧に返事が返ってきた 。
何かコレ、親への挨拶みたいになってるけど、この流れは娘さんを僕に・・・とか言いそうになるぞ 。
ユーリは、嬉しそうにラナさんにオーガを討伐しに行った事を話すと、ラナさんは心配そうに聞いていた。まるで、親子が会話しているようだ。
この通りは屋台通りになっていて、食べ物やら雑貨品
なんかも取り扱っていてちょっとしたお祭りに来ているみたいだ。そんな屋台通りを歩いていると、やたらとユーリはタダで 物を貰う。いろんな人に話しかけれ、ユーリも常にニコニコしている、ラナさんに聞いてみると、ユーリはこの屋台通りのマスッコト的な存在で、人気者なんだそうだ。
「ユーリちゃん達は、夕ご飯どうするんだい?」
ラナさんの質問に、腕まくりしながら元気に答える。
「今日は、ナツメさんをオモテナシするんです!」
「久しぶりに、ユーリちゃんが帰ってきてくれたから、良かったらお店のみんなと一緒に食べない?」
二人が喜んで了承すると、ラナさんの一声が屋台通りの店主に伝わり、大宴会となってしまった。
場所は屋台通り中央に位置する大広場!
(みんなの憩いの場所)が会場となり、店主達は ノリノリで食材やらテーブル・椅子等宴会準備をし始めた。まさにお祭りである。
俺とユーリは、大広場のテーブル席(お誕生席)に案内され座らされた 。目の前には沢山の、料理やらお酒が所狭しと並べられ、少ししてからユーリが大皿を フラフラと危なっかしく持ちながら登場した。
その顔は満面の笑みで「私の得意料理です!ナツメさん!是非食べて下さい」大皿を目の前に置いた。
大皿には、さっき買ってきた丸々一匹のホーンラビットが、香草とともに焼き上げられ 、その横にリンゴっぽい果物が添えられていた 。
結構美味しそうだぞこれは……早速一口食べてみる。
ユーリは、目をキラキラさせながら俺の顔をじっと
見つめ、尻尾をブンブン振っているように感じとれる。
「美味しいよ。ユーリは、料理上手だな!」
「エヘヘヘ!ナツメさんに、褒められました」
更にニコニコ笑顔になった 。
本当においしかった。表面はパリッと、中は肉の旨みが閉じ込められていて、油がとってもジューシィだ。
付け合わせの果物が、酸味が利いていてお肉の味を引き立てる 。ユーリシェフ曰く、この組み合わせは最強とのこと。 たしかに最強だなこの味は!
ユーリは、俺の隣の席(お誕生席)に座り料理を食べ
始めた 。
俺も折角お呼ばれされたんだし、取って置きを出そうと思い、アイテムウインドを開き 酒各種を取り出した。
これはこっそり持ち込んだ、俺の世界の酒だ(たまにチビチビ呑む用)両手に酒を持ちラナさんに渡す。
「ラナさん、これ俺の国で造ってるお酒です。良かったら、皆さんで飲んで下さい」
「珍しいお酒だねぇ!なんて言うんだい?」
日本酒を片手に持ちながら、聞いてきた 。
「手に持っているのは、日本酒という飲み物です。こっちが、ウイスキーと果実酒です」
渡したお酒は大盛況で、店主達にまた持ってきてくれと強く懇願された 。
補充しないといけないな。今度戻ったら、買っとかないと等考えているとラナさんが 、酒瓶片手に俺たちのいる席(お誕生席)に来ると、いきなり背中をバシバシ叩きながら 俺たちの隣に座り込んだ。
「どうだい、たくさん食べて飲んでるかい?」
イタタ、結構力強いですラナさん !
「おいしく頂いてますよ。何か、お祭りみたいでいい雰囲気ですね」
「ここの連中はみんな宴会好きだからね。所で、ナツメ君はユーリちゃんのこと、どう思ってるんだい?」唐突にそんな質問をしてきた 。
ラナさんも親代わりとして、ユーリの事が心配なんだろう。
「純粋でとてもいい子ですよ。一緒にいて楽しいし、
でも誰かが守ってやらないと、いけない気がします」
「ナツメ君なら守ってやれるかい?」
「大事な仲間ですからね。何があっても、全力で守って見せますよ!」
「わ、私も、ナツメさんと一緒にいて楽しいです。それに、とっても大事な、大切な仲間です!」
横からユーリが、顔を赤くしながら話に加わってきた。
ラナさんは、二人の言葉を聞いて満足したらしい。
「ユーリちゃんを泣かせるんじゃないよ」
そう言って、背中をバチィっと叩かれた。
叩かれた背中は、不思議と痛みを感じなかった。
大盛況の中、宴会も終わり。俺たち二人も、宿屋に向かって歩いていた。
「明日から魔法の特訓だな。しっかり覚えろよ、ユーリ!」
「任せて下さい!明日は、盾魔法使いになる為の、大きな一歩です!」
小さな握り拳をつくりながら、決意を胸に宿屋に帰るのであった。
次回は、ミランダ邸での生活をお届けします
サラリーマンは、ミランダさん相手に奮闘します
皆様の暇つぶしに少しでもなれたら幸いです
それではまた次回




