スマートカート
私の行きつけのスーパーには、最近「スマートカート」が導入されました。
カートにタブレットとスキャナーがついていて、カゴに商品を入れるだけで自動で計算してくれる優れものです。
さらに、カゴの底には重量センサーが付いており、スキャン漏れ(万引き)を防ぐために、商品の重さを常に計測しています。
仕事帰り、夜遅い時間のスーパー。店内はガラガラで、私の他には数人のお客さんしかいません。
「パン、牛乳、たまご……よし、これで全部かな」
私は商品を一つずつスキャンしてカゴに入れました。
タブレットの表示は「合計3点、約2.2kg」となっていました。
ところが、精肉コーナーの前を通りかかった時、突然カートが重くなりました。
まるでブレーキがかかったような感覚です。タブレットを見ると、アラートが表示されていました。
『未スキャンの商品があります。重量異常:+45kg。カゴの中を確認してください』
「えっ……?」
私はカゴの中を見ました。
そこにあるのは、さっき入れたパンと牛乳とたまごだけです。
45kgもあるような大きな商品はどこにもありません。
「なんだ、センサーの故障か?」
私は苦笑いして、近くにいた店員さんを呼びました。
「すみません、何も入れてないのに重量エラーが出ちゃって」
店員さんは私のカートの画面と、カゴの中を交互に見て、みるみる顔を青ざめさせました。
「お客様……申し訳ありません。このカートはすぐにこちらで引き取ります。お客様は、カゴの中には触れず、そのまま、今すぐお店を出てください。お代は結構ですから」
私はわけがわからず、そのまま店を追い出されるように帰宅しました。
家について、ふと思い出しました。
そういえばあのカートのセンサーは「カゴの底」だけでなく、「持ち手のハンドル」にかかる下向きの重さも検知する仕組みなのです。




