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なんかよく分からないけれど怖い話  作者: 日暮キルハ


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釣り銭口の感触

 私の家の近くには、古びた自動販売機がポツンと一台だけあります。

 街灯も少ない夜道にあるその自販機は、なぜかいつも「補充中」のランプが点灯せず、どんなに遅い時間でも冷たい飲み物を買うことができました。


 ただ、一つだけ変な癖がある自販機なんです。

 飲み物を買って、お釣りが出てくる時。チャリンと音がして釣り銭口に手を入れると、小銭と一緒に、いつも「温かくて湿った布のようなもの」が指に触れる気がするんです。


「古い機械だから、内部の結露でも溜まってるのかな」


 私はそう思い、あまり気に留めていませんでした。


 昨夜、仕事帰りに喉が渇いた私は、いつものようにその自販機でコーラを買いました。

 1000円札を入れ、ボタンを押す。ガコンという景気のいい音とともに、コーラが落ちてきました。


 私はしゃがみ込み、まずは取り出し口からコーラを拾い上げました。

 次に、お釣りを確認しようと指先をレバーの下の釣り銭口へ差し込みました。


「あ、まただ……」


 指先に触れる、あの生温かくて湿った感触。

 今日はいつもよりそれが大きく、指にまとわりついてくるような気がしました。


 私は少しイライラして、その「湿った布」を指に絡め、思い切り外へ引きずり出してみました。


「掃除してないからこんなに汚れるんだ」


 街灯の薄明かりの下で、引きずり出した「それ」をよく見て、私は悲鳴を上げそうになりました。


 それは布なんかではありませんでした。泥にまみれた「子供用の手袋」でした。

 しかも、その手袋の中には、切り取られて間もない、まだ柔らかい指が5本とも詰まっていたのです。


 私は腰を抜かし、這うようにしてその場を離れました。

 翌朝、警察と一緒にその自販機を調べてもらいましたが、機械の内部には何の異常もなく、釣り銭口の奥も乾いていて血の一滴すら落ちていなかったそうです。


 警察には「見間違いじゃないか」と呆れられ、私は釈然としないまま帰宅しました。

 喉がカラカラだったので、昨夜買ったコーラを飲もうと冷蔵庫から取り出した時、私は気づいてしまいました。

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