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セイサン
私たち夫婦は、今日で結婚10周年を迎えました。
節目の夜ということで、夫が予約してくれたのは、人里離れた場所にある静かな会員制のレストランでした。
最近の私たちは、お互いに隠し事や小さな嘘が積み重なり、冷え切った関係が続いていました。
夫の浮気、私の無駄遣い。
そんなギスギスした空気を変えたくて、夫がグラスを掲げながら言いました。
「今日は記念日だ。これまでの悪いことは全部忘れて、一度二人の関係を『セイサン』しようじゃないか」
私はその言葉を聞いて、少しだけ救われた気持ちになりました。
(そうね、これまでのわだかまりを全部清算して、また一からやり直せるんだわ……)
「ええ、そうね。私もそれを望んでいたわ。ありがとう」
私は微笑んで、夫が注いでくれた赤ワインを一気に飲み干しました。
夫は満足そうに頷き、自分のグラスには手をつけないまま、じっと私を見つめてこう言いました。
「よかった。……君なら、この『セイサン』の味も分かってくれると思っていたよ。さっき、キッチンで特別に混ぜておいたんだ」




