呪い
私はある時、占い師に「強力な死の呪い」をかけられていると告げられました。
あと一週間で、私は心臓が止まって死ぬというのです。
逃れる方法はただ一つ。自分を心から愛している人間に、その呪いを移すこと。
方法は簡単です。呪いのことを念じながら食べ物に触れ、それを相手に食べさせるだけ。
私は絶望しました。
愛する妻にそんなことはできない。
しかし、日が経つにつれ、呼吸は苦しくなり、体中にどす黒い痣が浮かんできました。
死の恐怖に負けた私は、ついに六日目の夜、妻が作ったスープの中に、私が指先で触れた角砂糖をひとかけら、こっそり落としたのです。
翌朝。 目が覚めると、あんなに苦しかった体が嘘のように軽くなっていました。痣も消え、私は生き延びたことを確信しました。
罪悪感でいっぱいの私に、妻が微笑みながら朝食を運んできました。
「あなた、顔色が良くなったわね。実はね、私あなたに謝らなきゃいけないことがあるの」
妻は少し照れくさそうに続けました。
「先週、私も占い師に『死の呪い』をかけられているって言われたの。助かるには、私を世界で一番愛してくれている人に呪いを移すしかないって。……私、どうしても死ぬのが怖くて、三日前の夕食に、あなたの嫌いな椎茸に混ぜて呪いを移しちゃったの」
私は凍りつきました。でも、妻は明るい声でこう結んだのです。
「でも、あなたピンピンしてるじゃない! きっと、私のこと、そんなに愛してなかったのね。ああ、よかった! 呪いが移らなくて本当に安心したわ!」




