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なんかよく分からないけれど怖い話  作者: 日暮キルハ


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ダーツ

 私は、行きつけのダーツバーで「伝説」と呼ばれている男と仲良くしていました。

 彼の腕前は超一流で、どんなに酔っていても必ずボードの真ん中、つまりブルを射抜きます。


 ある晩、私は彼にその秘訣を聞いてみました。


「どうすれば、そんなに正確にブルを狙えるんですか?」


 男はニヤリと笑い、自慢のマイダーツを弄びながら言いました。


「コツはね、『そこが一番柔らかい』と信じることだよ。硬いボードだと思っちゃいけない。柔らかい肉に吸い込まれていくイメージで投げるんだ。そうすれば、矢は自然と真ん中に集まる」


 私はその独特な感性に感心し、「さすがプロは違うな」とその時は笑って流しました。


 数ヶ月後、その男が突然亡くなったという知らせが届きました。

 身寄りのなかった彼の遺品を引き取ることになった私は、彼の自宅を訪れました。


 部屋の中央には、彼が毎日練習に使っていたというダーツボードが掲げられていました。

 長年の練習のせいか、ブルの部分だけが異常にボロボロで、中心には深い穴が開いています。


「よっぽどここを狙っていたんだな……」


 私は彼を偲んで、そのボードを壁から外そうとしました。

 しかし、ボードはまるで何かに癒着しているかのように、なかなか壁から離れません。


 力を込めてバリバリと剥がした瞬間、私はその場で吐き気を催しました。


 ボードの裏側、ちょうどブルが位置していた場所の壁に、直径5センチほどの深い穴が掘られていました。

 そしてその穴の中には、かつて「人間の目玉」だったと思われる干からびた塊が、何度も何度も矢で突き刺された状態で、こちらを凝視していたのです。

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