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なんかよく分からないけれど怖い話  作者: 日暮キルハ


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土の中

 私の唯一の趣味は、自宅の小さな裏庭でひまわりを育てることです。


 私の育てるひまわりは、近所でも評判になるほど立派です。

 特に庭の中央にある一本だけは、毎年他の株よりも二回りも大きく、3メートル近い高さまで成長し、見たこともないほど濃い大輪の花を咲かせます。


 ある日、隣の家に住む老人が、垣根越しに私の庭を眺めて感心したように言いました。


「見事なひまわりだねぇ。一体、土の中に何を混ぜれば、これほど力強く育つんだい?」


 私は笑顔で答えました。


「特別なことは何もしていませんよ。ただ、カルシウムをたっぷり与えて、土をしっかり耕しただけです。ひまわりは根が命ですからね」


「なるほど、根か。それにしても、この場所だけ土が盛り上がっているようだが、ずいぶん深く掘ったのかい?」


「ええ。根がどこまでも自由に伸びられるように、2メートルほど深く掘り返して、土を柔らかくしておいたんです。そこまでやらないと、『彼女』も納得してくれませんから」


 程よい相槌を打ってくれる老人に嬉しくなって私は尚も話します。


「三年前、妻が突然家を出ていってから、私はこのひまわりを育てることだけに情熱を注いできました。妻がいた頃は、この庭は荒れ放題だったのですが……今では、妻がいない寂しさも、この土が全て吸い取ってくれているような気がするんです」


 私は、ひまわりの茎を優しく撫でました。 指先から伝わる、生きているような生温かさと、微かな振動。


「もうすぐ夏が終わります。花が枯れたら、また土を掘り返して、確かめないといけません。来年も、もっと大きな花を咲かせてほしいですからね」

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