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空を裂く闇

 ソードクライメイトは暗黒の翼で空を()いた。

同時に凄まじい加速。

背面に向けた翼から闇が噴き出し、一直線に黒の軌跡を描いて怪鳥に迫る。


 すると怪鳥は急旋回した。


 ソードクライメイトはその後を追って。

叩きつけるような勢いで翼を振るい、まるで見えない壁を蹴ったように。

爆発にも似た闇の噴出で直角に軌道を変える。


『──────!!』


 獰猛(どうもう)(うな)りを響かせたソードクライメイト。


 怪鳥は左右2枚ずつ、そして背から伸びる尾羽のような5つ目の翼を羽ばたかせた。

(まと)う光がヴェールとなって行く手を遮る。


 俺はクレイモアを抜いた。

大きく頭上で剣を回して。

十字剣の刃にソードクライメイトの翼から放出される闇を絡ませる。


 次いで(はし)る黒の一閃。

俺の放った三日月型の闇の斬擊が、光のヴェールを斬り裂いた。


 怪鳥はその一撃をひらりとかわして。

体をよじり、翼をすぼめてクルクルと高速で回転。

()いで大きく翼を広げた。

5つの光翼(こうよく)から光の輪が生まれてこちらに迫る。


 高密度の光を幾重にも束ねた浄化の光輪。

まともに喰らえばソードクライメイトでも身体を維持できない。


「かわせ!」


 俺の指示を受けてソードクライメイトは翼を反転。

正面へと闇を噴き出して急停止。

さらに翼を上へと払うと、下に向かって加速した。

着地と同時に、大地がその巨体を支えきれずに大きく陥没(かんぼつ)する。


 舞い上がる土くれや岩の先。

今も距離を開いていく光の怪鳥をソードクライメイトは睨んだ。


 4つの脚と4つの翼をそれぞれ折り畳んで。

腹這いになったソードクライメイトは、地に這わせた尾を素早く左右に揺らして蛇のように大地を高速で進む。


「ムニン、大丈夫か」


「うん、凄く楽しい!」


 激しい揺れと衝撃の連続だったけど、ムニンは平然としてるどころか楽しんでるらしい。


「それは良かった。もっと揺れるぞ」


「うん!」


 嬉しそうな返事。


「飛べ!」


 俺はソードクライメイトに言った。


 ソードクライメイトは尾を地面に叩きつけて跳ねた。

折り畳んでいた脚で着地の衝撃をバネにさらに跳躍。

広げた翼から闇を放って飛翔する。


 地平線の先には山脈が見えてきた。

左右を高速で過ぎ去る景色。

そしてみるみる高くそびえていく山脈のいただき


 瞬く間にその岩肌が迫ると、怪鳥は弧を描いて軌道を変えた。

突き出した大きな岩が並ぶ山肌に平行して飛び、岩を左右にかわしながら進んでいく。


 ソードクライメイトもそのあとを追った。

迫る突起状の岩は向きが一定。

それはまるで竜の体表──並んだ鱗のようだった。

その鱗の隙間をすり抜け、光の怪鳥へと迫る。


 俺はクレイモアを構えた。

黒の斬擊を続けざまに飛ばす。


 それをひらりひらりと、またかわす怪鳥。

だけど狙いはお前じゃない。


俺の黒の斬擊が突き出した岩に当たった。

崩れ落ちる岩が怪鳥の行く手を遮る。


「今だ!」


 ソードクライメイトは光の怪鳥に取り付いた。

4枚の翼も腕のように操り、翼と前足で怪鳥の羽を押さえる。


 怪鳥は翼から光を生もうとするけど、ソードクライメイトの翼から溢れ出す闇が光を相殺(そうさい)

身動きを封じられ、怪鳥は勢いのままに岩に衝突する。


「やっと捕まえた」


 俺はもがく怪鳥を見て言った。


 怪鳥は必死にもがくが、ソードクライメイトに押さえつけられて動けない。


 だけど怪鳥はぐるんと首をこちらに向けた。

巨大な(たか)のような顔。

鋭く大きな瞳に俺とムニンの姿が映り込む。


 そして。

その額からは別な鳥の姿。


「……っ?!」


 体つきは人型に似て。

腰から上が怪鳥の額から伸びていた。

顔全体が大きなクチバシのようなそれはこちらを捉えると鋭い鳴き声。

同時に翼を振るい、こちら目掛けて光の輪を放つ。

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