88話 2体
「そんな……」
「嘘でしょう……?」
「こんなことで嘘など言わん。ギルから聞いていないのか?」
「そんなことは言って居なかったはず」
「私も聞いていません」
「そうか、儂の意識が持たなかったのかもしれん」
「それは急いで伝えに行かなければ!」
「急ぎましょう!」
「ちょっと待て」
「「?」」
ドン・キホーテさんに呼び止められて私たちの足は止まった。
「カボチャのパイは切って持ってきてくれ」
「分かりました」
私は内心焦りつつもカボチャのパイを切って持ってきて、彼に渡した。
「ありがとう。先に行っておいてくれ。後から儂も行く」
「師匠、無理はしないようにな」
「私たちだけで勝って見せます。だから、待っていてください」
ドン・キホーテさんの家を後にして、私たちはギルさんの元へ急ぐ。
「ギルさん!」
「はい?」
そこでは村の防衛計画で忙しそうにしているギルさんがいた。彼の周りには何人かの人がいた。
「ギルさん。ちょっと」
「え? 流石に今は」
「緊急だ」
「すいません。少々お待ちください」
戸惑う彼らをおいてギルさんを少し強引に連れ去った。
私たち3人は彼らから離れて誰にも聞かれない場所に来る。
「ギルさん。正直に答えてくれ」
「はい?」
「ケルベロスが2体いることは知っていたのか?」
「は……?」
ギルさんは何を言っているのか理解できないといった顔をしている。
「どうなんだ?」
「待ってください。ケルベロスが2体? そんなはずないでしょう? ドン・キホーテさんに確認してきていただいたんですよ? 怪我で途中で倒れられて話は最後まで……まさか」
「「まさか?」」
「彼が最後の方に何か言っていたような気はしたんです。途切れ途切れで何とか聞いた情報がケルベロスがいるということだと思ったのに……」
「それじゃあ隊長に急いで伝えに行くこう。このままだとかなり危ないかもしれない」
「わかりました」
私たち3人は急いで隊長の元へ向かった。
「なんだと!? それは本当か!?」
周囲には多くの人がいるにも関わらず隊長は声を荒げる。しかしそれは仕方ないこと。この情報が間違っていたのなら防衛情報が根底から覆ることになるからだ。
それどころか戦力がギリギリだと思っていた所が半分にも満たないかもしれないという事件だ。これは本当にまずい。
「本当です。たった今偵察に行ってきた本人に確認してきました」
「ギル殿はその本人から聞いていたのではないのか?」
「ええ、ですが、深手を負っていて話すのも厳しい状態だったのです。その時に聞いた微かな情報を元にして何とか道具も使って魔物の包囲を突破してきたのです」
「そうか……少しそのドン・キホーテ殿の所へ案内してもらおう。そこで話を聞かねば他に情報があった場合ことがことだ」
「分かった。こっちだ」
私たち4人はドン・キホーテさんの所に戻った。
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