89話 提案
「そんな……ケルベロスに加えて魔物の数も200は超えるだと? そんな状態でどうやって勝つというんだ……」
ドン・キホーテさんの家から出てきた私たちの雰囲気はとても暗いものになっていた。その理由はより詳しく現在の状態を知ったからだ。私たちはケルベロスが2体いることを知って隊長に知らせたが、隊長は落ち着いていて、他の情報もドン・キホーテさんに聞いていたのだ。
それで新たに分かったことが。
「ケルベロス成体が2体。その周りの魔物の群れが最低200体。しかも指揮も取れていてかなりの連携が出来ると」
「想定より圧倒的に多い、どうするか……一度他の冒険者も集めて話をする。いざ出てきてから話が違うとなれば崩壊しかねない」
「皆さんここまで来てくださったのにですか?」
「当然だ。その情報がケルベロス1体ということで話はされていたのだ。それが実は2体いると言うことになれば、信頼を裏切ったと言われてもおかしくはない。だから今のうちに話しておく」
「分かりました」
それからそれぞれの集団のトップが集められて話し合いが始まった。そして、隊長の話を聞いた人達の空気は重くなる。
「そんな量を……」
「これだけの数で……?」
「Sランクが必要な規模じゃないのか?」
「この近くにSランクなんていないだろう」
「だとしてもこれほどの規模になってくると俺達だけでやれるのか? 魔導士もそこまで居る訳じゃないんだぞ?」
「そうだが、それでもここまで来てしまっては……」
「「「……」」」
誰もいい案は出ない。持って来た資材も多少は余裕があるように多めに持って来たハズだが、それでもこれだけ数が多くなると持つのかは怪しい。
「弱気になるな! どちらにしろ、ここまで入ってしまったからには撤退の二文字はない。それにこの情報が間違っている可能性もある。今は斥候を送っているがそれも少ししたら帰ってくるだろう。であれば、ハッキリする。今は防壁などを作ることを最優先に考えるぞ」
「分かった」
「了解」
「やることはちゃんとやる」
そう言って一度別れることになった。
私はフリッツさんと一緒にこれからについて考える。どうすればいいのだろうか。
「しかし、大変なことになった。どうやって戦えばいいのか」
「そうですね……私はこういった事の素人なのでよく分からないのですが、ずっと柵の中で守っておくということは出来ないのでしょうか?」
柵を盾にすればこちらから一方的に攻撃出来る。そうすれば被害を出さずに魔物を討伐出来るはず。
「それは出来んのだ」
「え?」
私とフリッツさんではない声が後ろから聞こえる。振り向くとそこには隊長がいた。
「どういうことだ?」
「この柵はある程度の魔物しか弾くことしか出来ん。ケルベロスの様な大物や、その周りにいる魔物にとってはないに等しい。更にこの柵の広さをカバー出来るほどの数はいない」
「それは……そうかもしれませんけど」
「しかし、これだけの魔物はどうやって来ているんだ? 森側の方はかなりの狭い道になっているはずだが」
そうだ。フリッツさんとかなり狭い道を通ったハズだ。そこは普通に通ろうとすれば鎧を着込んだ隊長ですら通れないかもしれない。
しかし、期待を打ち破るように隊長は首を振った。
「そんな場所はなかった。というより、狭かったであろう場所は壊されていたと言った方が正しいか。さっき周辺を見回って来た偵察が帰ってきてそう言っていた」
「そんな……」
かなり分厚い場所だったのに。
「それと同時にケルベロス2体も発見された。ドン・キホーテ殿の言っていたことは間違っていなかった」
「……」
戦況は絶望的、この状況をどうやって打破すればいいのだろうか。
「そこで提案がある」
「提案?」
「ああ、ここの守りにはCランクや守りの騎士たちを重点的に置き、守らせる。そして精鋭を率いて敵のケルベロスを刈り取る。この作戦に君たちも精鋭として付いてきて欲しい」
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