86話 お見舞い
カルラさん家から30秒もしないところにドン・キホーテさんの家はあった。
その家はカルラさん達の家の半分くらいしかない。外から見てこの感じだと部屋と台所位しかないように思う。
「師匠! お見舞いに来たぞ! 師匠!」
フリッツさんは扉をドンドンと叩いて中に音を伝える。
「開いておるわ! それにうるさくせんでも聞こえておる!」
「入るぞ」
「失礼します」
私とフリッツさんは中に入ると、そこにはベッドから起き上がっているドン・キホーテさんがいた。
「大丈夫か? 師匠」
「大丈夫ですか?」
「儂を誰だと思っておる。天下無敵のドン・キホーテを舐めるでないわ」
彼はそんなことを言って腕を組んでいる。
「そんなこと言って、酷い怪我までしているのに無理はしないでくれ。これ、母さんが師匠にって」
「何? それは……?」
フリッツさんはドン・キホーテさんに近づいてその籠を渡す。
そして彼が籠にかかっている布を取り去るとそこから大きなパイが出てきた。
「おお! 懐かしい。カボチャのパイか……。久しく食べていなかったな……」
「これが師匠の大好物だったんですか?」
「え? フリッツさんは知らなかったんですか?」
「ああ、俺は知らなかった。師匠に差し入れだってほとんどしたことはなかったはずだ」
「そうなんですか?」
「ああ、おじょ、おほん。あの方にも色々あってな。最近は作ってくれんようになったのだ。それにも理由があるが、儂の口から語るべきではない」
彼はそう言って俯いた。
カルラさんと彼の間には一体何があったのだろうか。
「じゃあ、今はこのカボチャのパイを食って元気を出そう。クロエ、これを切って来てくれないか?」
「はい、分かりました」
私はそう言って部屋の中を見回すが、ここにはベッドと机とが数脚、後は壁際に置かれている剣や鎧、槍など様々な武器があるだけだ。奥に部屋があるみたいだけど入ってしまっていいのかな?
「台所はその奥だ。そこを使ってくれ」
「分かりました」
私は言われた通りに行くと、そこはかなり狭いが一応台所になっていた。棚の中などを探してお皿を探す。
「あれー? お皿ってどこにあるんだろう?」
丁度いいサイズが見つからず、ある棚を開けた時に綺麗な絵を見つけた。その絵には若いカルラさんらしき人と頭部分を破られた人の絵が置いてある。着ている服も上流貴族が着ていそうなもの。更にカルラさんの腕には髪の真っ赤な赤子が抱かれていた。この子はもしかすると……。
「クロエ! 大丈夫か?」
「はい!」
私はフリッツさんの声がした瞬間それを急いで元に戻し、他の場所を探す。すると、目的の皿を見つけることが出来た。
それにドン・キホーテさんの分を盛りつけて、私は部屋に戻った。
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