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防御魔法しか使えない聖女はいらないと勇者パーティーを追放されました~そんな私は優しい人と出会って今は幸せです  作者: 土偶の友@転生幼女4巻絶賛発売中!
第1章 聖女は出会う

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85話 お願いします

 カルラさんは立ち上がって私に近づいて来た。


「クロエさん」

「はい」

「あの子を守って上げて頂戴。いえ、お願いします」

「はい? え? どうしたんですか?」


 カルラさんは立ち上がり私に縋りついてくる。


「貴方がどういった理由であの子といるのかは私は知らない。それでも、一緒にいてくれているということは悪くは思っていないはず。だから、あの子の事をお願い」

「私に出来ることだったら全力でやらせていただきます」

「そう……。あの子はああ見えて色々と抱え込んでしまうの。私が好きにしてもいいって言ってもここに残ろうとする。旅が好きで色んな場所に行くのが好きなのに、あの子はずっと私の側に居てくれる。とっても優しい子」

「はい、知っています」


 カルラさんは純粋にフリッツさんを思っているようだった。その顔は私を見ているが、見ているのはフリッツさんな気がした。


「そう、もうそんなに仲良くなっていたのね。あの子それなりにいい顔をしているでしょう?」

「え? ま、まぁ。はい。そうだと思います」

「ふふ、あの子はあれで色々あってガードが固いから、あんまり人に心情を言わないし、心を許さない子なのよ。それどころか人によっては全く笑わなくなるし」

「そうなんですか?」


 割と笑ってるイメージが強いから衝撃の事実だ。


「ええ、それはあの子が貴方に心を許しているからだと思うわ。ありがとう」

「私の方こそ彼に助けていただいたので」

「そうね。お互いのことを思う気持ちは大切よ。私が言いたかったのはそれだけ」

「ありがとうございます。フリッツさんの違った一面を知れてよかったです」

「ならあの子を守ってあげて、女の子に言うのも間違ってるかもしれないけど」

「私に出来る限りはさせてもらいます」

「気を付けてね。話は以上よ」

「分かりました。ケルベロスをちょっと倒しに行ってきますね」

「ええ」


 私はそう言って扉を出て、外にいるフリッツさんに合流した。


「何の話をしてたんだ?」

「それは簡単ですよ?」

「?」

「ケルベロスをサッサと倒して、皆無事に帰って来ようってお話ですよ」

「なんだ、それだったら俺がいても良かったじゃないか」

「ダメですよ。これは女のお話なんです」

「はは、仕方ないな。それを言われたら引き下がるしかない」


 やっぱりフリッツさんはよく笑う人だ。この笑顔も私は守りたい。そう思った。


「それではドン・キホーテさんのお見舞いに行きましょう」

「そうだな。ちょっと茶化しに行かないと」

「もう、喧嘩を売ってはダメですよ?」

「そんなことはしないよ」


 私とフリッツさんはドン・キホーテさんの家へと向かう。



 その光景を見つめる者がいた。


「あの子をお願いします。聖女様……」


 その声は誰にも届くことはなかった。


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