83話 シャドーウルフの一撃って
「フリッツさん!」
私は隊長の近くで座り込んでいたフリッツさんに駆け寄る。彼は肩で息をしながらも怪我はしていないようだ。その顔は戦闘の熱か興奮でか少し赤くなっている。
「ああ、クロエか。防御魔法で助かった。何度か攻撃されたけど、この通り無傷だ」
「もう、そんなに危ないことはしないでください。私の魔力も無限じゃないんですよ」
「分かってるって、こんな無茶はそうそうしない。でも、今はやらなきゃ危なかったからな」
「それはそうですけど……」
「それで、どうしたんだ……って母さんと師匠か? 今行く」
彼はそう言って立ち上がった。
「隊長、少し家族の無事を確認してきていいか?」
「ああ、問題ない。防衛計画もある。遅くはなるなよ」
「大丈夫だ」
私たちはそこから離れてカルラさんの家に向かう。
その時に前線にいた8人を見たが、特に怪我をしている様子はなかった。流石実力者の人達だ。あれだけ危険な動きをしていたのに。彼らとならきっとこの村を護れると私は確信した。
******
「隊長。さっきの進撃、上手く行き過ぎていませんか?」
「ああ、きっとあのクロエという少女の防御魔法のお陰だろう」
クロエとフリッツが去った後、隊長達は先ほどのことについて話していた。その視線は信じられない物を見たといった所だが、フルフェイスの兜を被っている彼らの表情を窺い知ることはできない。
「そこまで凄かったのですか?」
「ああ、横にいた頭を刈り込んだ冒険者が、シャドーウルフの一撃を食らっても平然としていた」
「シャドーウルフ!? あのCランクの中でも攻撃力と俊敏性に秀でたあの魔物ですか!?」
「ああ、受けたそいつの元々の防御力も高かったのだろうが、それにしてもかすり傷一つつかないなんてのは理解出来ん」
「本当なのですか……?」
「そう思うのも無理はない。俺も起きた時は信じられなかったからな。だが、紛れもない事実だ」
「それは……この後が荒れそうですね……痛!」
彼はそう言ってクロエが行った方を向こうとしたところに、隊長に背中を思い切り叩かれる。
「そんな先のことはいい。今はケルベロスだ。幾ら我々でもどうなるか分からん。Aランクが来てくれれば多少は安心出来たんだろうが」
「そのクラスは流石に出てこれませんからね……」
「ダラスを守るのも立派な仕事だ。早々には動かせん」
「援軍は期待できないと」
「ここに来ただけでも限界だ。あの方の言葉がなければ来れなかっただろうからな」
「ですね……」
「よし、雑談はこれくらいだ。仕事に移るぞ」
「はい」
こうして彼らの中でクロエの評価が着々と積みあがって行くのであった。
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