82話 到着
彼らの前線には数人の冒険者が戦っている。彼らは一つのパーティで上手く連携して戦っているが、全てを捌き切れているわけではない。一体を倒す間に新たな一体が出てくるからだ。
全員で戦えばいいとも思うが、補給品を乗せた馬車の護衛、横や後ろの護衛などを考え出すと余り多くを差し出すことが出来ないのも現状だった。
そこへ隊長自らが前線に向かい鼓舞する。その声は後ろに届くほど大きく、胸を高鳴らせる。我々なら、勝てると。
「行くぞ兵ども! 我らの刃で奴らを蹂躙し村への道を切り開く! 全軍最大速度! 突撃!」
「「「「「うおおおおおおお!!!!!」」」」」
そこにいた男性のほとんどが喚声を上げて突撃していく。私も声を上げそうになっていたが、前線の人達の事が気になって出来なかった。
「俺達が代わる! 下がれ!」
「はい!」
隊長やフリッツさん等私が魔法を掛けた8人が最前線の人達と入れ替わる。私は走りながら彼らの勇士を目に焼き付けた。
「はああああ!!!」
「うおおおお!!!」
「せやあああ!!!」
ドン! ドオン! バガア!
「す、すげえ」
彼らが剣や槍、斧等の武器を振るうたびに前にいた魔物の体がはじけ飛び、消し飛ぶ。
隣を走っている人も余りの実力差に目を丸くしていた。
前線を走る彼らは一切止まることなく走り続ける。魔物がいた時だけ、武器を振る為に少し遅くなるが、それ以外では走り続けていた。しかも魔物の攻撃も受けるのではなく躱しているため、私が防御魔法をかける必要があったのかはとても怪しくなってくる。
「すごい。これなら今使わなくて良かったかも」
「そんなことはないですよ」
「?」
隣にいたフリッツさんを呼びに来た騎士の人がそう言ってくれる。
「貴方が防御魔法をかけてくれたお陰で、彼らはあんな回避の仕方が出来るんです。皆貴方の魔法を信頼しているんですよ」
「ありがとうございます」
「それは彼らが貴方にいう言葉ですから。気にしないでください。速度を上げますよ。おいて行かれないように」
「はい!」
私たちはそのまま走り続け、村までかけ抜ける。
前線の人達が先にいる魔物を全て倒してくれたため、誰一人かけることなく村に到着することが出来た。
私たちが来た頃には村の柵はかなり危険な状態だったが、それでも村の犠牲者もいなかったので本当に良かった。
「休んでいる暇はないぞ! 村の柵の補強! 出来ないところは魔法による強化! やることはまだまだある! 動け! 戦いはこれからだ!」
隊長の激で村に到着したことで気が抜けていた冒険者の人達は立ち上がり、自身のやることをやる為に行動する。
私はフリッツさんの所へ向かった。カルラさんやドン・キホーテさんの無事を一緒に確認する為に。
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