62話 客室
建物の中は少し薄汚れているといった感じだろうか。それでも時々掃除はされているのか汚いといった印象はなかった。
入って直ぐ右に受付のシスターの人がいたので彼女に話しかける。
「あの、依頼を受けて来たのですが」
「はい、依頼票を見せて頂けますか?」
「こちらになります」
彼女は受け取って確認をする。
「はい、では担当の者に説明をしていただくので、こちらの部屋に来ていただけますか?」
「はい」
彼女はカウンターから出てくると、少し進んだ所にある部屋の扉を開ける。
「この部屋でお待ちください」
「はい」
私とフリッツさんは部屋に入る。すると後ろでパタンと扉が閉じられる音が聞こえた。
「この孤児院は凄いですね。客室もかなり綺麗です」
私がいた孤児院にも客室はあったが、ソファーは硬かったし掃除もする余裕はなくて埃っぽかった。来客は皆帰る時はくしゃみをしていた気がする。
それに比べてこの部屋はとても綺麗で、向かい合うソファやその間のローテーブル、他の家具にも埃っぽさは残っていない。
「そうなのか? 孤児院には行ったことがないからな」
「ええ、私がいた所は貧しかったので。院にいた他の孤児院の人も同じような事を言っていたので、ここだけが特別に凄いのかなと思います」
「そんな凄い院がどうしてこんな依頼をしたんだろうな」
「そうですよね。これだけいるならシスターの数も相当数いると思うんですが」
コンコン
話していると部屋をノックされる。
「どうぞ」
「失礼します」
そう言って中に入ってきたのは先ほどの受付の人だ。その手にはお盆を持っている。そのお盆にはカップが3つとティーポットが載っていた。
「担当の者が来るまでこちらをお飲みになってお待ちください」
彼女は私たちの前にカップを置いてティーポットから紅茶を注いでくれる。
「ありがとうございます」
「ありがとう」
「それではごゆっくり」
そう言って彼女は部屋から出ていく。
私たちは出されたので折角だからと紅茶を飲む。
「意外と美味しいですね」
「そうか? 普通のだと思うんだが」
「孤児院の経営ってのは質素なことが基本になりますので、こういう紅茶もそれ相応の物が多いんですよ」
「なるほど、そう考えるとちょっと美味い気もする」
「確実に美味しい部類になりますね」
コンコン
「どうぞ」
「入るわ」
そう言って中に入ってきたのは。以前修道服をくれた人だった。
「クロエ?」
「先生?」
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