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吸血鬼犯罪捜査官 美紅  作者: 城島 剣騎
<第4章>悪の華は夜に咲く
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第四章<告白>


放課後

あたしはいつものように教室の窓から外を眺めていた。

すると、不意に一階の渡り廊下を歩く美智子の姿を認めた。

よく見ると、美智子を取り囲むように数人の女生徒が美智子と話をしていた。

美智子はどうも困惑…。

というか、明らかに怯えた顔つきをしている。

「ふぅ~ん。

そう、そういう事だったのね。」

その光景を見て、どうして彼女が急にあたしに擦りよってきたのかわかった気がした。

彼女の周りを取り囲んでいるのは、恐らく彼女を脅迫したりいじめたりしている女生徒なのだろう。

彼女は精神的に追い詰められていて、助けを求めている。

もしくは、自分を理解し、慰めてくれる友人を欲している。

孤立無援の苦しみから、助け出してくれる友人が欲しかったって所ね。

そこで普段から1人でいる、あたしに白羽の矢を立てたって訳。

でも、お生憎様!

あたしは馴れあいはしない主義なの。

ましてや傷を舐め合うだなんて、さもしい精神も持ち合わせてはいない。

だから、あたしは彼女が数人に取り囲まれて校庭の裏に連れ込まれていく姿を見ても、動こうとは思わなかった。


「さて、おやつに持ってきた人工血液缶でも飲んで屋上でのんびりしよう。」

と席をたって廊下に出ると、今度は男子生徒の1人が後ろからあたしに声をかけてきた。

「上条さん、待って下さい!」

はぁぁ。

なんなのかしら?

あたしはやや憂鬱な面持ちで、男子生徒に振りかえった。

「なぁに?」

我ながら無愛想だなぁ、とは思う。

でも美智子の事もあって、あたしは後ろから声をかけられる事に若干のトラウマさえ感じている。

人間なんて弱くて脆い生き物だ。

「あの、上条さん。

僕…。

僕は、前々から貴女の事をずっと見ていました。

物憂げで、表情に陰りがあって。

でもそんな貴女がとても気になって。

そして、そんな貴女に僕は惹かれてしまいました。

貴女が吸血姫だって事は、知っています。

でも、僕はそんな美夜さんが好きになりました。

お願いです。

どうか、僕とお付き合いをしてください!」

はぁ?

あたしはあまりにも突然の出来事に、返す言葉も失ってしまった。

友人の次は恋人?

まったく。

人間ってどうしてこうも、次から次へとあたしを自分の都合で振り回そうとするのかしら。

恐らく、物珍しさからか。

もしくは、そんなあたしを彼女にしたって自慢でもしたいのかしら?

はたまた…。

まぁ、あたしは自分の美貌には相応の自信は持っているつもり。

純粋にあたしの魅力に染まり、そんなあたしを独占したいからなのかもね。

いずれにしても、彼がどんなつもりであたしに告白したのか、その真意を確かめるまでは保留するしかなかった。

何故、断らないのかって?

そうねぇ。

しいて言えば、告白をしてきた彼があたしの好みだったから。

ストレートヘアにセンスのいい眼鏡、そして可愛らしい中性的な顔立ち。

なんとも、嗜虐心をそそる少年。

あたしは思わず彼の首筋を見て、ごくりと生唾を飲み込んだ。

いけないいけない!

まだ中学生のうちから犯罪を犯すなんて、上条家に泥を塗るような…。

「あなた、名前は?」

とあたしは彼の両頬に自分の手を添えて、彼の顔を自分の顔の至近距離までひきつけてみた。

真近で見ると、本当に可愛いわね。

すると彼は顔面真っ赤になってあたしの両手をはじくと、廊下の壁際まで後退した。

「ごごご、ごめんなさい!

告白の前に、名前を告げるべきでした。

僕の名前は、清水 遼太郎っていいます。」

清水?

「じゃあ、美智子とは?」

「美智子ちゃんと僕とは、異母兄妹なんです。

僕が一応、兄貴なんですけど。」

ふぅ~ん。

急に背後から声をかけてくるタイミングといい、この兄妹はどこか似ている気がする。




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